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【Soil100 VOICE】精神疾患の親を持つ子どもを「見えにくい存在」にしない──〈NPO法人CoCoTELI 理事長〉平井 登威

「儲からないけど、意義がある」
そんな事業に取り組むチームを、公益財団法人Soilでは「非営利スタートアップ」と定義し、事業助成を行うプログラムを通して支援しています。

プログラムの一つ、「Soil100」は、非営利スタートアップ創業前後の、これから実績を上げていく個人の活動家の方に最大100万円を助成するものです。

この連載記事【Soil 100 VOICE】では、Soil100プログラムで支援してきた非営利スタートアップの皆さんに、活動への思いや、これまで・これからについて伺っていきます。

今回は、NPO法人CoCoTELI 理事長平井 登威さんです。
「精神疾患の親を持つ子どもをひとりにしない」をキーワードに活動するNPO法人CoCoTELI。「精神疾患の親をもつ子ども・若者が高確率で自身のメンタルヘルスに不調を抱えてしまう」という課題の解決に取り組んでいます。
活動を続ける平井さんが描く未来や、今までの模索、これからの展望など伺います。


今回お話を伺うのは…

平井 登威(ひらい・とおい)さん
NPO法人CoCoTELI 理事長

2001年8月静岡県浜松市生まれ、関西大学4年生。精神疾患の親をもつ子ども・若者の支援を行うNPO法人CoCoTELI代表。幼稚園年長時に父親がうつ病になり、名前のつかない困難や虐待、情緒的ケアを経験。精神疾患の親をもつ子ども・若者支援の土壌をつくるために日々奮闘中。
ForbesJAPAN 30 UNDER 30 2024「世界を変える30歳未満」30人に選出

つくりたいのは、どんな社会?

NPO法人CoCoTELIは、「精神疾患のある本人もその家族も生きやすい社会へ」を掲げ2023年5月にNPO法人化した団体です。

精神疾患のある本人もその家族も生きやすい社会を実現するための一役割として精神疾患の親をもつ子ども・若者支援に取り組んでいます。

海外では子ども全体の15-23%程度いると言われている精神疾患の親をもつ子どもは、他の子どもと比べて自身のメンタルヘルス不調のリスクが有意に高いと言われています。

そんな彼ら・彼女らは、児童福祉と精神保健医療福祉という二つの制度領域の“狭間“に置かれやすい、 “見えにくい存在“です。

「子ども」側の児童福祉領域では虐待、不登校、ヤングケアラーなど名称が付与され政策的優先度が高い困難の対応が主たる対象となり、予算も重点的に配分され、

「親」側の精神保健医療福祉領域では主たるクライエントが「メンタルヘルスに不調を有する本人」であるため、本人支援には力が注がれています。

一方で、家族支援は制度的・財務的インセンティブが乏しく、実施体制も限定的です。

そんな本領域は、親子関係に困難を抱える子どもが多いことから親の金銭的負担による民間支援の構築も難しく、現状は公的な枠組みにも落とし込まれていないため、財務的課題が大きいのが特徴です。この構造的ギャップにより、包括的な公的・民間双方の支援は希薄なまま推移しています。

そんな領域において私たちは、「当事者に寄り添う」→「仕組み(モデルケース)をつくる」→「仕組みを広げる」の3ステップを目指します。

現在は、フェーズ1として精神疾患の親をもつ子ども・若者を対象とした住む地域に関係のないオンライン上での支援構築を行っています。

なぜSoilに応募しましたか?

Soilには、NPO法人化する直前の2023年4月からご支援をいただきました。
NPO設立時に使える自由度の高い資金、人的な支援等は現状整っているとは言えないと考えています。

そんななか、Soilのような存在は、そこに対する支援であり貴重な存在であったため、Soilがスタートするという投稿を見たときには応募を決めていました。

Soilの支援をどう活かしていますか?

資金的な面においては、僕自身の最低限の生活費の部分、現場支援スタッフへの最低限の委託費等に活用しました。Soilの採択がなければ、設立時にプロダクトづくりにコミットする状態は作れなかったと思います。

当事者に寄り添う<居場所会>の様子

また、メンターがついてくださったことがとても大きな支えにもなりました。僕自身、学生起業で正直右も左も分からない状態だったなかで、メンターの方への定期的なメンタリングの時間は、当時の状況をメタ認知するという面で本当に大きな意味を持っていました。振り返ると、あの時間の使い方は下手くそでもっとうまく活用できたな、、、という反省もありますが、当時の自分にとってはとても大切で大きな力となった時間でした。

「儲からないけど、やる理由」を感じる場面って?

