【シロクマ文芸部】花びらをおデコに乗せたネコ
花びらをおデコに乗せたネコに会った。
通りがかった近所の公園で、桜の樹の下にちょこんと座ったキジトラのおデコには、散り始めたピンクの花びらが乗っていた。
そいつは何一つ気にもしない様子で少し上を見上げたまま、またふわふわと上から散りくる花びらを目で追っていた。
また一枚、狙ったようにおデコに花びらが積もる。
いつもは子どもたちで溢れる公園が、今は珍しく人気がない。
そこから公園の縁石の上を渡ってきて、私の歩く歩道のすぐ斜め前を歩いていく。
器用にも、おデコに積もった花びらはそのまま落ちる様子もない。
おとぎ話だと、だいたいこのままどこかに案内されるんだろうな、と思いながらそいつの揺れるしっぽを眺めていたら、公園の門、縁石の曲がり角でそいつは足を止め、こちらを振り向いた。
花びらはまだそのままだ。
少し、会釈をされたような気がしたが、変わらず花びらをおデコに乗せたままのそいつは、縁石に沿って右に曲がり、私はそのまま、十字路の先にまっすぐ延びる道を進んだ。
今日もおとぎ話には迷い込めなかったみたいだ。
inspired by…
今回はこちらのお題企画に挑戦してみました。
楽しかったです!
