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【読書記録 -100】世界の一流は「部下」に何を教えているのか

日本企業の「管理職(マネージャー)」というポジションにいる人は、この『世界の一流は「部下」に何を教えているのか』を一度は読むべきだ… ページをめくりながらボクはそう思った。

この本の面白いところは、単に外資の一流企業のマネージャーがどんなマネジメントの技術や考え方を持っているかだけでなく、多くの日本企業のマネージャーがやっていることと対比させているところだ。

本書の著者 ピョートル・フェリクス・グジバチは、2000年に来日し、日本で20年以上に渡ってモルガン・スタンレーやGoogleなどの外資企業に勤めてきた人物だ。特にGoogleの日本法人では、アジアパシフィックのピープルディベロップメント(人材育成)に在籍し、日本企業の組織構造や働き方などを客観的に分析する立場にいたようだ。…だからこんな本が書けるんだなとボクは妙に納得した。

「指示待ち人間」を生む構造的欠陥

現代の日本企業のマネージャーは、しばしば「若手に主体性がない」という言い方をする。しかしそれは、個人の資質ではなく組織の構造に問題がある場合が多い。その問題は「部下をコントロールしようとすること」と「不完全な指示」であり、結果的に組織の構造的な思考停止を招くのだ。

世界の一流のマネージャーは、上司の役割を「最高のパフォーマンスを発揮できる場を設計(ワークデザイン)すること」と考えている。もしあなたが自立型組織を構築したいと思っているなら、まずは自分自身が日本式の「管理」の考えから脱却しなければならない。

日本式組織が抱える「3つの制約」

日本企業には、部下の自律性を阻害する特有の背景が存在する。

  • 権限の欠如: 日本のマネージャー職には採用権や人事権がほとんど与えられていない。多くの場合、経営者や人事部から割り当てられたメンバーで成果を出さなければならない状態だ。その結果「自分でやった方が早い」という思考に陥り、部下の育成が後回しになる。

  • 不透明な評価制度: 日本企業においては、明確な基準がないまま低評価を下す「サイレント減点」や、背景に政治的な力が透けて見えるような「ビックリ評価」が横行している場合が多い。そうなると、部下の心理的安全性は著しく低下することになる。

  • 「全体像」の共有不足: 「全体像(Big Picture)」が共有されないまま、細部に偏った指示や目標が割り当てられる場合が多い。世界の一流マネジャーは、まず全体像を提示し、部下が自らの裁量で判断するための「境界線」を定義する。

心理的安全性を高める「対話」

Googleでは、生産性の核心は「心理的安全性」にあると考えられている。それは「なあなあの緩いチームを作ること」でも「期待値以下の仕事ぶりでも追及しない」といったことではない。「心理的安全性」とは、メンバーそれぞれの価値観をベースにした「対話(ダイアローグ)」によって構築される「信頼(相手の善意を信じること)」「信用(相手との約束を守ること)」「尊敬(相手から学ぶ価値を見出すこと)」の関係性のことなのだ。

一方、日本企業では往々にして「肩書によるアピール」や「目的のない事前交流」、「責任分散のための不毛な会議」といった慣習が横行している。それらの負の習慣こそが、部下の主体性を奪う原因なのだ。

部下の育成に最も重要なのは上司の「覚悟」

そして、部下の育成に最も重要なのは、マネージャー自身が覚悟を持って決断すること、そしてその決断したことを実行して見せることだ。

上司が決断を先送りばかりしていると、部下はそれを見て「決断するということは危険を伴うものなんだろう…」と学習してしまう。そうなると必然的に部下は自分で主体的になることをやめ、安全圏で指示を待とうとする。

そう、上司の「覚悟」こそが、組織を自律型へ変容させるための唯一かつ最大の鍵なのだ。

参考リンク集

・Amazon『世界の一流は「部下」に何を教えているのか』書籍紹介ページ
・プロノイア・グループ株式会社:ホームページ

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