先述しましたが、僕たちが取り組んでいる精神疾患の親をもつ子ども・若者支援の領域は、様々な構造的ギャップにより、包括的な公的・民間双方の支援が希薄なまま推移しています。

基本的に、ビジネス化が難しく資本主義のロジックでは選ばれづらい儲からない領域である訳ですが、だからと言って多くの子ども・若者が今苦しんでいる状況に対して目を背けて良いとは思いません。

そんな領域において、寄付の可能性はとても大きいと感じています。

寄付だからこそ、受益者の金銭的状況等に左右されず、応援や参加の形の1つであるご寄付を活用して、資本主義のロジックでは「選ばれづらい」、社会彼見えない存在となっている子ども・若者たちに支援を届けることができます。

実際に彼ら・彼女らから、

「CoCoTELIが初めて自分の経験を話せた場所」
「親の病気のことを友達にも先生にも言えなくて、ずっと一人で抱えてきた」
「支援の対象となって来なかった」

といった言葉を聞くことは多く、活動している理由を感じます。

実際に届いた声

儲からないからといって、そういった子ども・若者、その親の存在、そして社会の課題を見過ごさない。僕たちのようなNPOが、当事者の声を受けとめ、支援のモデルを作り、制度を動かす役割を担う。そんなプロセスのなかで、既存の社会の仕組みのなかでは目が向けられることが少なかった課題が社会課題化され、光が当たり、支援等が整備されることで彼ら・彼女らを支える網目が細かくなる。そんなところに儲からないけど、やる理由を感じます。

イベントの様子

資金面や組織運営で大変なことも多いと思います。そこをどう乗り越えているのか教えてください。

ここは日々本当に悩んでいて悩みはつかない部分ですし、寄付型NPOの面白さと同時に難しさを感じている部分です。
実際に今も「あと◯ヶ月でキャッシュアウトする!どうしよう!」という状況ですし、組織運営上も様々な課題感があります。

現在は様々な先輩方やSoil時代のメンターの方等に相談させていただきながら、様々な可能性を洗い出し、現状打破に向けてチャレンジを重ねています。

これからどんなことに挑戦したいですか?

現状は、「当事者に寄り添う」→「仕組み(モデルケース)をつくる」→「仕組みを広げる」の3ステップのファーストステップとして、「当事者に寄り添う」オンライン上での直接的な支援活動を行っていますが、これからはフェーズ2として、予防的な支援の仕組みづくりに踏み込んでいきたいと考えています。

現状の活動でCoCoTELIが出会っているのは、親子に何かしらの困り事が発生しているから相談に繋がったケースであり、多くの場合その困り事が積み重なって大きくなった状況にあります。


その背景には見えていないだけで、親子の困難の総量が小さかったタイミングや困難が発生していなかったタイミングがあるはずです。そのタイミングでの親子に対する予防的な介入策が必要であると考えており、そこのタイミングでの早期発見・早期介入の支援構築に試行錯誤を重ねながらチャレンジしていきます

平井さんの活動を応援するって、どういう形でできますか?

寄付やプロボノ、情報等のシェアがメインの形になりますが、NPO法人として活動への多様な参加の形を作っていくことは今後のテーマの1つです。

現状は特に、2025年末までに月1,000円からのご寄付でCoCoTELIを応援いただく月額寄付サポーター300人を目指しています。毎月決まった金額が見通せる月額寄付は安定した財源として支援計画/事業計画を立てやすくなり安定した支援活動に繋がります。

また、安定した財源になるだけでなく、子ども・若者にとってのサポーターが増えていくことでもあります。まだ社会から見えていない課題の顕在化につながるという意味でもとても大切です。 もしよければ、月1,000円からのご寄付で力を貸していただけると嬉しいです。

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読んでくださった方に、最後にひとことお願いします!

僕たちが取り組む、精神疾患の親をもつ子ども・若者、その親を取り巻く課題について知ることが、課題解決を前に進めていくきっかけとなります。ぜひ、この記事を読んだことをきっかけに、精神疾患の親をもつ子ども・若者、その親を取り巻く課題について考えていただけたら嬉しいなと思っています。

また、社会から見えない存在となっていることの多い子ども・若者たちにとって周囲の「信頼できる大人の存在」はとても大きな力を持ちます。多くの場合、彼ら・彼女らは困っていることを隠しているため、困っているようには見えません。だからこそ、「困っている」「困っていない」に関わらず、周囲の子ども・若者たちとの関わりを大切にしていただけたら嬉しいです。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

執筆:平井 登威
編集:岸ふみ

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