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【高校受験:息子|ep11】専修って、恥ずかしいの?

前回までのお話


進路の話を夫にするためには、

私の中で一つの条件がありました。

それは、

夫の機嫌がいい時を狙うこと。

当たり前のことなのかもしれません。

けれど、これがなかなか難しいのです。

さっきまで機嫌よく話していたと思ったら、

何かの拍子に突然怒り出すこともある。

だから私は、

できるだけ息子に聞かせたくない話は、
夫と二人の時にするようにしていました。

ところが、その日は違いました。

夕食前。

いつものようにダイニングで息子と話していると、

リビングのソファに座っていた夫が突然聞いてきたのです。

「お前、どこの高校にすることにしたの?」

予定外の質問でした。

私は思わず身構えました。

息子は何でもない顔で答えます。

「D校」

夫は続けて聞きました。

「公立は?」

息子がちらっと私を見る。

私は目で

「もう部屋に行ってていいよ」

と合図しました。

けれど息子は、その場から動きませんでした。


夫は怪訝そうな顔をして私を見ます。

「ちょうど話そうと思ってたんだけど」

私はこれまでの経緯を説明しました。

担任の先生と相談したこと。

息子の成績で受験できる公立高校を調べたこと。

環境の影響を受けやすい息子だからこそ、

偏差値だけではなく、

どんな環境で過ごすかを大切に考えたこと。

その結果、

D校とA校が候補になったこと。

話を聞き終えた夫は、

眉間にしわを寄せました。

「は?」

「公立を受けないの?」

「甘すぎない?」


そして、

「専修って何?」

「高校じゃないでしょ」

そして夫は続けました。

「息子は何も考えてないだろ」

「楽な方に流れてるだけじゃないの?」


私は思わず言いました。

「何も考えてないとか」

「本人の前で言うのはやめて」

「あの子なりに考えて決めたんだよ」

夫は

「ふーん」

「おれは甘いとおもうけどね」
そう言ったきり、

それ以上何も言いませんでした。


私は悲しくなりました。

学校見学に何度も足を運び、

悩みながら出した息子の答えでした。

それなのに、

息子自身を見る前に、

進路だけを否定されたような気がしたのです。

娘の時は私立という選択肢も認めていたのに。

なぜ息子の時だけ違うのだろう。

そんな疑問も浮かびました。


でも何より悲しかったのは、

息子がどんな思いで進路を考えたのか、

そこには目を向けてもらえなかったことでした。



けれど、

今日のところはこれ以上話しても
平行線だと思いました。

また時間をかけて話そう。

そう思い、

息子と一緒に部屋へ戻りました。

すると息子が、

ぽつりと聞いたのです。

「専修って、恥ずかしいの?」

私は驚きました。

何も気にしていないように見えて、

やっぱり聞いていたんだ。

「恥ずかしくなんかないよ」
「何が恥ずかしいのか、ママには分からない」

「学びたいことがあって行く人が
たくさんいる場所だよ」

「高校の形が違うだけ」

息子は黙って聞いていました。


そして、
「うん、わかった」
と頷きました。

少し間を置いて、こう続けました。
「とりあえず俺、D校目指して頑張ればいいんだよな」

「うん」
「パパのことは、ママに任せて」


息子は小さく頷きました。

その顔を見ながら、

この子の進路は、

誰かの「普通」ではなく、

この子自身の気持ちを大切にして決めたい。

そんなことを考えていました。


夫との話し合いは、
ここから何度も続くことになります。

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