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【読書記録 -40】辺境ラジオ

この本は、ウチの近所の古書店で入手したものだ。

狙っている本が決まっているときはAmazonやBOOK OFFオンラインで検索するのが手っ取り早い。だけど、ボクはこの古書店に出会いを求めて足を運ぶ。本書もそうやって入手した一冊だ。

本書の初版は2012年。
当時、大阪のMBSラジオで『辺境ラジオ』という番組があったようで(東京暮らしのボクは当然聞いていない)、その番組のトークを書籍化したものだ。

出演者は、内田樹(合気道家、思想家、作家)、名越康文(精神科医、カウンセラー、コメンテーター)、西靖(毎日放送アナウンサー)の三名で、そのままその三名が本書の著者となっている。

この当時の日本と言えば、リーマンショックの影響で経済がマイナス成長となり、その影響もあって政権が交代(自民党→民主党へ)した時代だ。そんな時代背景を想いながら読むと面白い。


ボクはこの本を時間をかけて読んだ。
会話を文字に起こしているので、話題があちこちに飛ぶような印象を受けてしまう。だから話題を追っていくのに時間がかかるのだが、ボクは割とそういうのが嫌いじゃない。

本書の大きなテーマとなっているのは、当時の閉塞感の漂う社会において、いかにして自分自身の足場を確保し、健やかな精神を維持するかという問いだろう。そしてその中でも、第1章(第1回放送)の『守るにせよ、崩すにせよ、「定型」はやっぱり大事。』はインサイトが大きかった。

内田樹は合気道家だ。彼は「型」は、発信力の強い身体作用が後々まで伝えられて残ったものだと定義している。

現代社会では「自分らしさ」や「独創性」が尊重されるが、そういった自分らしさは得てして自己中心的なエゴの肥大化を招く。一方、「型」は、先人たちが数百年かけて磨き上げた「最も合理的で無理のない身体の運用法」なので、自分自身にも影響するが、周りに対しても思考や感情が伝播していくと彼は述べている。

名越康文は、精神科医の観点から「型」について語っている。彼は人の可能性の一つの身体作用だと述べており、ある「型」を繰り返し演じることで、その可能性が「降りてくる」のだと。

何でも自由に選べることは一見豊かに見えるけど、実際は無限の選択地獄に嵌っているのかもしれない。それは人のエネルギーを消耗させ、その人を疲弊させる。一方で、厳格な「型」を持っている人は、仔細な判断を型に委ねることで、余ったエネルギーをより重要な局面や、予期せぬ事態への即応に回すことができるのだろう。

あと、第6章(第6回放送)の『下り坂にさしかかった日本で、機嫌よく生きるために。』のページも読んで欲しい。

本書の出版から14年も経った現在では、もうさしかかった・・・・・・時期は過ぎてしまって、転がり落ちているような印象もあるが…「日本が国際社会にこれから提示できる新しいモデルは、もう経済成長しない少子化・高齢化した活気のない社会で降伏に暮らす仕方」だという提案には、ボクも激しく同意する。


ボクは本書を非常に面白く読んだが、多くの人が同じように感じるかどうかはわからない。

どうやら、もう古本でしか入手できないようなので、どうしても読んでみたい人はBOOK OFFオンラインなどで検索すると良いと思う。

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