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【書評】『理不尽仕事論』を読んで感じた「光の側の心理学」への違和感と、真のダークサイドからの浮上法

はじめに

今回は、坂井風太氏とぐんぴぃ氏による共著『理不尽仕事論』を読んだ感想をお届けします。

本書は著者お二人による対談形式で進められ、テーマとしては「個人と組織における心理学」を分かりやすく紐解いた内容となっています。

ちなみに対談の構成としては、メインで坂井氏が持論を展開し、サブとしてぐんぴぃ氏が合いの手やリアクションを挟んでいくスタイルです。

読み進めていくと「組織のこういう理不尽、あるある!」と共感できるポイントが多く、事例として映画や漫画のキャラクターが引き合いに出されるなど、ポップで読みやすい工夫が凝らされています(※作品を知らない読者には少々「?」となる部分もありますが……)。

しかし、長年「世の中の理不尽」と向き合ってきた一人の人間として、本書に対してどうしても拭えない「ある違和感」が残りました。


描かれているのは「救いがあった人」の心理学

本書を読んでいて私が感じたのは、ここに書かれている心理学はあくまで「表面上の理不尽をポジティブに捉え直すための心理学」にとどまっているのではないか、ということです。

苦労や理不尽の質には、個人によって大きな差があります。

例えば、仮に家庭環境などの逆境があったとしても、周囲に一人でも「尊敬できる人」や「手を差し伸べてくれる人」が存在した環境で育った人は、本人の素質や努力次第で、比較的早い段階で世の中を「光の世界」として捉え直すことができるのかもしれません。

しかし、私が本当に知りたかったのはそこではありません。

「尊敬できる人も、助けてくれる人も誰一人いない環境で育ち、30年もの間ダークサイド(不条理な世界)に落ちて染まりきってしまった人間が、どうすれば改心し、光の世界へ浮上できるのか?」

という、もっと根深い課題へのアプローチだったのです。


凡庸な人間が「真のダークサイド」から這い上がるには?

30年近くダークサイドの理不尽に耐え、そこから社会的地位や成功を手に入れることができるのは、個人の持つ元々の「素質」や「環境の運」に負うところが非常に大きいと私は思っています。

だからこそ、ひねくれた視点かもしれませんが、「特別に恵まれた素質があるわけでもない凡庸な人間が、真の暗闇から這い上がるための具体的な泥臭いノウハウ」を提示してほしかった、というのが正直な感想です。

そういった意味では、私個人にはあまり深く刺さる一冊とはなりませんでした。

世の中や人間の心理の本質、あるいは時代を超えた理不尽の不変性を学ぶのであれば、本書よりもモーガン・ハウスルの『SAME AS EVER(一貫性の法則)』などに書かれている心理学のほうが、より真実に近く、深い学びと示唆を与えてくれると感じます。


おわりに

少し辛口な評価になってしまいましたが、「組織や個人の人間関係における理不尽さ」をライトに言語化し、日々のストレスを和らげる「あるある本」としては読みやすい一冊です。

「自分が求めているのはライトな捉え直しなのか、それとも根本的な思考の構造改革なのか」を認識させてくれたという意味で、自分自身の価値観を再確認する良いきっかけとなりました。


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