虎ノ門・法務OLが恋した夏。スリーピングベア砂丘国立湖岸公園、ミシガン湖の青に包まれて
東京都目黒区、学芸大学駅近くの自宅を出て、いつものように虎ノ門ヒルズ駅へ向かう日々。
法務の仕事に追われる日常も嫌いではありませんが、私の心が本当に解放されるのは、夫の故郷であるアメリカの雄大な自然の中にいるときです。
今年の8月、サンディエゴ出身の夫と共に訪れたのは、ミシガン州にある「スリーピングベア砂丘国立湖岸公園」。
そこには、五大湖のひとつ、ミシガン湖が作り出した、想像を絶する砂丘と水のコントラストが待っていました。
ミシガン湖へ続く一本道。夏風に誘われて
最寄りのトラバースシティにある空港に降り立つと、8月のミシガンらしい、どこまでも突き抜けるような青空と爽やかな風が迎えてくれました。
日本のような湿気はなく、木々の緑が一番輝く季節です。
レンタカーを走らせ公園へ向かう道中、車窓にはのどかな農場や森林が広がります。
次第に、木々の隙間からきらきらと輝くミシガン湖の水平線が見え隠れし始めました。
アメリカ五大湖のスケール感は、知識としては知っていても、いざ目の前にするとその広大さに圧倒されます。
まるで海へと向かっているような高揚感に、ハンドルを握る夫との会話も自然と弾みました。
公園到着。砂丘、森林、そして「母なる熊」の伝説
公園に足を踏み入れると、まず驚くのはそのスケールの大きさです。
砂丘と森林、そして真っ青な湖が隣り合わせに共存する景観は、日本ではなかなかお目にかかれません。
フィリップ・A・ハート・ビジターセンターに立ち寄り、この地に伝わる「スリーピングベア」の伝説について記された絵本を手に取りました。
火事から逃れるために対岸から泳いできた母熊と、力尽きてしまった二頭の小熊。
神様がその姿に心を打たれ、母を砂丘に、子を沖に浮かぶマニトウ島に変えたという、少し切なくも美しいお話です。
8月の明るい陽光に照らされる砂丘を見上げながら、その伝説が今もこの景色の中に息づいているのを感じ、温かい気持ちになりました。
デューン・クライム:砂の壁に挑む午後
最初に向かったのは、この公園の代名詞とも言える「デューン・クライム(Dune Climb)」です。
目の前に現れたのは、まさに「砂の壁」。
「いっちょ、登ってみる?」という夫の誘いに乗り、サンダルを脱いで裸足で踏み出しました。
8月の砂は太陽の熱を帯びていて、足裏に伝わる柔らかな感触が心地よい一方で、一歩登るごとに足が埋もれ、なかなか前へ進みません。
息を切らしながらようやく頂上へ。
そこから振り返ると、駐車場の向こうにエメラルドグリーンのグレン湖が見渡せ、遠くにはミシガン湖の深い青が砂丘の白さと見事なコントラストを描いていました。
頑張って自分の足で登ったからこそ出会える、風が吹き抜ける絶景。
法務の細かな書類仕事で凝り固まった思考が、一気に解き放たれるような解放感に包まれました。
ピアース・ストッキング・シーニック・ドライブ:森を抜ける癒やしの時間
続いて、全長約12kmの「ピアース・ストッキング・シーニック・ドライブ」へ車を進めました。
一方通行に整備されたこのルートは、原生林の中を駆け抜ける、文字通り「シーニック(景観の良い)」なドライブコースです。
窓を全開にすると、夏の木々の香りが車内に流れ込んできます。
緑深いトンネルを抜けたと思えば、突然視界が開けて砂丘や湖が現れる。
車窓から次々と変化する景色に、次はどんな景色が待っているのだろうと、自然と期待が高まります。
ミシガン湖を望む展望台:水平線が消える場所
ドライブのハイライトは、なんといっても「ミシガン湖展望台(Lake Michigan Overlook)」です。
展望デッキに立った瞬間、思わず言葉を失いました。
眼下に広がるのは、450フィート(約137メートル)もの高さから見下ろす、文字通りの絶景です。
湖と言われなければ、間違いなく海だと錯覚してしまうでしょう。
どこまでも続く水平線、深いコバルトブルーから岸辺に向かって薄くなるグラデーション。
写真や言葉では決して伝えきれない、自然の圧倒的な迫力がそこにありました。
ふと見ると、「斜面を降りないで。救助が必要な場合は3,000ドルの費用がかかります」という看板が。
法務OLとしては、この「3,000ドル」という具体的な数字に少しのユーモアと、自然に対する厳格な敬意を感じずにはいられませんでした。
静寂の森で、アメリカヤマネコに出会う奇跡
展望台を後にし、少し人の少ないトレイルを歩いているときのことでした。
夫が不意に私の肩を叩き、森の奥を指さしました。
そこには、木々の影に溶け込むようにして、こちらをじっと伺う「アメリカヤマネコ(ボブキャット)」の姿がありました。
短い尻尾と、耳の先の飾り毛が特徴的です。
警戒心が強く、めったに姿を見せない彼らですが、8月の豊かな森は、彼らにとって大切な生活の場なのだと実感しました。
適切な距離を保ちながら、その気高い姿をそっと見守ります。
法務の仕事でも「境界線」を意識することは多いですが、自然界においても野生動物との距離感は、彼らへの最大の敬意なのだと改めて学びました。
空を舞う自由の象徴と、湖畔の賑わい
湖畔に近づくと、今度は空に視界が奪われました。
旋回していたのは、白く輝く頭部が美しい「ハクトウワシ」です。
アメリカを象徴するこの鳥が、悠々と翼を広げて風に乗る姿は、まさに自由そのもの。
一方で、波打ち際ではカモメたちが賑やかに声を上げ、湖の豊かな生態系を物語っていました。
砂丘と湖、そしてそこに生きる生き物たち。
すべてが調和しているこの場所の豊かさに、心が満たされていくのを感じました。
まとめ
「スリーピングベア砂丘国立湖岸公園」で過ごした時間は、都会の喧騒を忘れ、自然の偉大さと静寂に浸る贅沢なひとときでした。
特に8月は、日照時間が長く、砂丘歩きやドライブを心ゆくまで楽しめる最高のシーズンです。
砂丘の白、湖の青、そして森林の緑。
この三色が織りなす絶景は、日々の仕事に励むすべての方に、ぜひ一度その目で確かめてほしいと思います。
自然の中で生きる動物たちへの畏敬の念や、五大湖のスケール感は、あなたの価値観を少しだけ変えてくれるかもしれません。
英語学習へのメッセージ
アメリカの自然公園を巡っていると、トレイル案内や自然解説の看板を読めるだけで、その土地の魅力をより深く理解できると感じました。
現地のレンジャーによる伝説の解説や、野生動物の保護に関するメッセージに直接触れることで、旅の解像度はぐっと上がります。
もし、「もっと英語ができれば、この景色をもっと深く味わえるのに」と感じているなら、一歩踏み出してみませんか?
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