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翻訳の妙味:観光地で見かけた中国発“日本語”看板たち

みなさん、こんにちは。
10本目の記事は大変反響をいただき、誠にありがとうございました。
所信表明のように頑張っていく所存でございますので、どうぞよろしくお願いします。

あっ、そういえばTwitterもこっそり始めました。
とはいえ、まだ本格始動前なので、ちゃんと動かせるようになったら改めてお知らせします!

はじめに

みなさんは観光地に行ったことがありますか?家族旅行や海外旅行以外にも、修学旅行などで地元や他県問わず、どこかへ行った経験があるかたが多数でしょう。
今回は、私が見かけた観光地の中にある日本語をいくつか紹介していこうと思います。
※変な日本語を取り上げることについて、侮蔑等の感情は一切ございません。あくまで話のネタとしてお楽しみください。
※私が現地で撮った写真であるため、一部画像が粗いものがございます。予めご了承ください。

誤りが少ない、0の日本語の看板

山東省青島市--嶗山

中国の名勝嶗山の看板。柔らかい文体と荘厳な景色が非常にマッチ

遼寧省瀋陽市--九一八歴史博物館

1931年に満州侵攻のきっかけになった博物館。硬い文章と冷静な文体が博物館と非常にマッチしている

重慶市--重慶大轟炸遺跡群“六・五”隧道惨案遺跡

重慶爆撃の惨状を伝える博物館。当時の状況と歴史を伝える重さ、そして重慶の人々の無念が印象深い文章

四川省成都市--成都杜甫草堂博物館

杜甫で有名な博物館。知的で柔らかい印象であり、文法もほぼ完璧であるが、「」と()の使い分けで誤植があるのが少し残念

少しおかしな看板たち

河南省洛陽市--龍門石窟

ロサナとカタカナでの表記をしているが、日本語にも盧舎那仏は東大寺に存在しているため、そのまま漢字表記でよい。逆に龕(kān)は石龕(せきがん)などの表現はあれど、漢検一級レベルの馴染みがない漢字であるため、
「盧舎那大仏像厨子」とするのがわかりやすいと思われる

河南省開封市--開封府

「よじ登る」よりは「登る」のほうが自然。また、登るのあとに否定系がくる時は未然形である「登ら」にする必要がある
また、请勿攀爬には请という、「お願いします」という意味が入っており、そのためなのか下の文は直訳した結果、「注意する」と表記されている
左の文字のうち、陡(dǒu)は切り立った、急なという意味。しかし「山」といってもここにあるのは人工的な小さな坂であったため、二つの文を合わせて
「急な山道と深い池に注意してください」あたりが妥当ですかね

甘粛省张掖市--馬蹄寺

落書きが二つ書かれている。左は文字を書くという意味での落書き、右は絵を描くという意味での落描が正しい。
触ってはいけない、と若干カジュアルになっているのがまた愛おしい

海南省三亜市--天涯海角

動詞の原型を使用している点に違和感。「咲かけの」や「咲きかけた」とする方が違和感が少ない

雲南省昆明市--雲南民族村

目瑙とは景颇(チンポー、jǐngpō)族の言葉で「従歌」という意味。示棟とは後ろに立ってる柱のこと。固有名詞同士ではあるが、マナウの柱など、わかりやすくする方法はあったと思われる

天津市--大沽口炮台遺跡博物館

説明口調になってる部分に違和感がある。また、簡体字も使われている。
1997年に空軍レーダー旅団より贈呈された国産戦闘機「殲六型」

考察

では、なぜこのように文章に差ができるのかを考察してみましょう

1.文法の問題

恐らくこれが最も大きな原因でしょう。
中国語は孤立語と呼ばれる文法です。これはベトナム語やタイ語などと同じ文法システムです。
一方、日本は膠着語と呼ばれます。これは韓国語やモンゴル語などと同じようなシステムです。
日本語は文の語順を変えたとしても、勿論多少ニュアンスは変わりますが、助詞さえ間違わなければ意味が通じます。

私はあなたが好きだ
あなたが私は好きだ
私は好きだ、あなたが

一方中国語は日本語の助詞に相当するものが、一部を除いてありません。基本的に語順に頼っています
我喜欢你→私はあなたが好きだ
你喜欢我→あなたは私が好きだ
と、このようになります。

また、日本語の場合、語尾が「です、ます」や「だ、である」などのようにあります。しかし中国語にも啊、吧、吗などのような語尾はあれど、日本語のような細かいニュアンスで使われません。そのため、文体の不一致が起こりやすくなっています。

2.漢字が使えることの弊害

日本語は漢字を採用しているため、漢字で書けばわかるだろうとして、一部の単語を中国語のまま使うことがあります。これにより、日本人が見てもわからない、或いはほとんど見ない漢字をそのまま使ってしまうことがあります。

3.予算配分

今までで見てきた中で、日本語が整っている場所の傾向があります。
それなりに日本人がたくさん来ることを想定している場所、或いは多くの日本人に訪れてほしいとしている場所です。
たくさんの日本人が目に触れる機会がある場所では、九一八博物館のように全編日本語が書いてあるような場所でもおかしな日本語を見る機会は少なくなっていきます。

〆の言葉

いかがでしたか?今回の記事では、観光地で見かける看板についてでした。
しかしながら、我々がこのように日本語の看板をエンタメとしているのと同時に、我々の外国語もまたエンタメとして見られてるかもしれません。
“変な日本語”から学べることも、少なくありません。
これを他山の石として、我々も謙虚に向き合うべきでしょう。

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