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そこに粘土があったから。何かを残したい気持ちは縄文人も同じだった。

国宝2体と遮光器土偶5体が集結した「世界遺産縄文展」。あのお馴染みの、どこか眠たげな遮光器土偶を間近で見たくて足を運びました。

一万年、一生、一年を巡る旅

「まだ米つくらないの?」「えっ」
とても工夫された展示になっており、イラストも端的で分かりやすかったです

展示室に入ると「まだ米つくらないの?」「えっ」という、ユーモラスなイラストが出迎えてくれました。 縄文時代は、土器を使い定住しながら、狩猟や採集を基盤とした時代です。世界が農耕へと移行する中、独自の採集文化が1万年以上も続いたのが最大の特徴。期間は約16,000年前から2,400年前までと、驚くほど長期にわたります。

「縄文人の一生」に心を奪われて

素晴らしい土器や土偶の数々をうっとりと眺めていたのですが、今回もっとも心を奪われたのは「縄文人の一生」という展示エリアでした。

文字や記録はなくても、遺跡の痕跡や遺物をひも解けば、当時の営みを読み取ることができます。生まれて、生きて、死んでいく。その普遍的なサイクルは、一万年前も今も変わらないのだと実感させられました。

子どもの誕生と成長を願う縄文人

思わず足を止めたのは、乳幼児の「手形・足形土製品」です。これらは、柔らかい粘土板に実際の子供の手や足を押し付けて作られています。

手形・足形土製品

手形は10〜12カ月の乳児や2歳前後の幼児、足形は生後8〜10カ月の乳児のものとみられるそうです。

手形・足形

現代の「手形スタンプ」のように健やかな成長を願って作られたのか、あるいは、幼くして亡くなった我が子を偲び、再生を願ってお墓に供えられたものなのか。どちらの理由であっても、そこに宿っているのは、我が子の生きた証を残したいと願う親の深い愛情です。

そこに粘土があったから。

何かを残したい、触れたぬくもりを形にしたいという切実な願いは、一万年の時を経ても変わることはないのですね。粘土に刻まれた小さな指の跡に、時代を超えて共鳴する親の心を見た気がして、胸が熱くなりました。

出産は常に命がけ

土偶のほとんどが女性なのは、当時の過酷な出産事情が関係しているようです。恐らく医学のなかった時代、出産は常に命がけでした。

重要文化財 しゃがむ土偶
出産を表現したものと考えられている

縄文人は土偶に、母子の無事への祈りを託したのでしょう。実際の女性の人骨にも、何度も出産したことを示す妊娠痕が深く刻まれており、彼女たちが命を繋いできた証を突きつけられました。

後ろ手土偶

こちらはとても小さな土偶ですが、後ろに手をついて踏ん張るポーズで出産の瞬間を表しているといいます。

最新技術で明らかになる縄文人のすがた

3DプリンターやDNA解析などの最新技術で、縄文人の顔立ちや個人の情報が次々と明らかになっています。3Dプリンターで頭蓋骨の模型を作成し、それに粘土で肉付けすることで縄文人の顔立ちを復元。また、人骨そのものを試料として、年代測定や炭素・窒素安定同位体比分析、ミトコンドリアDNA解析などの化学分析が行われているそうです。

髪飾り、耳飾り、首飾り、腕輪、指輪
おしゃれな縄文人 黒柳徹子さん!?

縄文人は髪型を整え、綺麗な装飾品を身につけるなど、非常に高い美意識を持っていたようです。オシャレですね。

髪飾り
耳栓みたいな耳飾り。AirPods?

終わりは始まり、再生への願い

最後は「死と埋葬」の展示です。縄文人にとって死は終わりではなく、始まりを意味する「再生・循環思想」が根底にありました。遺体を胎児のように丸める屈葬や、子供を土器(母体)に返す埋葬法に、その祈りが込められています。

埋葬された首飾り:埋葬された女性とは別の人物(夫か)の指骨に孔(あな)をあけ、それを連ねて首飾りとしていたとみられます

埋葬された女性と一緒に出てきた「ヒトの指の骨で作られた首飾り」は、衝撃的でした。「別の人物(夫か)」と書かれてあります。想像しかできませんが、先に亡くなった夫の骨を加工して首飾りにしていたのかも知れません。現代の遺骨ペンダントにも通じることに、縄文人の深い情愛を感じ、胸が熱くなりました。

縄文人も私たちと同じように、悩み、愛し、精一杯の一生を駆け抜けた。展示室を出る頃には、一万年前の彼らがずっと身近な存在に思えてなりませんでした。

🌰 縄文人になりきって縄文コラボメニューをいただく

前田珈琲 文博店(京都文化博物館 別館中庭)

別館中庭にある前田珈琲 文博店では、縄文展をイメージした期間限定メニューが提供されていました。

縄文展をイメージした期間限定メニュー

縄文風 スモークサーモンのサラダプレート。縄文人が食べていたサケやクリなどの木の実をイメージした具材が散りばめられたサラダです。実際の縄文人がどんなふうに食べたか分かりませんが、縄文人の気分になって頂きました。

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