研究テーマ① 人間の脳は、どのような順番で今の知能を持つに至ったか?
神経科学の分野において、これまで「今の人間の脳の仕組み」を解明することが進められてきた。
しかし、私の興味の本質はそこに無い。
脳が、今の状態になった過程そのものを解き明かしたいのだ。
言葉を扱い、数を数え、社会を作る。
私は、こういった人間の営みが立ち上がる過程に、一定の順序と制約があるのではないか、という仮説を持っている。
例えば言語。
他者の単語を聞いて理解するには、音を認識する装置が必要で、対象を区別し、似たものを同じまとまりとして捉える力が必要になる。さらに、それらの関係性を扱い、組み合わせることで初めて文として理解できる。そしてこれを解釈し、自身の内部情報と擦り合わせ、他者が理解できるように分を組み立てて発声する必要がある。
この装置・能力の一つでも欠ければ、会話でのコミュニケーションは成り立たないように思える。
このように、人間が「行為」としておこなうこと一つとってみても、それを成立させるための無数の装置が組み合わさっていることが想像される。
自分の興味は、
「それらの装置を細かく分解すると、どういった最小単位が浮かび上がるか」にある。
重要なのは、この装置が積み重なって「行為」を行えるようになるための途中段階は、無意味ではありえないという点だ。対象を区別する力や、似たものをまとめる力は、それ自体が環境への適応として有利でなければ淘汰されよう。つまり各段階は、後の高度な能力の前提であると同時に、その時々の時点でも何らかのメリットを持っていたはず、と考える。
「今の知能を構成する最小単位はどのようなものか。そして、それらの単位たちはどのような順番であれば、生物としての生存をくぐり抜け、今のような形になるのか。」
この問い、面白すぎる。
