報酬体系の考え方
一般的に、報酬には以下の4つの決め方がある。
ポジションに対する報酬(役職給)
仕事の内容や難易度に対する報酬(職務給)
能力に対する報酬(職能給)
成果に対する報酬(成果給)
この4つの報酬体系のバランスをどう考えるかが重要だ。
役職給には、メンバーに「より上位の役職に就きたい(上位の役職に就くと給与が上がる)」というモチベーションを働かせる効果がある一方で、人事判断が属人化し、不公平感を生んでしまいやすくなる。またその職位に着いた人が地位にあぐらをかいてしまうことが多く、上司批判が会社批判に発展するリスクもあるだろう。一部の会社では一定以上の職階を「管理監督者」と位置付けることによって、役職給と残業代をトレードオフにしようと考える。それは長い目で見たときに、その役職の魅力を下げてしまうことになるかもしれない。
職務給は「誰であっても同じ仕事をしていれば同じ給与を支払う」という考えの報酬制度だ。給与の違いは、職務の内容とその難易度、責任範囲(責任の重さ)に基づいて決められる。よって、公平であることには間違いないが、適材適所の判断が難しくなり、その職務に合わないと感じた人は移動(場合によっては退職)を希望するようになる。そして、職務給の良さを最大限活かすためには、社内に複数の職種の門戸が開かれている必要があるので、ひとつのビジネスに特化している中小企業には有効な職務給を設定することが難しい場合が多い。
職能給は、同じ職務に就いている人の中で、その人の「職務遂行に必要な能力」を評価して報酬に反映させるという考えになる。いわば「会社の戦略や計画への貢献の期待度」に対して報酬を払うという考えになるだろう。それは年功序列という考えを排除することができるので、職歴の浅い人や若い人たちのモチベーションを上げる効果が期待できる。一方で、その貢献はあくまでも期待であって、市場環境や社内環境によっては目先の成果に結びつかない場合もある。よって、人事権者にはその人の能力を適切に見極める力が求められるだろう。
成果給は、文字通りその人の成果(業績)に基づいて給与を決める方法だ。野球選手の年俸制度などがその最たるものだろう。一部の人にとっては、非常にモチベーションを上げる報酬制度となる一方で、バックオフィス業務を行う部署の人たちをどのように評価すべきか悩むことになる。また、他者を出し抜こうとするマインドが働きやすいため、チームの協調性を下げてしまうリスクがある。
日本のほとんどの会社は、上記の4つの報酬体系の組み合わせで給与を決めていると思う。そこに加えなければならないのは、自社の企業理念と中長期計画だ。
事業形態や市場環境、また業界の中のポジションによって会社の粗利は異なる。粗利が異なると使える販管費が異なり、労働者に分配できる人件費が異なる。それは年間の営業(経常)利益の差を生み、それが将来的にどのような資産を手元に残すか…という経営者の思惑につながる。
報酬体系は近視眼的に考えてはいけない。
