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八百万の神さま!誰が800万も数えたの。ー指先の下の神さまたちー




「八百万の神々と言うけどそもそも神さまは、本当に800万もいるの。」
「さあ。」
「誰が数えたの。」
「知らない。でもいいね。」
「なにが」
「その『そもそも論』。最高じゃん。どうせ誰も数えてないって。」
「そうなの?」
「そうそう」
「そうなんだ」
「いや知らないけどね。」
「知らないんだ。」

「本当に数えていたら数えていたで、『なんでうちが三桁代なんだ』とか。『もっと早めに出せ』とかもめるんよ。きっと。
 一神は一神で色々あるけど、多神は多神で派閥があって、派閥に入っているはずの本人達ですら、あんまりその派閥のことを分かっていないんよ。きっと。」

「ゆる〜」
「ああ~ありがたや〜ありがたや〜」

「肘神様だ!」

song by 流れ星


「ゆる〜。そして温(ぬる)〜」

「程々の方が良いじゃん。だから八百万の『800万』という数字は、数学的なカウントではなく、“ウチら”の国の古くからの表現方法のひとつだと思うんだよね。これってチョー、イケてね?

「イケてるけど、なんで急にギャルが出てきたの。どこから現れた。」
「⋯天孫降臨」
「やめな。身の丈に合わないことは。」
「分かった。そうしとく。ほら八百万の、8(八)って漢字にしたら末広がりじゃん。『とにかく沢山』『数えきれないほどいっぱい』みたいな。意味だったんじゃないの。」

「複数形のS(エス)の代わりに、8(八)を使っていたの?」
「うん。たぶん。知らないけど。」
「まがりくねった、くにゃくにゃしたもの好きだね。 タコとか?」
「⋯うん。(適当) あれも足が八本か。
 八重桜とか、八島とか。」
「八島?」
「にほ⋯“ウチら”の国の古い呼び名だよ。」
「ギャル禁止っ」
「『メガ盛り』とか『ギガ盛り』を通り越して『テラ盛り』とか、ギャルは基本的に盛りたがるし、ギャルでなくても、それで盛り上がるならいいじゃん。」
「ギャル関係なくない?」

「つまり八百万って、『無限にいるよ!』『無制限!』みたいなニュアンスじゃない?知らないけど。」

「知らないんだ。虚構を話す天才だね。」
「虚構を信じる天才に言われたくないよ。」
「なんだかなあ〜」

「山にも木にも、風にも、お台所にも御手洗いにも。米粒ひとつにも、古くなった道具にも何かにつけて何某かを宿らすじゃん? “ウチら”。」

「それは神さまが?それとも人が?」
「うーん、そんな哲学的なことは専攻してないから分かんない。」
「ゆる〜」
「ぬる(温)〜」
「おん(温)〜」

◯なんだよ。たのしそうだな。入れてくれよ

「要するに『誰が数えたか』ではなく、『数えようとしたら、この世の全てが神様になっちゃったから[八百万]ってことにしとこう!』という、のりと雰囲気となんとなくじゃない。」

「それ、八という数字が着いていれば何でも良いの?」
「え?」
「それなら、八景でもよくない?」
「はっけい?」

「一十百千万の万と末広がりの八から取って、八百万なら。単位的に億とか兆とか。不可思議とか。ほら地獄八景亡者のなんとかって、落語もあるし。『八景の神々』ならより数が多い。」

「八景って、テレビの画素数?それとも大きさ?」
「それ8K。」
「なんか分かんないけど、そうなんじゃない。そこん所は分かんないけど。」
「温(おん)〜」
「温(ぬる)〜 まあ要するにあれだ。​『神様が800万(八百万)いる』というのは、
『この世のあらゆる現象や物質に、敬意を払っても余りあるくらい、色んな所から恩恵を受ける。とびきり、きゅーとで。素敵な、いい感じの。心おどる豊かな。価値がある』みたいな。ニュアンスだよ。」
「そうなの!?」
「いや知らない。そういう雰囲気の。思想の、キャッチコピーみたいなものが『八百万の神々』という表現なんじゃない。」

「⋯なんかよく分かんないけど、そうなんだ。」
「いや知らないけどね。」

「流石、虚構を話す天才。憶測で物を言うのに長けてるね。」
「長け〜」
「ちょっと検索してみようかな。」
「なにを。やめときなよ。」
「なんで。作り話だから?」
「ちがうよ。こんな箸にも棒にもかからない話を、わざわざ検索される『通信の神さま』と『検索の神さま』の身にもなってみなよ。」

