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『誠実さ』を『ブランド』にする。—ダークパターンをやめて、顧客と信頼を築いた企業の(ちょっといい)話


皆さん、こんにちは。Social Pentagon マーケ部(仮)です。

私たちは、社会に潜む見過ごされがちな課題を「ビジネスの力」で解決しようと取り組んでいる、ソーシャルビジネスのスタートアップです。



この連載ではこれまで、ECサイトの「定期購入」のワナや、顧客を不誠実に束縛する「リテンションマーケティング」の闇など、WEBサービスに潜む課題について、多く取り上げてきました。

読者の皆さんの中には、「もう、ネットでは何も信じられないな…」と、少し不安や疲れを感じている方もいらっしゃるかもしれません。

でも、安心してください。 世の中、不誠実な企業ばかりではありません。 今日は、私たちが目指す光のお話。「誠実さ」を貫くことで、逆にお客様からの信頼を勝ち取り、ビジネスとしても成長している、そんな企業の(ちょっといい)お話をしたいと思います。


名言の引用:「信用」こそが最大の財産


日本の経営の神様、松下幸之助氏は、こんな言葉を残しています。


「事業は人なり。信用こそが財産である」


結局のところ、ダークパターンで稼いだ短期的な売上(以前の記事でお話ししたCVR)ではなく、お客様一人ひとりから積み重ねた長期的な「信用(信頼)」こそが、企業にとって最大の「財産(=ブランド)」になる、ということですね。




【事例1:海外】「解約プロセス」を“誠実”にした企業の勇気


まず、海外のサブスクリプション(定額制)サービスを展開する、ある企業の事例です。
※以前の記事で触れた、ヨーロッパ(GDPR)やアメリカ(カリフォルニア州)の法律改正の動きとも関連します。


その企業は、法律の強化を待たずして、「お客様の信頼を得るため」に、これまで複雑だった「解約プロセス」を、誰でもマイページからワンクリックで完結できるように変更しました。


経営者の恐れ:
当初、社内(特に経営陣)からは、「そんなに簡単に解約できるようにしたら、顧客が一斉に逃げてしまう!」「売上が激減する!」と、猛烈な反対があったそうです。短期的には、確かに解約率が上がる(=売上が下がる)と誰もが恐れました。

起きた真実:
実際にフタを開けてみると、どうでしょう。
予想通り、短期的な解約率は、ほんの少し上がりました。
しかし! それを補って余りある、素晴らしい変化が起きたのです。
SNSなどで、「あの会社は、いつでも簡単に辞められるから安心だ」「誠実な会社だ」という信頼の口コミが広がりました。
その結果、「一度辞めたけれど、やっぱり安心だから戻ってきた」という再契約率や、「ここなら安心」という理由での新規契約率が、以前よりも劇的に向上したのです。


「解約しやすい」という誠実さが、巡り巡って「契約しやすい」という、長期的なビジネスの利益(LTV)に繋がった、素晴らしい事例ですね。


【事例2:日本】「分かりにくさ」という“格差”に挑む努力


もちろん、日本国内でも、顧客との「信頼」を真剣に考える企業は増えています。

金融・保険業界の挑戦:
かつて(今も一部ではそうですが)、金融商品や保険の「契約書」や「利用規約」といえば、専門用語だらけで、米粒のような「※ご注意」の文字がびっしりと並んでいる…というのが当たり前でした。

これは、インターネットが普及した現代における「デジタルデバイド(Digital Divide = 情報格差)」の問題と、根っこが同じです。
「デジタルデバイド」とは、スマホやPCを使いこなせる人と、そうでない人(例えば、以前の記事でお話しした高齢者の方など)との間に生まれる格差のことですね。
難しい専門用語や、複雑なデジタル手続きは、こうした格差によって、知識のある人やデジタルに強い人だけを優遇し、そうでない人を不利な立場に追いやってしまいます。

しかし今、一部の先進的な企業では、そうした「分かりにくさ」をなくすため、図解(インフォグラフィックス)をふんだんに使ったり、難しい法律用語を徹底的に日常の言葉に言い換えたりする努力(=ノンデセプティブ・デザイン)が始まっています。


EC業界の誠実な定期購入:
以前の記事で批判した「4回縛り」や「電話が繋がらない」定期購入とは真逆の企業もあります。
「解約は、マイページからいつでもワンクリックで可能です」
「次回発送の3日前まで、WEB上で変更・解約OKです」

このように、解約のハードルを意図的に下げることで、消費者に「(ワナがないから)安心して始められる」という信頼感を与え、結果として多くのファン(ロイヤルカスタマー)に選ばれ続けている企業も、確かに存在するのです。


まとめ:「誠実さ」は、最強のブランド戦略である


そもそも、なぜ「未読同意」「ダークパターン」といった問題が起きるのか。 その根本原因の一つに、「情報の非対称性(Information Asymmetry)」があります。

これは、「企業側(サービスの提供者)」と「私たち消費者」との間に存在する、圧倒的な「知識」と「情報」の差のことです。 企業は、自社の規約や法律の専門知識を100%持っていますが、私たちは、そうではありません。

ダークパターンとは、この情報の非対称性に意図的につけ込み、そのギャップを悪用する、不誠実な行為です。


今日ご紹介した「誠実な企業」とは、その逆です。 自分たちが持つ情報を隠したり、分かりにくくしたりするのではなく、むしろ「図解(事例2)」や「簡単なプロセス(事例1)」によって、そのギャップ(非対称性)を自ら埋めようとする企業です。

「ダークパターンをやめる」 「利用規約やプライバシーポリシーを分かりやすくする」 「解約を簡単にする」

これらは、「CVR(短期的な売上)を下げるコスト」では、決してありません。 私たちは、これこそが、これからの時代にお客様から選ばれ続けるための、最も強力な「ブランド戦略」であり「未来への投資」だと確信しています。

「あの会社は、誠実だから」 「あのサービスは、信頼できるから」

そう言ってもらえる企業が、きちんとビジネス的にも報われる。 私たちは、その「誠実さ(=信頼)」という目に見えない価値を、きちんと「可視化」し(Social Pentagon DIGESTの理念)、そんな社会を創るために、これからも活動していきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。





いかがでしたでしょうか。『誠実さ』が、いかに企業の『ブランド』『信頼』に繋がるか、何か(ちょっといい)気づきがあれば幸いです。次回も、皆さんの生活に潜む「同意」や「契約」にまつわる課題について、一緒に考えていきたいと思います。


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