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【読書記録 -131】サーバント・リーダーシップ実践講座

リーダーシップ論を学んでいると、時々「サーバント(召使い)・リーダーシップ」というワードが出てくる。そのワードを聞くたび、ボクの頭にはドビーが浮かんでいた。それは『ハリー・ポッター』に登場する屋敷しもべ妖精だ。

「ご主人様、ドビーめにお任せください」…
そんな姿を思い浮かべながら、ボクは疑問に思う。
リーダーなのか、召使いなのか、どっちなんだよ。


だから正直なところ、「サーバント・リーダーシップ」という言葉にはあまり良い印象を持っていなかった。しかし、真田茂人著『サーバント・リーダーシップ実践講座』を読んで、その印象は大きく変わった。

本書を読んでいて思った。
もしかすると、この思想は理論そのものより先に「翻訳で損をしているのではないか」と。

著者は、現代社会において従来のトップダウン型リーダーシップが限界を迎えていると指摘している。その背景にあるのは、成熟社会、グローバル化、ネット社会の進展だ。

かつては上司が情報を持ち、部下が従うことで組織は機能した。
しかし今は違う。インターネットの普及によって、上司より現場の方が顧客を知り、上司より担当者の方が技術を知っている。情報の非対称性が崩れた時代において、リーダーに求められる役割も変わったのである。


本書ではサーバント・リーダーに必要な要素として、次の5つのバリューを挙げている。

・個人を尊重する
・導く
・サーブする
・人の力を引き出す
・成長につなげる

また、その特徴として、
・傾聴
・共感
・癒し
・気づき
・納得
・概念化
・先見力
・執事役
・人々の成長への関与
・コミュニティづくり

の10項目が整理されている。

興味深いのは、この中に「命令する」「管理する」「評価する」「監視する」といった言葉が一つも出てこないことだ。

ボクたちが一般的にイメージするリーダー像とはかなり異なっている。
そして、本書を読む限り「召使い」的な行動は推奨されていない。むしろ本書で推奨されているのは、人が力を発揮できる環境を整えるために尽力するリーダー像である。


最近、若手管理職のメンタリングを続けている。

その対話の中でボクがやっているのは、目標設定でもキャリア相談でもない。物流の話をしたり、経営の話をしたり、AIの話をしたりする。すると少しずつ質問が発せられるようになってくる…

本書を読みながら、あれは人を変えようとしていたのではなく、学びが生まれる環境を整えていただけだったのかもしれないと思った。

誰も他人を成長させることはできない。
成長はその本人にしかできないことだ。
ボクができることというと、メンティーの子たちが自分で成長できる環境を整えることだけだ。

本書を読み終えた今、ボクの頭には『ハリー・ポッター』の登場人物が浮かんでいる。

だけど、その姿はドビーではない。
ダンブルドアだ。

ダンブルドアはホグワーツの校長先生だ。彼は生徒たちに答えを教えない。細かく指示もしない。しかし、学びの場をつくり、人が成長する環境を整えている。

そう考えると、やっぱり「サーバント・リーダーシップ」という名前は少し損をしているのかもしれない。

ボクなら「プリンシパル(校長先生)・リーダーシップ」と呼ぶだろう。

その方が、少なくともボクが最初に思い浮かべたドビーより、ずっと本質に近いように思うのである。

参考リンク

・Amazon『サーバント・リーダーシップ実践講座』書籍紹介ページ

・株式会社レアリゼ:真田茂人 講演レポート

・日立ソリューションズ インタビュー


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