【読書記録 -143】ルーツ・ブランディング
なぜ紙の会社がブランド論を書いたのか
― ブランドとは何だろう ―
そんなことを考えながら、本書『ルーツ・ブランディング』を手に取った。本書の著者は株式会社第一紙行。1946年創業の、パッケージや販売促進を手がけてきた会社である。

「なぜ紙の会社がブランド論を書くのだろう…」
ボクはそんなことを思いながらページをめくったのだった。
80年間「売る」を考え続けた会社
第一紙行は、包装紙やパッケージを企画・デザインし、商品をどのように届ければ価値が伝わるのかを考え続けてきた会社だ。そして現在は企業のブランドづくりを支援している。
この会社は80年かけて事業を広げてきたように見えるが、実際には「売る」というテーマを深く掘り下げてきた会社だ。
パッケージから販促へ。販促からブランドへ。
そして現在は、企業の歴史や地域文化、創業者の思い(ルーツ)へと。
ルーツとは「企業の根っこ」である
本書で提唱されるルーツ・ブランディングは、「調べる」「磨く」「魅せる」の3つのプロセスで構成される。
ルーツ・ブランディングとは、地域の風土、歴史、経営者の思い、過去の決断など、その企業が積み重ねてきた「根っこ」を見つけ出し、現代の顧客へ伝わる形へ翻訳することだ。だから、たとえ商品が海外向けだからといって、外国人好みのデザインへ寄せたりはしないのだ。
第一紙行は説く。
地域性を徹底的に磨くことで、結果として世界にも伝わるブランドになるのだ、と。
ブランドとは、万人に受け入れられるものじゃない。
その土地でなければ、その時代でなければ生まれなかったという事実を根っこに持って、ブレずに粛々と自分が最高だと思う商品を作り出すことによって構築されるものだ。
ボクが感じたこと
ボクの勝手な憶測ではあるが…
この本は、社外へ向けた営業本ではなく、第一紙行の社内向け教科書として書かれたのではないだろうか。
本書には自社サービスを売り込むような記述はほとんどない。
代わりに繰り返し語られるのは、仕事に対する考え方だ。
第一紙行は今年、創業80周年を迎えている。
そう考えると、本書はルーツ・ブランディングという手法を説明する本というより、80年間積み重ねてきた実践知を、次の世代へ受け継ぐために言語化した一冊なのかもしれない。
仕事の進め方ではなく、仕事の哲学を伝えるための本。
ボクには、そんな一冊に思えた。
参考リンク
・『ルーツ・ブランディング』書籍情報
・株式会社第一紙行
