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【読書記録 -47】なんのために経営するのか

あの人も、あの人も…
この本を読めばいいのに… と思う人が何人か思い浮かぶ。

それがどんな人かというと、何か大きな失敗をしているわけではなく、会社が苦境に陥っているわけではないものの、なぜか事業が伸び悩んでいて、なんとなく次の一手を思案しあぐねている「あの人」だ。

著者 鈴木祐介は(株)パラドックスの代表取締役だ。
同社は ―「志」の社会実装― をミッションに掲げ、数多くの企業のブランディングや組織変革を支援してきた。それは、単なる広告制作やデザインではなく、企業の根源的な存在理由を言語化し、それを組織文化や事業戦略に浸透させること… つまり企業のアイデンティティを構築することだ。

『なんのために経営するのか』

本書のテーマになっているのは「志」だ。
「志」というと、どうしてもパッションやエモーションの文脈で語られがちだが、著者はそれをロジカルに整理し、経営戦略に落とし込んでいる。

多くの経営者は、事業の行き詰まりを感じた時に、その解決策を「売上拡大」や「コスト削減」といった数値目標に求めがちだ。しかし、それらは「対症療法」に過ぎない。経営者が感じる行き詰まりの要因は「何のためにこの事業を続けているのか」という喪失感と焦燥感なのだ。


― 自社が社会においてどのような独自の役割を担うのか ―

この問いに対する明確な答えを持たない企業は、市場の変化という荒波の中で方向性を見失う。それに伴って内部に不毛な摩擦が生じる。それはさらに方向性のブレを大きくし、徐々に経営者は経営のコントロールを失っていく。

そのスパイラルから脱却するには、企業のアイデンティティ(=ブランド)を再定義し、外部環境に左右されない強固な軸を構築するしかない。著者はそう説いている。

企業の「志」とは単なるスローガンではない。
ミッションを中心に置き、未来軸としてのビジョン、顧客軸としてのバリュー、社員軸としてのスピリット、それらがすべてつながって物語(ストーリー)となることが企業の「志」となるのだ。

ミッション:中心軸
企業が存在する意味(存在意義)、日々果たすべき使命

ビジョン:未来軸
ミッションを追求し続けた先で実現したい理想の未来

バリュー:顧客軸
ミッションを遂行するうえで発揮されるべき価値

スピリット:社員軸
ミッションを遂行するために社員一人ひとりが大切にすべき精神

経営に行き詰まっているオーナーの多くは、この「志」が希薄になっている。あるいは、額縁に入れて飾られているだけになっているのだ。

その行き詰まり感を打破するには、組織全体が(経営者ではなく)「志」を見て行動する状態を作らなければならない。それは、社員だけでなく経営者自身もそう ―志の下に集う構成要素のひとつ― でなければならないのだ。

「志」を実践し、実現に向かわせるためには、組織がちゃんと志の実現に向ってドライブされているか、最適化されているかが重要になる。そのために必要なステップは「①言語化 ②仕組み化 ③習慣化」だ。

①言語化
企業理念などをより現場向けにブレイクダウンした「マネジメントポリシー」などの策定

②仕組み化
営業ツール、顧客対応マニュアル、商品開発や改善プロセス、コーポレートサイト、コンセプトブック、評価制度、表彰制度、研修制度、目標管理手法、などの策定

③習慣化
上記の仕組みの実行およびフィードバックを意図的に、定期的に行う

このプロセスをぐるぐると永続的に回していくことによってしか・・「独自のカルチャー」を作ることはできない。その「独自のカルチャー」があってこそ、企業のブランディングが成立するのだ。

ローマは一日にして成らず。
ブランディングも一日にして成らず、だ。

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