医療データ共有はどうあるべきか?〜Cloud or CD-R、そのPros & Consとリスクから考える〜
これまでの記事から察しがつくと思うが、私は医療従事者ではない。
いち医療機器の営業マンである。
ただ、この案件に関与する立場として、データ共有という課題に直面している。
医師や看護師のように診療そのものを担っているわけではないが、
現場のやり取りを整理する「交通整理役」として、避けて通れない局面がある。
きっかけは、社内マーケティング部から依頼された「コンサルタント案件の交通整理」だった。
とあるセミナーで、私が担当する施設の若手医師が「御社のKOLの先生と症例を通じてコミュニケーションを取りたい」と考えている。
具体的には、患者さんのレントゲン写真、MRIやCTといった診断画像や医学的分類についてやり取りを希望していた。
その段取りをつけることが、私に任された役割だった。
ボールは医師が持っているが、最終的に「どうデータを共有するのか」という実務については、私自身も考えざるを得ない。
そこで避けて通れないのが「セキュリティ」と「病院のポリシー」である。
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公立病院という文脈
対象となるのは、とある公立の病院だ。
この種の病院は地方自治体の管理下にあり、公務員法や個人情報保護条例に則って運営されている。
だから、患者情報の取り扱いは非常に厳格だ。
公式な流れは明快である。
「申請書 → 承認 → CD-R発行」。
データは郵送やWebダウンロードではなく、窓口での受け渡しが基本。USBや外付けHDDはウイルスリスクから禁止。外部クラウドの利用も認められていない。
つまり、CD-Rが唯一の公式ルートとして今も生き残っているといった理解である。
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現場で見えてくる“グレーゾーン”
しかし、実際の現場は教科書通りにはいかない。
医師が「これを見てほしい」と営業に依頼し、LINEで動画や画像を送る。個人情報はトリミングされていても、規程上はアウトに近い。
私自身も、社内共有のために匿名化したレントゲン画像を扱ったことがある。
理由はシンプルだ。
画像を共有することで、営業マンそれぞれの術式理解や骨折治療方針の解像度が上がり、他施設への提案や支援にもつながる。
それは結果的に、患者さんにとってより良い未来になると信じているからだ。
これは「言い訳」のように聞こえるかもしれない。けれど、私にとっては本音だ。
ただし、セキュリティの遵守とは別の問題だ。
「患者のためになる」と思っていても、規程違反は規程違反。
発覚すれば、病院・医師・営業すべてにリスクが及び、案件そのものが頓挫する可能性がある。
ここに現場の“ややこしさ”がある。
「良かれと思ってやること」と「ルール上は許されないこと」。
その狭間で揺れながら、実務は進んでいる。
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CD-Rか?クラウドか? —— データ共有の是非を考える
公立病院の現状ルールに従えば、データ共有はCD-R一択。
外部クラウドはグレーであり、最終判断は病院の意思決定に委ねられている。
では、抽象度を上げて考えてみる。
クラウドとオフライン媒体、どちらが良いのか?
• クラウドは、利便性やスピードで優れる一方、院内ポリシーやITリテラシーに依存し、情報漏洩リスクを常に伴う。
• CD-Rは、外部からの攻撃リスクがなく安全に見える一方で、人が扱う以上、置き忘れや紛失といったリスクを避けられない。
私は現場で働いている立場として、便利さや共有効率から「クラウドの方向性」を意識することはある。
ただしそれを強く主張するのは違うとも思っている。
なぜなら、患者さんの個人情報を守ること、そして医療従事者の働き方を支えることも同じくらい大切だからだ。
現実には、すでにクラウド化へ舵を切った事例もある。
ある大学病院では、セキュリティを担保した専用クラウドを導入し、CD-R依存からの脱却を図っている。
こうした動きを見ると、「CD-R依存」と「クラウド化の波」 のあいだで、医療現場がどちらに進むかは時代によって変わっていくのだろうと感じる。
そして私自身のスタンスも、その中で揺れながら考え続けている。
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営業としての立ち位置
では、私にできることは何か。
それは「解決役」ではなく「交通整理役」に徹することだ。
病院が許可した方法で医師にボールを持ち続けてもらい、勝手に変換や転送を担わない。
承認や同意を飛ばさない。
私がセーフティゾーンを外れないことこそが、最大のリスク回避だと思っている。
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まとめと問いかけ
公立病院のポリシーは「スピードよりリスク回避」を優先する。
だからこそ、CD-Rは依然として現実解として残っている。
ただし、時代は確実に変わりつつある。
安全と効率、その両立をどう実現するか――。
それは、私自身が今まさに向き合い続けているテーマだ。
👉あなたの現場では、まだメディアですか?
それとも、クラウドの波がすでに押し寄せていますか?
議論は、これからも続いていく。
