【社会人の大学院進学】公共政策・政策研究を学ぶなら、修士課程or専門職学位課程、どちらを選ぶ?
大学院で「公共政策を研究したい」そう考えたとき、一般の大学院の「修士課程」以外にも、「専門職学位(専門職大学院)」という課程を目にしたことはありませんか?
公共政策など同じ分野に見える研究科が、一般の大学院(修士課程)にも専門職大学院(専門職学位課程)にも設置されており、両者の違いに疑問をもつ人も少なくないのではないでしょうか。
公共政策・政策研究を学びたい場合は、どちらを選べばよいか?
結論から言えば、どちらでも公共政策研究は可能です。
ただし、研究成果を学術論文として発表する場合や、博士課程への進学を予定している場合は、注意が必要です。
この記事では、「修士課程」と「専門職学位課程」それぞれの特徴を整理しながら、特に公共政策・政策研究を目指す方が、専門職学位課程を選ぶ際に知っておきたいポイントを解説します。
公共政策・政策研究に関心があり、修士課程と専門職学位課程のどちらを選べばよいか迷っている方にとって、自分に合った進学先を見つけるヒントになればうれしく思います。
(※本記事は、初回公開後に表の説明文を加筆しました。)
1.カリキュラムだけではない、課程の修了後にも違いがある!
◆ 修士課程(一般の大学院)
大学院の修士課程は、特定の学問分野における知識や研究手法の習得を目的しているため、学位を取得するには修士論文(またはリサーチペーパー)の執筆が必須です。所定の単位を修得し、論文の審査に合格すれば、修士号(修士(○○学))の学位が授与されます。
修士課程を置く研究科では、たいてい、紀要(研究成果をまとめた研究科の論文集で、一般的に「査読」が付きます)が発行されており、優秀な修士論文は紀要に掲載されることもあります。
また、多くの大学院では、修士課程と博士課程がセットで設置されており、同じ研究科内で博士課程に進学すれば、入学金が不要になるなど、研究をスムーズに継続できる仕組みがあります。同じゼミで研究を続けられるという安心感も大きいでしょう。
なお、学部と同じ系列にある研究科では学部からの進学者が多く、独立した研究科では社会人院生が中心になるなど、学生の構成も異なります。
社会人入試を設けている大学院では、筆記試験が免除され、研究計画書と面接のみで選考されるケースもあります。
◆ 専門職学位課程(専門職大学院)
一方、専門職学位課程は、実務に直結した知識やスキルを身につけることを重視しており、授業はケーススタディやプロジェクト形式が中心です。
成果物も論文だけでなく、グループワークやプレゼンテーションといった形式でまとめられることもあります。
実務経験をもつ教員が多く在籍している点も、専門職学位課程の特徴です。大学院によっては1年制のコースもあり、学生の多く(あるいは全員)が社会人です。
入試でも筆記試験を課さない大学院が多く、入学後の目的意識や実務経験に基づいた課題設定が重視される傾向にあります。
修了時には「修士(専門職)」の学位(たとえば「公共政策学修士(専門職)」)が授与されますが、研究成果を発表する機会は限られており、紀要(査読付き)を設けていない研究科も少なくありません。
さらに、博士課程が設置されていない大学院が多いため、将来的に博士号の取得を目指す場合は、他大学院に進学することになります。
また、学費については、一般の修士課程に比べて高めに設定されていることが多いため、事前の確認が欠かせません。
<公共政策系の修士課程と専門職学位課程の違い>

2.公共政策が学べる専門職大学院にも違いがある!
公共政策(政策研究)といっても、その領域は幅広く、一般の大学院(修士課程)では経済学、社会学、政治学など、さまざまな研究科で扱われています。
一方、専門職学位課程では、公共政策に関する専門職大学院が設置されています。👇

(注)東京大学公共政策大学院は研究成果の発表において「査読」の明記はありません。その他2大学院は査読付き紀要です。
公共政策系の専門職大学院においても、修士論文(またはリサーチペーパー)は必須であるため、「政策提言につながる研究がしたい」という目的に対しては、どちらの課程でも取り組むことが可能です。
ただし、研究成果を学術誌に掲載する場合は注意が必要です。
前述のとおり、一般の大学院(修士課程)では紀要(査読付き)に掲載する機会がありますが、公共政策系の専門職大学院では一部の大学院のみが紀要(査読付き)を設けているだけで、学術的評価を得られる場が限られているのが現状です。
たとえば、公共政策系の専門職大学院では、以下の大学院には「査読付きの紀要」が存在します。
そのため、研究成果を学術誌に掲載する場合は、学会誌や独立系の学術誌に自ら投稿する必要があります。
※これは修士課程でも、紀要に掲載をしない(または、推薦されない)場合も同じです。
また、将来的に博士課程への進学を考えている場合は、専門職学位課程には注意すべき点がいくつかあります。
一部を除く公共政策系の専門職大学院には博士課程が設置されていないため、他大学院へ進学することになります。
その場合、研究科や指導教授が変わるため、事前に受け入れてくれる教員を探し、早めに連絡を取っておくことがとても大切です。
たとえ成績が優秀でも、受け入れを断られることもあります。
理由はさまざまで、教員の退職予定やサバティカル(研究休暇)、健康上の事情など、教員側の都合により受け入れができないこともあります。
博士課程に進学する場合は、少なくとも半年前には進学先の教授とコンタクトを取り、受け入れの許可を取っておくことが欠かせません。
※これは、修士課程から他大学院の博士課程に進む場合も同様です。
さらに、専門職学位課程を修了した人が博士課程に進むには、研究に必要な知識やスキルを修士課程修了者と同じ水準まで高めておくことが求められます。
こうした点をふまえると、専門職学位課程を選ぶ場合は、「その先をどうしたいか」まで見据えたうえでの判断が重要になります。
もちろん、こうした注意点は専門職学位課程だけに限ったことではありません。
修士課程を選んだ場合でも、他大学院の博士課程に進学する人はいますし、研究成果を紀要以外で発表するケースもあります。
実際、私自身も他大学院の博士課程に進みました(修士論文は紀要に掲載されましたが)。
このように、大学院で公共政策(政策研究)を学ぶ場合、「修士課程と専門職学位課程のどちらに進学すべきか」は、目的や今後の進路によって変わってきます。
3.まとめ:どちらを選ぶにしても、これだけは大切!
修士課程と専門職学位課程、どちらも公共政策(政策研究)を学ぶ道ですが、その目的や学び方、修了後の展開には違いがあります。
どちらを選ぶにしても、自分の研究テーマに関心をもち、指導してくれる教員がいるかどうかは、非常に重要なポイントです。
そのため、教員の論文など研究実績はしっかり確認するようにしましょう。
もし、自分の研究に詳しい専門の教員が一般の大学院(修士課程)では見つからず、専門職大学院に在籍しているのであれば、専門職大学院への進学(専門職学位課程を選ぶ)が望ましいかもしれません。
限られた時間とお金を有効に使うためにも、自分のテーマを深掘りできる大学院(または指導教授)を選ぶことが、満足のいく学びにつながるはずです。
この記事が、進学を考えるうえでのヒントや参考になればうれしく思います。
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