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ありませんです。


「恐れ入ります。お忙しいところすみません。道をお尋ねしたいのですが。この辺に温泉があるとお聴きしまして。」
「あゝ。ありませんですね。」
「はい?」
「だから、ありませんですよ。ありません。」
「⋯⋯?」
「⋯なにか?」
「おかしいな。せっかくここまで来たのに。場所を間違えたかな。」
「温泉ですよね、ありますよ。」
「よかった。」
「ありませんです。」
「おかしいなあ、」
「お財布でもお忘れに?」
「いいえ、」
「わかった。タオルだ。」
「ちがいます。」
「中で買えるから大丈夫ですよ。」
「ちがいます。どうしよう。情報が古かったのかなあ。」
「古いと言えば確かに古い。」
「そうなんですね」
「昔からあるんでね。」
「はあ、」
「有名です。」
「うん?」
「なにか。」
「いえ、ですよね。ありますよね。よかった。だから来たんです。びっくりした。」
「この先をずっと行けば、ありませんがあります。」
「どっちですか。」
「ありませんがあります。」
「⋯えっと。」
「ありませんのというのです。」
「⋯?」
「⋯?」

◯両者互いに、首を傾げてどちらからともなく

「どうしたものか。」
「それはこちらの台詞です。」
「なんだろう。この状況は。」
「そんなに困惑することですか。」
「ないんですよね?」
「ありますよ。それより、あなた。携帯でお調べなさいよ。」
「携帯で調べても分からないからお尋ねしているのです。皆からはよく、携帯不携帯と呼ばれます。」
「まあ 迷うべき時に迷える才能があるということにしましょう。」
「それで温泉はないんですか。あるんですか。」
「ですから、あります。ありません、」
「へ?」
「ありませんです。」
「それを言うなら、“あります” もしくは、 “ありません”ですよね?」
「はい?えぇまあ。ありますよ。ありません。」
「混乱してきた」
「だから、ありません。ありませんです。」
「また振り出しに戻った。どっちなんです。」
「少しおちついて。」
「なんかすみません。取り乱しちゃって。」
「そういうときは、温泉にでも浸かってほっこりしましょう。」
「だからその場所を伺っているんですが。」
「なんだかなあ。」
「⋯奇妙な世界に迷い込んだのでしょうか。」
「 おかしな人にからまれたという意味では、私もあなたと同意見です。」
「誰がおかしな人ですか。だから、温泉は、あるんですよね!?」
「だから、ありますよ。ありません、です。困った人だな。そろそろ分かっていないのはあなただけだと思いますよ」
「⋯どうしたものか。」
「それはこちらの台詞です。」

「だから、ありません。ありませんですよ。」
「この辺に温泉はないんですよね。」
「だから、あります。ありませんです。」
「どっちですか。」
「どっちとは、なんです。ありませんです。」
「ないのか。(絶望)」
「あるって、」
「いやがらせですか。」
「だめだ、こりゃ。」
「どっちですか」
「ありませんです。」
「ふざけてますか」
「ちがいます。どうしたものか、」
「なんなんですか。一体。」
「いいえ、北部です。」
「はあ???」

◯そういうことを言うから余計に分からなくなっちゃうんだよ

「ですから⋯ありませんというのに。」
「もう分かりましたから。この辺に温泉はないんですよね。」
「だから、あります。」
「もう結構。」
「ありませんです。」
「馬鹿にするのもいい加減にして頂きたい。」
「そんなつもりじゃ⋯」
「語尾にデスマスを付ければ、何でも敬語のようになると思っているのですか。」
「だから、有馬線です。」





クダラナイコトガスカコー戯曲

【親切だけど誤解を招くイントネーションのやつと、調べてくるという概念をそもそも持ち合わせていないけれど人に聞く勇気だけは見習いたいなと思うやつ。】



おまけ。






おわり(^o^)


またあそぼうねえ~♪ヽ(*´∀`)ノ



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nothihodo/作菓 ありがとうございます。ヽ(*´∀`)ノ♪ ●Suzuriです。 https://suzuri.jp/nothihodo