【読書記録 -61】リーダーの仮面
感情を排し組織を勝たせる識学的マネジメント
多くの経営者や管理職は、部下との距離感やモチベーション維持に悩みを抱えているものだ。そして、その解決策を模索することに多くの時間を費やしているだろう。
本書『「いちプレーヤー」から「マネージャー」に頭を切り替える思考法 -リーダーの仮面-』は、個人の感情を横に置いて、組織としての機能を最大化させる「勝てる組織」の作り方を説くものだ。

著者 安藤広大は、株式会社識学の代表取締役だ。
識学(しきがく)とは、人の思考の癖から生まれる誤解や錯覚を減らし、組織の生産性を最大化する意識構造学を基にしたマネジメント理論だ。
著者は、早稲田大学卒業後、NTTドコモなどを経てジェイックにて取締役を務めた後、意識構造学(識学)に出会い、その圧倒的な有効性を確信して独立したそうだ。その後、わずか3年11ヶ月でマザーズ上場を果たしたことは、識学の理論が再現性の高いものであることを証明していると言えよう。
リーダーの「仮面」を被ること
中小企業の経営者や管理職の多くは、部下との距離感や彼らのモチベーションの維持の難しさに悩むものだ。
識学の考え方においては、リーダーが(個人の感情を横に置いて)ルールと仕組みで組織を動かすという「仮面」を被ることが重要だと説く。組織としての機能を最大化させ、勝てる組織を作ることがリーダーの仕事なのだ。
リーダーが部下に好かれようと腐心すればするほど、部下に対する評価の不公平を生み、それが結果的に組織の成長の阻害要因となる。だからリーダーは、一見冷徹とも思える「仮面」を被るべきなのだ。
本書では、リーダーが集中すべき領域を以下の5つに絞り込んでいる。
1. ルール
→ 場の空気ではなく、言語化されたルールを作る
2. 位置
→ 対等ではなく、上下の立場からコミュニケーションする
3. 利益
→ 人間的な魅力ではなく、利益の有無で人を動かす
4. 結果
→ プロセスを評価するのではなく、結果だけを見る
5. 成長
→ 目の前の成果ではなく、未来の成長を選ぶ
リーダーの「仮面」とは何か
部下のモチベーションを上げることが上司の仕事ではない。
部下に対して、明確な「ルール」に基づいた「結果」のフィードバックのみを行うことで、部下は自らの不足を自覚し、自発的に動くようになる。この冷徹とも取れる「位置」の明確化こそが、迷いのない組織運営の根幹となる。
リーダーが「仮面」を被り、その役割に徹したとき、仕組みが機能し、チーム全体が個々の能力の総和を超えた成果を出すのである。
