【読書記録 -34】人望の研究
ボクは本を読み始めるとき、まず最終ページを開く。
だいたいそこに著者のプロフィールとか発刊年などが書いてあるので、そこからwebでwikipediaなどを検索して、著者がどんな人なのかをインプットしてから読み始めるようにしているのだ。
本書の著者は山本七平。
1921年、東京生まれ。戦時中は砲兵少尉としてフィリピンで従軍し、マニラで捕虜となる。戦後、世田谷の自宅に山本書店を設立し、聖書やユダヤ系の翻訳出版に携わった人物だったが、1991年に69歳で亡くなっている。
本書 「人望の研究」は祥伝社から平成21年(2009年)に出版されている。
だけど、2009年は山本七平の死去から18年も後だ。
詳しく調べていくと、どうやら1991年に同じ祥伝社から一度文庫版で出版された(wikipediaによると1983年)ことがあるようで、2009年に新書版で再版されたようである。
『人望の研究 :二人以上の部下を持つ人のために』

どのような経緯でこの本を入手したのか、全く記憶にない…
だけど、42ページ目にボールペンで傍線の書き込みがあったので古本で買ったのは間違いないだろう。値札のシールが貼られてなかったのでBOOK OFFで買ったのではなさそうだ。ひょっとしたら、ボクが時々足を運ぶ、近所の個人経営の古本屋で見つけたものかもしれない。
…「人望って何?」って問われると答えに詰まる。
説明できそうでいて、なかなかスッと言語化することが難しい。
本書においては、255ページに渡って「人望とは?」が論じられている。それは、権力やカリスマといった外面的な強さではなく、周囲が自ずとついてきたくなる「人格的な磁力」の構造だ。本書では、その「人望」についての考察が、宗教思想(仏教や儒教だけでなくキリスト教やユダヤ教も含めて)と従軍体験をベースに進められていく。
―克伐怨欲(こくばつえんよく)―
それは、勝ち気、自慢、恨み、欲心という四つの煩悩のことだ。これらはリーダーが陥りやすい罠であり、これらを克服して初めて「克己復礼」、すなわち己に打ち勝ち、社会的に理にかなった振る舞いができるようになる。
―静虚動直(せいきょどうちょく)―
自分の内面を鏡のように澄ませた「静虚」の状態を保ちつつ、事にあたっては迷わず真っ直ぐに行動する「動直」の姿勢こそが、周囲からの信頼を築く礎となる。
どうやら「人望」とは獲得するものではなく、自らを律した結果として滲み出るもののようだ。
現代のリーダーシップ論は技術的な手法に偏りがちだが、内面の静寂と公の規範が一致してこそ、人間の最大の評価基準である「人望」を実現することができるのだろう。