◯どの立場から言ってんだ。

「出たな。八百万。待って。通信の神さまって、そこは学問の神さまじゃないの。」
「学問って、この会話のどこにそんな崇高なものがあるんだよ。」
「確かに。」

◯納得するんだ

「わざわざ学問の神さまに出張ってもらう程のことでもないし。ましてや通信の神さまや、検索の神さまのお手を煩わせる程のことでもなし。まして(や)、この会話のやりとりで博士号が獲れるやなしに。」
「そらそうだ。」

「通信の神さま序に言うと。八百万の定義がなんでもありなら、『スマホの神さま』がいても、『Wi-Fiの神さま』がいてもいいよな。」
「それ嵐山の電電宮じゃなくて?」
「そこだけまともなことを言うなよ。」

「じゃあさ。じゃあさ。何でもありなんでしょ。
『スマホの神さま』と『Wi-Fiの神さま』と、
『ボーダフォンの神さま』と、
『ウィルコムの神さま』と。
『Bluetooth(ブルートゥース)の神さま』と、
『スクロールの神さま』と、
『インターネットの神さま』と。
『アプリの神さま』と、
『ショルダーフォンの神さま』と。⋯あとは
『ガラケーの神さま』と、『赤外線の神さま』。『スクショの神さま』と⋯色々キャラが被ってるけど、もめないのかな。」

「⋯それが回線がパンクする原因だよ。」
「マジで。」
「特にお昼時にランチのメニューで、もめる」
「小さっ」
「大事なことだよ」
「深いな。」
「海底に張り巡らせた電線が?」
「それも深いけど、おおにしひろし。」
「大西洋な この言いたいだけのやつめ」
「流石。分かってくれると思ったから言ってみた。」

◯⋯ぽんぽこ、ぽんぽこ。よくジョークが出るね。天才かよ。

「なんか。ウケる。『ボーダフォンの神さま』と『ウィルコムの神さま』より少し先輩くらいにあたる神さま界隈に、『J-PHONE(ジェイフォン)の神さま』と『ツーカー(Tu-Ka)の神さま』とかがいるだろ。」
「骨伝導の神?」
「アステル神とか。」
「まじで居そうじゃん。」
「​iモード の神さまとか。 EZweb神とか。」
「セルラーの神さまとか、メジェドの隣にしてもおかしくないよね。」

「セルラー神⋯亡者の明かしてほしくない懸想文を一言一句覚えていそう。」
「消せ消せ、なるべく生前のうちに。」

「G'zOne(ジーズワン)に関しては、ほぼ字面がB'z(ビーズ)じゃん。」
「神さま関係なくなっちゃった。」

「あれいなかったけ。WIN(ウィン)の神さま。」
「それ、勝利の神さま。毘沙門天じゃん。」
「ウケる。」
「ショルダーフォンの神さまは、肩の破壊神。」

「Bluetooth(ブルートゥース)の神さまの親戚筋には、Footloose(フットルース)がいるよ。」 
「雰囲気で言うなよ。踊りの神さま?」
「コンバースを履いて、脚をジタバタさせる神さま。」
「たのしそう。やりたい」
「やめて、ここでは。埃が舞うから」

「ダウンロードの神とか、いたりしてな。」
「ダウンロードの神さまに、キューピットが矢を射ったら?」
「⋯恋のダウンロードだあ!」
「出た。何かにつけて『恋の◯◯』と付けたらT&Cボンバーの名曲風になりがちなやつ。」

◯おい、恋のダウンロードは本当にあるだろっ。誰が言ってやれい。

「それにあれだ。『ガラケーの神さま』からしたら、最近の若造(iPhone)は赤外線も使えんのかって言うんじゃない?」
「赤外線⋯ヒーター?なんですかそれ。おいしいの。」
「そうそう、そう。太陽の通り道ね。」
「それ、赤道でしょ。」
「恋の赤道?」
「恋の赤外線じゃない?」

◯ずっとなに言ってんだ。たのしそうで何よりだよ!

