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【読書記録 -78】殺し屋の営業術

― 仕事の成否は段取りで8割決まる ―

ずいぶん昔のことだが、ボクが営業の部署にいた頃に上司からよく言われて今でも記憶に残っているのがコレだ。


営業の極意なるものがあるならば、それは「顧客の抱える課題を解決し、顧客の理想とする未来を実現してあげること」だろう。だが、顧客には「現状維持バイアス」が強く働いている。

そのバイアスを否定してしまうと商談は失敗する。
特に不確実性の高い環境にあって、相手の会社(やそのバックについている株主など)が強権主義で、担当者が弱い立場にいる場合は特にそうだ。

だから、営業マンは以下の3ステップでクロージングまで顧客と伴走しなければならない。

1. 課題の発見と定義
顧客自身も「本当の課題」に気づいていないことが多い。表面的な「これが欲しい」という要望の裏にある、真の悩みやボトルネックを見つけ出し、「あなたの課題はこれではありませんか?」と定義し直すプロセスこそが、プロの営業の第一歩である。

2. 信頼関係(情報の非対称性の解消)
どんなに優れた解決策でも、信じられない人間からは買わない。営業の本質には「この人(企業)なら任せられる」という安心感の提供が含まれる。誠実な情報開示によって、顧客との間にある情報の格差を埋め、パートナーとしての地位を築くことが不可欠だ。

3. 決断の背中を押す(合意形成)
人は変化を恐れる生き物である。解決策に納得していても、最後の一歩を踏み出すのには勇気がいる。その不安を取り除き、顧客にとって最善の選択となるよう「決断をサポートすること」が、営業の最終的な役割である。

「殺し屋」なんてビジネスが実在するのかボクは知らないが、もしあるとするなら「絶対に失敗が許されない」仕事なんだろうと思う。高いところから悠々とターゲットを仕留めればいいというものではなさそうだ。

本作の主人公 鳥居一樹は、超絶優秀な営業マンである故、「徹底した事前準備(顧客ニーズの深掘り)」によって、不可能と思われるノルマを軽々とクリアする。それも、自分の命が危うい極限状態の中で…


本書の著者 野宮有は福岡県豊前市出身。長崎大学経済学部卒。2018年の第25回電撃小説大賞で投稿作『シルバー・ブレット -SILVER BULLET-』が選考委員奨励賞を受賞し、翌年に同作を改題・改稿した『マッド・バレット・アンダーグラウンド』でデビューした。

本作『殺し屋の営業術』は、第71回江戸川乱歩賞でぶっちぎりの1位になった話題作だ。

有栖川有栖
「乱歩賞作品の中でも異彩を放つ一作だろう」

貫井徳郎
「この物語に惚れ込みました」

東野圭吾
「読み手の心を掴む力に満ちていた」

湊かなえ
「主人公の内面の変化にワクワクしました」

横関大
「新人賞のレベルを超えた優れたエンターテインメント作品」

営業成績第1位、契約成立のためには手段を選ばない、凄腕営業マン・鳥井。 アポイント先で刺殺体を発見し、自身も背後から襲われ意識を失ってしまう。 鳥井を襲ったのは、「ビジネス」として家主の殺害を請け負っていた「殺し屋」だった。 目撃者となってしまった鳥井は、口封じとして消されそうになる。

絶体絶命の状況の中で、鳥井は殺し屋相手に「ここで私を殺したら、あなたは必ず後悔します」と語り出す。 「今月のノルマはいくらでしょう? 売上目標は?」 「契約率は25%……、残念ながら、かなり低いと言わざるを得ません」 「どうしてこんな状況になるまでプロの営業を雇わなかったんですか?」 そう……これは商談なのだ。

研ぎ澄まされた営業トークを矢継ぎ早に展開し、場の空気を掌握する鳥井。 「あなたは幸運です。私を雇いませんか? この命に代えて、あなたを救って差し上げます」 契約成立。 鳥井は、殺人請負会社に入社することに。 前代未聞の、「命がけの営業」が始まる――。 常識を覆す発想から走り出す、ジェットコースター・ミステリー!

講談社『殺し屋の営業術』書籍紹介より

参考リンク

・Amazon『殺し屋の営業術』書籍紹介ページ
・野宮有:Xアカウント

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