「PDCAを回す」ということ
ボクは「PDCAを回す」という表現も、これまた非常に抽象的な表現だと思っている。
PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4つのステップを循環させることで、業務の品質や効率を継続的に向上させるためのフレームワークです。
統計学者W・エドワーズ・デミング氏が提唱した考え方で、業務プロセスを改善・効率化し、目標達成を目指すために広く活用されています。
特に中小企業の経営者(中小に限らないかもな…)は、「なんだかよくわからないけれど、みんなが使ってるからなー」とか「横文字使っとけばカッコいいよねー」といった感じで、雰囲気を醸し出すためにこのワードを使っていることが多いと感じている。
さて、なぜボクがそう感じているかというと、多くの経営者がアドホック(その場限り)な「DCA」しか意識できていないからだ。
これは、消防士の活動に例えるとわかりやすい。
消防士のみなさんは、日々身体を鍛えて消化活動のための訓練を受けている。そして、いざ「火事が起きた」と連絡を受けると、サイレンを鳴らして現場に急行し、自分の身の危険を顧みず火を消し、逃げ遅れた人を救助し、現場の混乱を鎮静化させることに最大限の力を発揮する。
そして火が消えた後、現場検証をして、今回の消化活動が良かったのか悪かったのかを議論し、次の消化活動や防火活動に活かしていく…
…この中の「P」の部分はどこだったろう。
実はこのプロセスの中に「P」は含まれていない。
これは仕方のないことだ。
なぜなら、消防士の活動の根幹が「火事は偶発的に発生するものだということを前提にして、火事が起きたらその規模や場所に応じた消化活動をする」というものだからだ。
そこには「より効率的に火事を起こすためにどうすればいいか」とか「火事をDX化するにはどうすればいいか」といった議論は行われない。つまり「火事そのもの」をPlanする余地はないということだ。
一方、「消化活動」の方は火事の通報を受けた後の「DCA」のサイクルであり、効果的な鎮火や防火の方法、および避難経路をどう確保すべきかなどの議論は、実際に消化活動を進める中の気付きなどを元にした改善活動、つまり「A」にあたるものだ。
…とはいえ「Plan」をどう考えるかはその経営者次第だ。例えば、上記の消防士の例の「A」こそが「P」だ!って言われたら、ボクは「はいそうですか」と言うしかない。「消防士が日々トレーニングすることが「P」だろ!」って言われたらそうなのかもしれない。
しかし、少なくとも「Plan」である以上、計画を立てることが前提で、その計画(P)に則って「DCA」の活動を進めなければならない。それは実際に行動(D)してみた結果、計画(P)に不具合があることを見つかった(C)なら、最初に戻って「Plan」の改善アクション(A)を回すというプロセスであるべきだ。
計画なく、日々アドホックな「問題の火消し」を行っているような会社は、きっと成長していくことはないだろうと思っている。
