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月の満ち欠けも、地軸の傾きも。生徒が自分の指で回せる太陽系シミュレーターを作りました


1か月ほど前、YouTubeで「Claude Codeを使うとこんなものも作れますよ」という動画を見ました。

へえ、と思って、その勢いのままぱっぱーと作ったのが太陽系シミュレーターです。動きました。動いたので満足しました。

そして、他に優先事項もあったので、そのまま放置していました。

そこから1か月、Claude Codeのセッションでそのままになっているシミュレーターを思い出しました。
夏休みになった気持ちの余裕も手伝って、ちゃんと使えるところまで整えることにしました。

なぜ太陽系シミュレーターを作りたかったのか

これは単純に、地球が太陽にのみこまれるところが見たかったからです。

太陽はいずれ膨らんで、水星、金星をのみこみます。地球ものみこまれるとされています(ここは諸説あります)。
星や宇宙や、天文学に詳しいわけではありません。でも宇宙が舞台のSF映画は大好きです。
絶対自分が体験できないことを視覚的に擬似体験できるからです。
だから、50億年後に、太陽が膨張していくところ見たいではないですか。

なので、このアプリはもともと自分の好奇心の延長で作ったものです。

太陽が赤く膨張したところ

小学生のころ、こんなことを考えていました

地球は宇宙の中ではちっぽけな星で、人間なんて、その中では見えないほど小さい。

だから、今こうしてきれいな空や自然を享受できているのって、本当に奇跡なんだ。宇宙からしてみたら、ちょっと何かがずれただけで、生態系なんて簡単に崩れてしまうものなのだ。

そこまで考えると、「生きる意味」とかをあんまり考えてもしかたないんだろうなあ。

……理科の授業や本を読みながら、そんなことを考えている小学生でした。今も、そんなに変わっていない気がします。

どうせ作るなら、眺めていて癒されるものに

せっかく作るのだから、美しいアプリにしたい。
まだまだ未熟ではありますが、これはわたしがアプリを作る時にいつも意識していることです。
機能を果たせばそれが正解かもしれませんが、「また開きたくなる気持ちよさ」みたいなものが付加できたらいいな、と思っています。

背景は真っ黒ではなく、星をまばらに散らしてどこまでも続く宇宙のなかに浮かぶ太陽系。ときどき流れ星が横切るようにしました。
惑星の名前のラベルのつけかたや、太陽の光り方、地球のグラフィックなど何度も直しました。
スクリーンセーバーみたいにぼーっと眺められます。

軌道・名称・BGMはオンオフできます

音も付けました。これは、音楽ファイルを使わず、ブラウザにその場で音を作らせています。 和音がゆっくり移り変わっていく、宇宙っぽいやつです。ファイルを持たないので容量も増えないし、著作権の心配もない。


ここからが本題:授業でどう使えるか

さて、自分の癒し用がきっかけでしたが、今回放置していたアプリにもう一度手をいれたのは、やはり授業で使えるものにしたい、という気持ちからです。
癒し用動画ならいくらでも他で手に入るので、「先生のためのAIパーク」で公開するなら、学習的価値がなければなりません。

そう考えて最後に足したのが、月と地軸です。

① 月の満ち欠け(小6・中3)

月は、太陽に照らされている側だけが明るく、反対側は影になります。地球の裏に回り込めば、地球に隠れて見えなくなります。

ここで生徒に視点をぐるっと回してもらうと、同じ月が三日月にも半月にも満月にも見えます。月は形を変えていない。変わっているのは、見ている私たちの位置。

「月は形を変えてないよ。変わってるのは、見てる私たちの位置」

このセリフが、画面を指しながら言えます。

見たい位置にドラッグして静止

② 地軸の傾きと季節(中3)

地軸は23.4度傾けてあって、傾いたまま自転します。

面白いのはここからで、視点を回すと右に傾いて見えたり、まっすぐに見えたり、真上からだと軸が消えたりします。でも地軸は一度も動いていません。

「じゃあ回してごらん。……ほら、まっすぐに見えるでしょ。でも地球は何も変わってないよ」

「地軸は宇宙の中で向きを変えない」という、季節を理解するのに一番大事な性質が、そのまま体験になります。

ついでに、教科書の図はその中のひとつの角度を切り取ったものにすぎない、という話もできます。

③ 宇宙の時間スケール(授業の最後の3分に)

「見どころ」ボタンで、50億年後(太陽が赤くふくらむ)→ 65億年後(燃え尽きて白く小さくなる)へ一瞬で飛べます。

太陽がふくらんで水星・金星・地球をのみこみ、やがて小さく白くなる。言葉だと遠い話が、画面で起きると一気に自分ごとになります。私が作りたかったのも、まさにここです。

ちなみに、BGMは最初は無音の設定なので、「♪ BGM」ボタンを押した人にだけ鳴ります。
もし授業で生徒各自のタブレットで開かせたとしても、一斉に音が鳴りだす事故は起きません☺️

65億年後太陽が白い

バレーボールとピンポン玉

理科の先生が、バレーボールとピンポン玉を持ってきて、傾けながら説明してくれたのを覚えている方は多いと思います。私も覚えています。あれは、あれでよかった。

ただ、正直に言うと、このアプリのほうが位置関係はわかりやすいんじゃないかという自負があります。

ボールの模型だと、持って動かせるのは先生ひとりです。
生徒は自分の席から、たまたまその角度で見ることになる。前の席の子と後ろの席の子では、見えているものが違います。
あれは意外と空間認識能力の高い子しかピンとこないのではないかと今だに思っています。

