郷愁のエッセー「床屋の思い出」すき間亭日記
僕は、子供のころ近所の床屋へ行っていたのですが。
そこでの、忘れられない思い出があるのです。
いや、思い出と言うよりも。
その床屋さんへ行くたびに、迷惑をかけていたという方が正しいかもしれません・・・。

その床屋さんは、女性が一人でやっていました。
そこは、女性の実家の建物の一室を改装して、床屋として営業していたのです。
そこが、家から一番近い床屋であったので、祖父が、床屋へ行くときは僕も一緒に連れて行ってくれていたのでした。
話は、少しずれますが。
この祖父と言う人が、明治生まれの男で、若いころ東京で警察官をしていたためか、元々の性格なのか分からないのですが。
漫画、巨人の星に出てくる、星一徹のような人で、何か気に食わない事があると。
瞬間湯沸かし器のように、ぱっと一気に感情が沸騰し「グワーーーー!」と激怒して。
「ドリャーーーー!」と、ちゃぶ台をひっくり返すような人だったのです。
ですから、家族は、触らぬ神に祟りなしで。
普段から出来るだけ刺激しないように、そーと生活をしなければならないという厄介な人でもあったのです。
しかし、この人はどういう訳か、外面だけはとても良い人だったので。
家族の間では、「まったく、外面だけは良いのだから・・・」と影では言っていたのでした。

そんな祖父に連れられて、近所の床屋さんへと行っていた僕ですが。
床屋さんへ行くたびに、僕がある事をしていたものですから。
床屋さんは、大変だったと思うのです。
僕は、果たして床屋さんへ行くといったい何をしていたのでしょうか・・・。

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