「『スクロールの神様』と『スクショの神様』なんて、やってることが細かすぎて絶対どこかでもめそう。」
「もめなくても、周りが変な気を使いそう。」
「だから回線がパンクするんだ。」
「なるほど〜。海底ケーブルには光ファイバーの神がいるのか。」
「言ってない。言ってない。」
「時々サメに喰われるらしいよ。」
「『検索の神さま』にお知恵を拝借したな!」
「いいじゃん。別に」
「箸にも棒にもかからない事を」
「箸にも棒にも、いちいち引っ掛かっていたら、ケガするよ」
「物理的な蹴躓(けつまず)きじゃないよ。」
「分かってるよ」

「個人的にはどれがお好み?」
「なにが」
「どの神さまがお好み?」
「ボーダフォンの神さま。」
「やっぱり」
「そっちは?」
「恋のダウンロード。」
「神さまでも何でもないじゃん。」

◯あんたら、分かっててやってんだろ。

「でも案外、分業制だったりして。」
「分業制?神さま業界が?」
「他所は他所。うちはうちで、住み分けしてんの。」
「どうやって。」
「​ウィルコムの神さまは、『PHSの微弱な電波を繋ぐ』という職人芸に特化。
 ​Wi-Fiの神さまは、『家の中の無線』というインフラ担当。」
「おお。」
​「Bluetoothの神さまは『数メートルの近距離接続』というニッチな担当で、
 それぞれに「自分にしかできない仕事」にプライドを持っているから、意外ともめることなく、「おお、そこは君の領分だね、よろしく」とパスを回し合っているかもしれない。」
「すげえ。和を以て貴しとなしてる〜」

「イメージね。あとは、あれだ。
 ​ガラケーの神様とスマホの神様は、もめるというより「代替わり」に近いかものかも。」
「代替わり?代替え機ではなくて?」

​「ガラケーの神さまは『今は一線を退いて、一部の根強いファン(法人利用とか)を見守るレジェンド』
 ​スマホの神さまは『今は自分の時代だとバリバリ働く現役の社長』

 たまに法事とか親戚の集まり?⋯神在月みたいな集まりで、『最近の若いスマホは電池の減りが早い』とガラケーの神さまが、糸電話の神さまと、黒電話の神さま。それから公衆電話の神さまに向かってぼやいている⋯なんてな。」

「『わたくしは何もぼやきたくて、ぼやいているのではありません。世間が、速度制限が掛かる度に、わたくしに、ぼやかせるのであります。』」

「よっ!ガラパゴス!速度制限は使いすぎ!自業自得だぞお! ⋯そうだそうだ!」

「一人で何役演ってんの。まあ若手に向かって言わないだけまだマシかな。」

「それを毎回聞かされる
『糸電話の神さま』と『黒電話の神さま』と
『公衆電話の神さま』のなんと朗らかなこと。」
「仏じゃん」
「よっ!ガラパゴス!君がぼやけば、ぼやく程、僕らの市場価値と好感度が上がるからもっとやれい!」
「あ、よい♪よい♪」
「それ何音頭だよ。」

「ちなみに『ボーダフォンの神様』は、今はソフトバンクの神さまの横で、隠居生活を楽しんでいたりしてね。」
「狛犬の名前はお父さん?」
「もしくは桃太郎のお供かも。」
「英雄じゃん。会社の垣根を越えたんだ。」

「まあ八百万の神さまは『もめるほど、暇ではない』かもしれないし。逆に『もめるほど、仲がいい』小競り合いを繰り返しているかもしれないし。」
「どっちだよ。」
「どっちでもいいよ。」

「何せ、”ウチら“がソーシャルメディアで、アイデアやひらめき。何となくの何某かを閲覧したり投稿したり、そういうのを『スクロール』して『スクショ』を撮るその一瞬に、全員(柱)が連携して働かないといけないわけだし。今この瞬間もね。」
「え、今も?」
「指先の画面の下で、せっせこ。せっせこ。うんしょ、こらしょと。」
「うごうごしてんの?」
「そうそう。だからいい加減、画面をそっと閉じなよ。」
​「なんで。」
「ブルーライトの神様が、そろそろ疲れたと寝落ち(シャットダウン)しそうだから。」
「ああ、充電切れそうなのね。」


クダラナイコトガスキー戯曲
【虚構を話す天才と、虚構を信じる天才】

小林栄翻訳
【八百万の神さまは一体、誰が800万も数えたの。】

シノダおれんじ。脚色
【指先の下の神さま。】



またあそぼうねえ〜♪ヽ(*´∀`)ノ

我葉々(わはは)という言の葉の
我なる文字は、その意(こころ)深き
たたえる水の底までも おおにしひろし
しかるを、人をば傍(かたえ)に添えてこそ
おのづからなる俄の戯び(たわび)は生まれにけれ
清く完き心ぞ我を照らさむ

(上段乃物語/俄仮名〜我葉々の仮名序より)





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nothihodo/作菓 ありがとうございます。ヽ(*´∀`)ノ♪ ●Suzuriです。 https://suzuri.jp/nothihodo