【読書記録 -65】チームX
企業が陥りやすい「悪いスパイラル」を断ち切った実録書
本書の著者 木下勝寿は、株式会社北の達人コーポレーション代表取締役社長であり、独自のWebマーケティング手法で同社を東証プライム上場、高利益率企業へと成長させた人物である。
北の達人コーポレーションは2019年に全盛期を迎えていたが、徐々に凋落が進み、2021年には主集客が1/6まで減少した。本書には、著者が経営者としてチームを「トランスフォーメーション」させ、悪いスパイラルを断ち切って、1年で業績を13倍に回復させたノウハウが余すところなく記載されている。
チームX:属人性を排し「勝手に回る組織」を作る仕組み化の極意

本書においては、事業を成功させるために必要な考え方として、以下の「5つの企業組織病(課題)」と「5つのXポイント(解決策)」が示されている。ボクはそれらが非常に的を射ていると感じた。
【5つの企業組織病(課題)】
1. 職務定義の刷り込み誤認
→最初に任された職務目的を「目的を達成すること」ではなく、「その作業自体をやること」と誤認してしまうこと。
2. お手本依存症
→「お手本」という正解が無いと仕事ができなくなってしまうこと。
3. 職務の矮小化現象
→企業の安定期(もしくは低迷期)以降に入社した人が、職務範囲を矮小化して受け取ってしまうこと。
4. 数字万能病
→数字を万能な(数字は有能ではあるが万能ではない)判断基準かのようにとらえてしまうこと。
5. フォーマット過信病
→一回の成功体験を黄金法則だと過信してしまうこと。
【5つのXポイント(解決策)】
1. KPI
→KPIの設定でPDCAを回し、正しいKPI(間違ったKPIは悪循環を加速させる)に辿り着くこと。そしてそのKPIをわかりやすく見える化すること。
2. 教育の仕組み
→組織に2人以上のトッププレーヤーを揃え、一人が成果を引き上げて、もう一人に新人を育てる役割を担わせる。そして「自社オリジナル」の教育プログラムを作り上げること。
3. 共通言語化
→巷に氾濫している用語を使っていると、人それぞれの解釈が生まれる。意図的にオリジナルの共通言語を作ることによって、社内の暗黙知を形式知化する。
4. タスク管理
→「そもそもメンバーはタスク漏れをするもの」「他人が立案したものを漏れなく実行することは難しい」という前提で、戦略立案とタスク管理をセットで進める。
5. 風土
→企業風土に最も大きな影響を及ぼす人物は「リーダー」だ。だから「その人がリーダーになった場合に周囲にどんな影響が出るか」を考えた上でリーダーを選ばなければならない。そして経営者自身が「良いリーダー」にならなければならない。
真のリーダーシップとは
真のリーダーシップとは、リーダーがいなくても成果が出る状態をデザインすることだ。それは、リーダーの「カリスマ性」などではなく、誰がやっても同じ結果が出る「仕組み」を作ること(=メンバー全員の思考の解像度を上げること)だ。
それ以外に組織を機能的にスケールさせる方法論はないだろう。