このアプリは、ひとりひとりが自分の手で回せます。
「じゃあ回してごらん」と言えます。
見る位置を変えると見え方が変わる、というのが授業のねらいなのだとしたら、その位置を自分で選べることには意味があると思うのです。

とはいえ実物を手で持てることの良さは別にあるので、置き換えるものではありません。
今の先生はボールじゃなくて、模型とか使っているかもしれませんね。だとしても、その前か後に、ちょっと触ってもらえたら嬉しいです。

グリグリと視点を変えられる

作ってみて知った、話のネタになる話

理科が苦手なりに調べていく中で、「へえ」と思ったことがいくつもありました。せっかくなので置いていきます。明日、誰かに話せます。

土星の輪は、本体の半径の2.27倍まで広がっている

作っている途中で「この輪、太すぎない?」とAIに聞いたら、「これが本物です」と返ってきました。
C環が1.24倍から始まって、A環の外側が2.27倍。
つまり輪の直径は本体の直径の2倍以上。
派手すぎないか、土星。
ちなみに輪と輪のすきま(カッシーニの間隙)の位置まで、実際の数値どおりに描いてあります。

月は、本当の速さで動かすと速すぎて見えない

月は27日で地球を1周します。
このアプリの「ふつう」の再生速度(1秒で1.5年)でそのまま動かすと、月は毎秒20周することになる。
パラパラ漫画のコマが飛びすぎて、目には止まって見えてしまいました。しかたないので、見た目の速さに上限をつけています。

「実際の速さ」にすると、惑星がほとんど動かなくなる

再生速度に「実際の速さ」を用意しました。
本物の太陽系とまったく同じ速さ、つまり地球が1周するのに本当に1年かかります。
1秒眺めても、地球は1年の3000万分の1しか進みません。

実際に動かすと、惑星は止まっているようにしか見えません。

これが地味に面白くて、「動いてないように見えるでしょ? でも本物もこの速さなんです」という導入に使えます。
そのあと「はやい」に切り替えると、水星がぐるぐる回るのに海王星はほとんど動かない。
公転周期の違いが、視覚的に説明できます。

ちなみに、ぼーっと眺めたいとき用に「ながめる」という速さも足しました。地球が30秒ほどで1周します。

大きさと距離は、わざと嘘をついています

惑星の大きさと距離は、見やすさ優先で実際の比率ではありません(画面にも注記があります)。
本当の比率にすると、地球は点にもならず、海王星は画面の何十倍も先に行ってしまうからです。

これは逆手にとれて、「このモデルの嘘はどこだと思う?」と聞くと、モデルの限界を考える教材になります。

理科は、正直あまり得意ではありません

繰り返しますが、私は理科の教師ではないし、理科が得意でもありません。

土星の輪が本体の何倍かなんて知らなかったし、地軸が23.4度なのも、言われれば「ああ、はいはい」と思う程度です。そのあたりはAI(Claude)に確認しながら作りました。

じゃあ丸投げで完成したのかというと、そうでもなくて。

私がやったのは、ひたすら文句を言うことでした。

  • 土星の輪を見て「これ、太すぎない?」

  • 地球を真上から見て「この角度、おかしくない?」

  • 「軸って、北極の中心に刺さっているものでは?」

  • 月を眺めて「これ、地球の裏に回るところで手前に出てきてない?」

理科に詳しいから気づいたわけではありません。
ただ見ていて「なんか変」と思ったことを流さず粘りました。

で、そのたびに調べ直してもらうと、けっこうな確率で本当に間違っていました。

地球は平らな地図を画面上で回していただけだったので、球として貼り直し。
地軸は極から外れたところに刺さっていたので、極から出るように修正。
月は地球の裏に回っても手前に描かれていたので、奥行きを見て描く順番を変更。

(土星の輪だけは前述のとおり、私の負けでした)

AIとものを作るときに、私が思っていること

この経験でひとつはっきりしたことがあります。

知識がなくても「なんか変」は言える。
そして、その「なんか変」がけっこう当たる。

AIは、こちらが何も言わなければ「それらしいもの」を出してきます。
それらしいので、詳しくない人ほど納得してしまう。
でも、じっと眺めて違和感を口に出すと、直せるんです。
専門用語はいりません。「太すぎない?」で通じます。

作るときに必要なのは、専門知識よりもしつこく眺める根気なのかもしれません。

何度もダメ出し

気温のこと

最近の夏の暑さは、本当にきついです。

でも、昔より7度も8度も上がっているこの暑さも、宇宙からしてみたら誤差みたいなものなんだろうな、と思っています。

その誤差で、私たちはこんなに参っているわけですが。

操作は3つだけです

  • ドラッグで回転、マウスホイール(タブレットは2本指)で拡大

  • 惑星・太陽・月をクリックすると、距離や公転周期などが出ます

  • 右下の全画面ボタンで、教室のモニタに投影できます

「見どころ」ボタンを押すと、50億年後まで一足飛びです。私が作りたかったのは、そこです。


このツールは「先生のためのAIパーク」で無料公開しています。

・登録不要・ブラウザだけで使用可能・タブレット対応・ダウンロードOK

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