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【娘のこと|ep4】寄り添うのか、共に戦うのか


娘のいじめが発覚した日。

学校が事情を聴取した4人の親たちから、連絡は一切ありませんでした。

もし連絡があっても、あるいは
自宅に来られたとしても、
すぐに許せるはずもなく困ったとは思いますが、それでも「何もない」
ことへの複雑な思いは消えませんでした。

このいじめが発覚したのは、コロナが収束し始めた頃。

後から噂で聞いた話では、加害側の親の一人は

「コロナなんだから、消毒(除菌スプレーをかける行為)くらいするでしょ」と言い放っていたそうです。

その言葉に、私は言葉を失いました

自分の子供がそうされても同じことが言えるのか。


幸い、娘の通う学校は対応が機敏で、
心から寄り添ってくれる場所でした。

息子の件で教師への不信感を抱えて
いた私でしたが、この時ばかりは
心の底から安堵したのを覚えています。

娘の話では、主犯格の男子が他の
男子を面白半分で煽っているという構図でした。

学校側と相談し、まずは主犯と
周囲の関わりを正確に把握するため、先生方が密かに監視を続け、
現状を抑えるという計画が進むことになりました。

そんな中、それまで耐えていた娘が、
翌朝「学校に行きたくない」と泣き崩れました。

いじめが表沙汰になったことで、
さらに攻撃が過熱するのではないか。
もっとひどいことをされるのではないか。

娘の心は、得体の知れない恐怖に
飲み込まれていたのだと思います。

私は激しく悩みました。
このまま休ませてあげることもできる。

けれど、ここで恐怖に負けてしまったら、娘の中からこの恐怖を拭い去る機会を、永遠に失ってしまうのではないか。

娘に寄り添い、守るのか。

それとも、

娘の手を引き、共に戦うのか。

悩んだ末、私は「行かせる」決断をしました。

ベッドの脚にしがみついて泣く娘に、私は必死に声をかけました。

「行くだけ行こう。
行ってみてダメだったら、いつでも
帰ってきていい。

仕事なんて関係ない、
すぐに迎えに行くから。

ここで行かなくなったら、二度と
行けなくなってしまうかもしれない。

一度戦ってみて、それでも
ダメだったら、その時は一緒に
逃げて違う道を探そう」

恐怖で泣きじゃくる娘を、
半ば強引に車に乗せ、学校へ向かった。

泣き顔が落ち着くまで車内で待ち、
震える背中を送り出す。

そのまま、仕事場へ。


気がつけば職場の駐車場でした

どこをどう運転してきたかも覚えていない

エンジンを切った瞬間、堰を切ったように涙がこぼれる。

「これでよかったんだろうか」

「本当は、休ませるのが正解だったんじゃないか」

娘の傷口に、塩を塗っているだけではないのか。



願いはひとつ。

どうか娘が、これ以上傷つきませんように。


その後、いじめの形は少しずつ
変わっていきましたが、娘は一日も
休むことなく、途中で帰ってくることもありませんでした。

あの決断が、果たして正解だったのか。

ずっと答えは出ないまま、私の心に
残り続けていました。

けれど、この事件から2年後。
私は、娘自身の言葉によって、
その答えを受け取ることになります。



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