晴れ男のジレンマ
「結構降ってるな…」
ボクがいつも使っている東京メトロの路線は、途中で地上に上がって、そこからは高架の上を走って郊外を目指す。
会社を出たときはまだ雨は降ってなかった。
仕事が早めに一段落したので、帰りの電車が混み出す前に帰宅してしまおうと思って16時前にオフィスを出た。そこからすぐに地下に降りたので、雨が降り始めたことに気が付かなったのだ。
地下鉄の車両は地上に出て川を超える。
その車窓でボクは雨が降っていることに気が付いた。最寄り駅に着いて改札を出ると、思っていた以上の土砂降りだ。
「少し待ったら小降りになるかもな…」
ボクは、ガード下のハンバーガーショップに入って、ホットコーヒーを注文して一息ついた。
ボクは雨が好きだ。
ちょっと肌寒いくらいの気温のときがいい。
少しだけ窓を開けて、ひんやりと湿った空気を部屋に入れると落ち着くように思う。そして雨音を聞きながら眠るのが好きだ。
それなのにボクは晴れ男だ。
だから(ってことでもないかもだが)ボクは誤解されやすい。明るくて社交的な男だと思われがちなのだ。しかたないので会社ではいつも不機嫌な顔をしている。ウェ~イ的なノリで話しかけられるのが嫌なのだ。
ボクは心配性だ。
だから、常にリュックの中に折り畳み傘を忍ばせている。だけど、その傘の出番は極端に少ない。もう10年くらい同じものを使っているが、さほど傷んでいるような感じはしない。傘袋だけは穴が開いてきたけど…
そしてボクは用意周到だ。
だから今日はちゃっかり防水のスニーカーを履いてきている。天気予報は毎朝欠かさずチェックするのだ。ボクのスマホには天気予報系、雨雲レーダー系のアプリが合計7つも入っている。
なんてことはない。
晴れ男の正体は、雨の日に出かけない男だ。
雨の日は家に篭って本でも読むのさ。
さて、コーヒーもぬるくなってきた。
雨もあがったようだし、そろそろ帰ろうか。
