【読書記録 -127】読書スタディーズ
ボクはメンター業務の中で読書を勧めることが多い。
本を読むと、自分ひとりでは思いつかない考え方に出会えるし、世界の見え方が少し変わったりする。
だけど時々「読書に疲れてしまった」という声を耳にする。
- 読んでも内容を忘れてしまう。
- 積読ばかり増えていく。
- 頑張って読んでいるのに成長している実感がない… など。
ボクたちは、読書が良いものだと信じている。
だからこそボクたちは、読書に「成果」を求めてしまうのかもしれない。
そんなことを考えていたときに読んだのが、桜井政成著『読書スタディーズ』だった。
本書が扱っているのは単なる読書術ではない。
むしろ、読書という行為そのものを見つめ直す試みである。その内容は、ボク自身の読書体験とも重なるところが多かった。「人はなぜ本を読むのか」「読書は私たちに何をもたらすのか」という問いを、社会学や教育学の視点から掘り下げている。

ボク自身、年間数百冊の本を読むが、読んだ本の内容をすべて覚えているわけではない。正直に言えば、忘れてしまった本のほうが多いだろう。
だけど、たくさん本を読んでいると不思議なことが起きる。新しい本を読んだとき、昔読んだ別の本の内容がふと蘇ったりするのだ。
― ああ、あの本が言いたかったのはこういうことだったのか ―
そんなふうに、本と本がつながる瞬間があるのだ。
心理学では「アハ体験」と呼ばれる現象がある。
バラバラだった情報が結びつき、突然理解が訪れる感覚のことを指す。
読書にも似たところがあるように思う。
読んだ内容は忘れても、それはどこかに残っている。
そして新しい本や経験をきっかけに、その記憶はフラッと姿を現すものだ。
もし最近、読書に疲れてしまった人がいるなら、無理に内容を覚えようとしなくてもいい。読書は、知識を詰め込む作業というより「種をまく作業」なのだ。
読んだ本の記憶は消えてしまうわけじゃない。
それは、ただ静かに次につながる瞬間を待っているんだ。
