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【読書記録 -48】さよならドビュッシー

― どんでん返しの帝王 ―

中山七里は、2009年に本作『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、48歳という遅咲きのデビューを果たした異色の作家だ。

彼の作品の最大の特徴は、物語の終盤で世界が一変するような「どんでん返し」を必ず用意することにある。その圧倒的なプロット構成力から「どんでん返しの帝王」「逆転の帝王」の異名を持つ作家だ。

音楽を題材にした小説って…
そんなの難易度が高いに決まってるだろうに。

主人公・遥は、火災で全身に大火傷を負い、皮膚の移植手術と壮絶なリハビリを余儀なくされる。かつての美貌も、自在に動く指も失った彼女の心は、絶望と自己嫌悪で激しく揺れ動く。しかし、その虚無の中に現れたピアノ講師・岬洋介が、彼女の運命を変えていく。

火災という悲劇によって家族と自由な身体、そしてピアニストとしての将来を奪われた少女が、激痛に耐えながら鍵盤に向かう姿は、単なる努力の範疇を超えている。

そこにあるのは、過去の自分を惜しみ、失ったものを嘆く後ろ向きな感情ではない。変わり果てた現実を受け入れ、ボロボロになった指先で新しい自分の音を紡ぎ出そうとする強烈な意思である。たとえ周囲から「不可能だ」と断じられても、自らの内側に唯一残った「音楽」という光を頼りに、暗闇を突き進む姿が描かれている。

…なんだか、こうやって書いてみるとスポ根ストーリーのようだ。

一見、過酷な運命に立ち向かう少女の成長を描いた物語、もしくは美しい師弟愛が中心になっている小説のように思えるが、その裏で緻密な伏線が張られていく。

そして、「伏線回収」なんて言葉が陳腐になるようなエンディングを迎えるんだ。だけど、それだけじゃない。

最後の最後に「さよならドビュッシー」のタイトルも回収されるのだ。


もう17年も前の作品だったんだなあ。
そして、2013年に映画化もされている。

やっぱり、こういう話題作は、そのときにちゃんとチェックしておくべきだなあと改めて思う。

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