チームリーダーに求められる資質
オーケストラの各プレーヤー同士は、言葉を交わすことなく、ましてやデータやグラフなどに頼らず意思疎通をし、最高の音楽を顧客に提供している。
それはメンバー各々が、自分がオーケストラの一員であること(ミッション)を知っていて、何の曲を演奏しようとしているのか(ビジョン)を理解していて、さらにそれぞれがその楽器のエキスパートである(バリュー)からだ。
指揮者はチームをリードしているわけではない。
彼は全体のバランスを見ながら、微調整の指示を身体で表現しているだけだ。それはお互いがそのパートのエキスパートであることを理解していて、信頼できると知っているから成り立つ関係である。
「チームリーダー」なんて名前が付いていることによって、リーダーはチームをリードしようとする。しかし、リーダーがやらなければならないことは、そんな(「リード」なんていう)抽象的なことではないのだ。
リーダーは、まずミッションを明確にしなければならない。そうでなければ、高いバリューを有したメンバーを集めることができない。
次にリーダーはビジョンを共有しなければならない。ビジョンを共有しなければ、メンバーはこれから何の曲を演奏するのかわからない。「言わなくてもわかるよね?」という考えのリーダーは最悪だ。優秀なリーダーは前もってセットリストを(アンコール曲まで含めて)メンバーに配布するものだ。
最後に、リーダーには全てのメンバーそれぞれのバリューの高さを見極める「識見」を有していることが求められる。それはリーダー自身の真摯な学びと豊かな経験に裏打ちされるものでなければならない。そうでなければ、その識見は一気に薄っぺらいものになってしまうのだ。
メンバーが多くなるとそれぞれのパートの中にも順列を設定しなければならず、その順列に応じてパート譜を割り振らなければならなくなる。それは普段の練習の中から、メンバー各々の特性やスキルレベルを探り出して決定すべきものだ。ーこの部分を「コミュニケーション」と呼ぶべきであり、ビジョンを共有することがコミュニケーションではないー
さあ、ここまでできていれば、もうリーダーにやることはほとんど残っていない。
顧客からの喝采をその身に受けるだけなんだ。
