【読書記録 -26】ピアノと平均律の謎
この本は難解だ…
この本は音楽理論とピアノの調律について書かれているわけだが、そもそもボクは音楽理論を学んでいないし、ピアノが弾けるわけでもない。
音楽は感性の芸術であるが、同時に数学的でもある。
音は物体が振動することで発生し、空気や水などの物質(媒質)を伝わって耳に届く波(振動)だ。
本書の中心となっているのは「音程」だ。
音程とは、2つの音の高さの隔たり(距離)のことだ。
音楽理論では、この音同士の離れ具合を「度数」という単位で表現する。主に、2つの音の距離が同じであれば1度、音が離れるごとに2度、3度、4度...と距離が増していく。
この本の中では、その音程を「周波数比」で定義している。人間が心地よいと感じる響きは、オクターブであれば周波数比が1:2、完全五度であれば周波数比が2:3といった単純な整数比によって生まれるのだ。
しかし、こうした美しい比率を厳密に保とうとすると、調を変えた瞬間に音程が破綻する。その問題をなんとか解消するために生まれた平均律は、オクターブを均等に12分割するもので、隣り合う音(半音)の周波数比が12√2:1という無理数(非循環無限小数)になってしまうことを前提にしている。
それは、音楽に幅を持たせるために、敢えて純正な比率(きれいな響き)を犠牲にする選択だったわけだが、それによってピアノの調律師は、技術者として美しい音(純正の響き)を追求したい欲求と、演奏実務上の利便性(平均律)を両立させなければならなくなってしまったのだ。
著者 アニタ・T・サリヴァンは、そういった音楽の数学的なジレンマを、専門用語と難解な比喩表現を使って書き綴っている。
本書『ピアノと平均律の謎』は、ピアノという楽器がなぜ現在の形と音の仕組みに落ち着いたのかを、平均律という調律法の成立過程から解き明かしていく。それは音楽理論だけにとどまらず、歴史、数学、思想がどのように絡み合ってきたかに及んでいく。

この本は自分で買ったものではない。
ずいぶん昔に古い友人からもらったものだ。
彼はプロのミュージシャンを目指していたが、残念ながら若くして亡くなってしまった。
だから、この本を売ることはできない。
きっといつまでもボクの書棚に入っていることだろう。
