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哲学の午後:「老いて学べば、死して朽ちず」 —— 恵那の古い城下町で考えた、人生のアップデート戦略

はじめに:思考が深まる「學びのまち」

みなさんには、考えごとをするときに、つい足が向いてしまう場所はありますか?

私にとっては、岩村がそういう場所です。

最初は、ただ雰囲気が好きな町でした。

なぜ落ち着くのか。
なぜ、ここに来ると考えごとが進むのか。

調べてみると、岩村は、ちゃんと“考える人の町”でした。

重要伝統的建造物群保存地区にも選定されているこの町は、ただ古いだけではありません。軒先にかかる木札、石碑、そして町全体の空気に、ある一人の哲学者の魂が息づいています。
その人の名は、佐藤一斎(さとう いっさい)。 この岩村藩が生んだ江戸後期の儒学者は、こんな有名な言葉を残しています。


1. 人生を貫く「三学の教え」 ​

少(わか)くして学べば、則(すなわ)ち壮にして為(な)すことあり。
壮にして学べば、則ち老いて衰えず。
老いて学べば、則ち死して朽ちず。

佐藤一斎 言志四録 

若いうちに学べば、大人になって世の中で活躍できる。これは分かりやすい話です。
しかし、私の心に深く刺さるのは、その続きの二行です。


2. 「壮にして学べば」—— 現代におけるアンチエイジング ​

「大人になっても学び続ければ、年老いても衰えない」 ​ 今の世の中を見渡してみると、この言葉の重みが痛いほど分かります。

AIの台頭、驚くべきスピードで進化するテクノロジー。
昨日までの常識が、今日は通用しない時代です。

そんな中で「もう自分は大人だから」「勉強は学生の仕事だ」と学びを止めてしまったらどうなるか。
それは現状維持ではなく、相対的な「衰退」を意味します。

​私たちの脳やスキルは、OSのようなものです。
常に新しい知識というパッチを当て、バージョンアップし続けること。

それこそが、時代に取り残されず、知的な若々しさを保つ唯一のアンチエイジングなのだと、一斎先生は教えてくれています。


3. 「老いて学べば」—— 魂のソースコードを残す ​


そして最後の言葉。

「死して朽ちず」

肉体はいつか必ず滅びます。

しかし、学び続け、思考し続けたその精神や、成し遂げた仕事、誰かに伝えた言葉は、肉体が消えた後も残り続けます。

これは、現代風に言えば「オープンソース化」に近いのかもしれません。
自分が人生をかけてコンパイル(構築)した知恵や哲学を、後世の人々が自由に使えるライブラリとして残していくこと。

「あの人がいたから、今のこの技術がある」「あの人の言葉があったから、勇気が出た」 そうやって誰かの心の中で機能し続ける限り、人は永遠に生きることができるのです。


4. 教科書の外にある「学び」 ​

もちろん、「学ぶ」といっても、難しい専門書や最新ガジェットのことだけではありません。 ​

恵那の豊かな自然の中に身を置くと、木々のざわめき、季節の移ろい、古民家の梁(はり)の美しさなど、言葉にならない教科書が無数にあることに気づきます。

「なぜこの苔は美しいのか?」「なぜこの料理は美味しいのか?」 そうやって世界に対して「問い」を持ち続けること。感性を研ぎ澄ますこと。
それもまた、立派な「生涯学習」です。


結び:昨日の自分を、少しだけ超える ​


「学ぶ」とは、知識を詰め込むことではなく、「昨日の自分よりも、少しだけ解像度の高い目で世界を見られるようになること」ではないでしょうか。
 少にして学び、壮にして学び、老いてなお学ぶ。

そうやって最期の瞬間まで成長を止めなかった魂は、きっと朽ちることなく、この美しい城下町の石畳のように、静かに、けれど確かに未来へと続いていくはずです。 ​

今日、あなたは世界から何を学びましたか?


佐藤一斎・學びのひろばのホームページは、こちらになります。

”學びのひろば”については、”ほんのひととき"様が詳しくご紹介されています。ご興味いただけましたら、ぜひほんのひととき様の記事もご確認ください。


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