会社の呼吸
最近、どうも体調が優れない。
病院へ行くほどではない。
だが、頭が重い。眠い。身体がだるい。
こういうとき、医者は原因を探そうとする。
血液検査をする。血圧を測る。
数値を見て異常がないか確認する。
患者の身体のどこかに不具合があり、それが今の症状を引き起こしていると考えるからだ。
もちろん、それは大切なことだ。
今年の初め、東京の禅寺で座禅体験を受けた。
それは興味本位だったが、その後も家で座禅を続けている。
座禅というと何か難しいことを考える時間のように思える。
しかし実際は逆だ。
仕事のことは考えない。
将来のことも考えない。
答えも探さない。
ただ座る。
ただ自分の呼吸を観察する。
ただ自分自身を観察する。
ボクたちは普段、外側ばかり見ている。
ニュースを見る。SNSを見る。
会社を見る。他人を見る。
しかし、自分自身を見る時間は驚くほど少ない。
体調が悪くなって初めて「ああ、疲れていたんだな」と気づくのだ。
考えてみれば、ボク自身も西洋医学の医者のような仕事をしている。
売上が下がれば理由を探す。
離職者が増えれば原因を探す。
決算書や数字を見ながら仮説を立てる。
それは重要だけれど、数字だけでは見えないものもある。
ときには東洋医学的な療法も必要なのだ。
だから現場へ行く。
働いている人を見る。
会話を聞く。空気を感じる。
座禅体験で「数息観(すそくかん)」という修行法を教わった。
自分の呼吸を数えなさい。
鼻からゆっくりと息を最後まで吐き切る。
吐き終わったら心の中で「ひとつ」と数える。
「とお」まで到達したら、また「ひとつ」に戻る。
呼吸をコントロールしようとしてはいけません。
自分の自然な呼吸に合わせて数えてください。
別のことを考えてしまったら、それに気づき、また静かに「ひとつ」から数えなおしてください。
座禅で教わった数息観は、自分の呼吸を観察する修行だ。
呼吸は毎日続いている。
だから毎日観察できる。
会社のオペレーションも同じだ。
毎日続いている。
だから毎日観察できる。
経営とは、案外そういう地味な営みなのかもしれない。
