【読書記録 -25】戦略コンサルのトップ5%だけに見えている世界
毎日大量の本を読んでいると、読書の連鎖反応みたいなことが起きる。
ボクは去年の12月あたりから大量乱読モードにシフトしているが、そんなことをやっていると、読んでいる本の中に自分なりのキーワードを発見して、そのワードを検索しているうちに思ってなかったような本に出くわしたりすることに気が付いた。いわゆる、セレンディピティだ。
この本は、そんなセレンディピティによって出会った本だ。
『戦略コンサルのトップ5%だけに見えている世界』

本書の著者 金光隆志は、外資系戦略コンサルティングファームにおいて長年にわたり第一線で活躍してきた人物である。
成果を出し続ける戦略コンサルタントは、物事をどのように見て、どういう順番で考えているのか… それは、世の中にあふれている思考法をマスターすることでも、フレームワークの丸暗記でもない。思考に対する態度を変えることと思考枠を広げることだ。
優秀な人ほど正解を当てにいかない。
完璧な情報が揃うのを待たず、間違える前提で仮説を置き、検証し、修正する。そのプロセス自体を価値と捉える姿勢が思考に対する態度だ。上司やクライアントの期待に合わせた無難な答えではなく「今この状況で、最も筋が良い問いと答えは何か」を自分で定義する… つまり、重要なのは主体的であり続ける姿勢だ。
そして、何を使って考えるか。
ちょっと本やネットで調べれば、思考の技術や形式が山ほど出てくる。多くの人はロジカルシンキングやフレームワーク、比較軸の設定、構造化などを学べば思考力が上がると考えるが、そんな思考枠では凡人の域を脱することはできない。
前提を疑い、問いを立て、それに対する解を出す。
それがトップ5%の人に見えている世界だ。
著者は戦略思考に絶大な効果を生む究極奥義として「戦略思考の三種の神器」を紹介している。
①Big Picture
目の前の作業や個別論点に没入する前に「今、自分はどの全体構造のどこを扱っているのか」を常に把握することが重要だ。トップ5%のコンサルは問題を「部分」ではなく「構造」として捉える。市場全体、バリューチェーン、意思決定プロセス、利害関係者などを俯瞰し、全体像を頭の中に描いたうえで思考を進めるのだ。
②Rule of the Game
その業界やビジネスで「勝敗を決めている本質的なルールは何か」を見抜く思考を持ち合わせていなければならない。表面的なKPIや競合比較ではなく、利益が生まれるメカニズム、参入障壁、価格決定権、スケールの効き方などを読み解くのだ。トップ5%のコンサルは「このゲームは何を制した人が勝つのか」を早い段階で言語化する。そうすれば、取るべき戦略や捨てるべき選択肢が一気に明確になる。
③Quick & Dirty
完璧を目指す必要はない。粗くてもいいから早く本質に当たりにいく姿勢を持つべきだ。精緻にこだわった分析よりも、70%くらいの精度で方向性を見極めることを優先すべきなのだ。トップ5%のコンサルは「速く仮説を置き、外れたら修正する」ことを前提に動くので、圧倒的に初動が早い。意思決定を前に進めるスピードが価値を決めるのだ。
この三つはそれぞれが単独で動かすものではない。
Big Pictureで全体を押さえ、Rule of the Gameで勝ち筋を特定し、Quick & Dirtyで仮説を回すという流れで用いるものだ。この順序を理解できれば、戦略コンサルの思考を再現可能な形で自分のものにできる。
思考態度が変わったとき、思考枠は武器になる。
戦略思考とは、賢く考える「技術」ではなく、どう考えるかを自分で決める「覚悟」みたいなものなんだろう。
