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【読書記録 -112】エッセンシャル思考

より少なく、しかしより良く

ドイツの小型電気器具メーカー Braun社のインダストリアルデザイナーだった ディーター・ラムスは、「Weniger, aber besser(Less, but better:より少なく、しかしより良く)」という哲学で製品のデザインを行っていたそうだ。

現代社会において、ボクたちに求められているのはその逆だ。

ーより多くー
ーより効率的にー

もちろん、優秀なあなたはそれをこなしてしまう。
だけどそれを続けていると、あなたは「成功のパラドックス」という罠に嵌まっていく。

成功のパラドックスとは、成功して多様な仕事を任された結果、時間とエネルギーが分散し、本来の方向性を見失っていくという現象です。

「成功のパラドックス」から逃れるには、以下の3つの行動が必要だ。

  1. 絞り込む:すべてが大事だという思い込みを捨て、最も重要なひとつの方向にエネルギーを集中させる。

  2. 断る:断るのは悪いことだという思い込みを捨て、(本当に重要ではない)瑣末さまつな仕事を勇気を持って断る。

  3. トレードオフ:すべてをこなすことは不可能だと受け入れて、「どうすれば両方できるか」ではなく「何を引き受け、何を捨てるか」という決断をする。


エッセンシャル思考と非エッセンシャル思考

本書『エッセンシャル思考』の著者 グレッグ・マキューンは、ロンドン生まれの作家、講演家、リーダーシップおよびビジネス戦略家だ。彼は、Apple・Google・Facebookなどにアドバイスを提供し、世界経済フォーラムにより「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出された人物である。

彼が提唱するエッセンシャル思考(原題は「Essentialism」:より少ないことを追求する規律)の本質は、世の中に無数にある選択肢の中から本当に重要なことだけを見極め、そこに自分の時間とエネルギーを最も効果的に配分することだ。システマティックにしくみ化することによって、最大の成果を上げようという思考法だ。

多くの人が非エッセンシャル思考に陥ってしまうのは、「やらなくては」「どれも大事」「全部できる」という3つの思い込みによる。

だから、ボクたちが最高のパフォーマンスを発揮するためには、まずその3つの思い込みを正さなければならない。

  • 「やらなくては」→「自分でやると決める」

  • 「どれも大事」→「大事なものはめったにない」

  • 「全部できる」→「何でもできるが、全部はやらない」

そのうえで、以下の3つの技術を身に着けるのだ。

1. 見極める技術(多くの瑣末なことから少数の重要なことを見分ける)

  • 考えるための余裕をつくる:忙しい日常から離れ、集中して選択肢を検討するための時間とスペース(孤独)を意図的に確保する。

  • 情報の本質をつかみとる:目の前の事象に反応するだけでなく、大局を見て、ノイズの中から本当に重要な意味(シグナル)を見抜く。

  • 遊びを取り入れる:遊びは時間の無駄ではない。選択肢を広げ、ストレスを軽減し、脳の柔軟性や順応性を高めて創造性を活性化させる。

  • 十分な睡眠をとる(自分という資産を守る):睡眠時間を削って働くのではなく、十分な睡眠をとることによって、脳の機能を高め、判断力や問題解決能力を最大限に引き出す。

  • もっとも厳しい基準で選ぶ(90点ルール):選択肢を100点満点で評価し、80点未満はすべて切り捨てる。「絶対にイエス」と言いきれないものはすべて「ノー」と判断し、妥協を排除する。

2. 捨てる技術(多くの瑣末なことを容赦なく切り捨てる)

  • 本質目標を決める:自分の中に核となる行動基準(具体的で魅力的で達成の判定が明確)を設定し、その基準にそぐわない行動を切り捨てる。

  • 断固として上手に断る:プレッシャーに負けて不本意な「イエス」を言わない。代替案を出したり、予定を確認してから折り返すなど、相手に敬意を払いながら断る技術を身につける。

  • 過去の損失を切り捨てる:「せっかくここまで時間とお金をかけたのだから」というサンクコスト(埋没費用)にとらわれず、見込みのないものはすっぱりとやめる。

  • 人生を編集する:文章や映画を編集するように、不要な選択肢を「削除」し、意味を「凝縮」し、本質目標に向けて「修正」し、余計な手出しを「抑制」する。

  • 境界線を引く:他人に自分の時間やエネルギーを奪われないよう、「ここまでは引き受けるが、これ以上は引き受けない」という明確な境界線(ルール)をあらかじめ設定する。

3. しくみ化の技術(努力せず、自動的に実行する)

  • 最悪の事態を想定してバッファをとる:予期せぬトラブルに備え、予定や見積もりをギリギリで考えない。1.5倍程度のバッファを持っておく。

  • ボトルネックを特定し、取り除く:手当たり次第に改善するのではなく、目標達成を妨げている最大の障害(ボトルネック)を見極め、そこを真っ先に取り除く。

  • 小さな一歩を積み重ねる:最初から壮大な計画を立てるのではなく、「実用的な最小限の進歩」を目指す。早く小さく始めて日々の達成感をモチベーションにする。

  • 本質的な行動を習慣化する:悪い行動を引き起こす「トリガー」を見つけ、それを新しいトリガーに置き換えることで、重要な行動を無意識のうちに(努力せずに)実行できるようにする。

  • 「今、何が重要か」に集中する:過去の失敗を悔やんだり未来を不安に思ったりするのをやめ、今この瞬間にやるべき一つのことだけに集中する。

自分の人生は自分自身の手でコントロールすべきだ。
非エッセンシャル思考のまま生きていると、知らず知らずのうちに他人の言いなりになり、誰かに自分の人生を決められてしまう。

誰でも与えられた時間は有限だ。
その限られた時間のなかで、自分にとって本当に重要なことを見極めてそこに全力を注ぐことによって、日常を心から楽しみ、後悔のない充実した人生を送ることができるのだ。


だけど… いきなりこの「エッセンシャル思考」の境地にたどり着ける人はいないような気がするなあ。一度「非エッセンシャル」でバリバリ働いた経験がないと、ミニマリズムの考えに至らないような気がする…

参考リンク集

・Amazon『エッセンシャル思考』書籍紹介ページ
・Greg McKeown:公式サイト

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