毎日をどう生きるか
強みだけでは測れない価値
大企業では「あなたの強みは何ですか」と聞かれることが多い。
あなたはどんなことが得意なんですか?
あなたはどんなことで会社に貢献できるのですか?
社会に出れば「何ができるか?」は重要だ。
会社が人を採用し、配置し、育成するうえで、その人の能力や専門性を知ることには意味がある。だけど、時々それだけでは説明できない人に出会うことがある。
その人は、特別なスキルをひけらかすわけではない。
圧倒的な成果を出しているわけでもない。だけど、その人がいるだけで場の空気が変わり、周囲が安心し、いつの間にかチームが力を発揮し始めるのだ。
そんな人たちの価値は、どこから生まれているのだろう。
『マイ・インターン』が教えてくれたこと
ボクの好きな映画のひとつに『マイ・インターン』がある。
本作の主人公 ベンは、70歳でスタートアップ企業のインターンとして働き始める。彼は毎朝髭を剃り、きちんとスーツを着る。ポケットにはハンカチを忍ばせ、相手への礼儀を欠かさない。
一方で、若い社員からパソコンを教わり、新しい働き方にも素直に適応する。深夜のパソコン奪還作戦にも、少年のような表情で参加する。
彼は、昔ながらのやり方に固執する頑固者ではない。
彼が固執するのは、相手を大切にするという姿勢なのだ。
習慣は誰かのためにある
本作で印象深いのは、彼の家だろう。
彼の住んでいる部屋は、一人暮らしなのにきれいに整えられている。
それは、誰かに見せるためではない。
だから、突然同僚のデイビスが居候することになっても、何のためらいもなく受け入れられる。
ベンが毎朝髭を剃ることも、毎日スーツを着ることも、家を整えることも、自分を立派に見せるためではない。それは、いつ誰と会っても、その人を大切にできるようにするためだ。
ボクはベンの習慣をそんな風に捉えたのだった。
強みとは強いことだけではない
学生のころは「何を言うか」で評価される。
社会に出ると「何ができるか」で評価される。
でも、ベンは「毎日をどう生きているか」で周囲から信頼されている。
そう考えると、彼は家の中と会社の中をあまり区別していないのだろう。会社だから礼儀正しいということではなく、誰も見ていない家の中でも、同じように丁寧に暮らしている。
だから、ベンの振る舞いはいつも落ち着いていて、決して無理をしているように見えないのだ。
ボクは思う。
人の強みとは、競争して誰かに勝つようなことではないんだろう。
それは、誰の前でも… いや誰も見ていないところでも、どんな時でも変わらず「続けられるもの」を指すのかもしれない。
