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実際のお店のほうが、写真よりいい。それには理由があります。

前回、次に撮る一枚を決めました。

そして数日後、実際に撮ってみたとします。

営業前、カウンターを拭いて、グラスと小皿を置いて、スマホを構えて、一枚。

その場では、悪くないと思いました。

でも、あとから画面で見返すと、少し違います。

顔を上げて、実際のカウンターをもう一度見ます。

やっぱり、こっちのほうがいい。

画面に戻します。

やっぱり、何か違う。

今日は、その「なんか違う」の正体を見てみます。

目で見ているとき、意外と見えていない

カウンターの前に立っているとき、何を見ているでしょうか。

たぶん、グラスと、その周りの木目です。

視線がそこにあるあいだ、ほかのものはあまり目に入っていません。

正確には、目には入っているけれど、見ていません。

伝票の束。

充電ケーブル。

ティッシュ箱。

奥の壁に立てかけた段ボール。

毎日そこにあるものほど、いつの間にか見えなくなります。

でも、スマホはそれをしてくれません。

人の目は、見たいものを見ます。でも、カメラは、そこにあるものを全部写します。

だから、目で見た店と、写真に写った店が、少し違って見えます。

写真が下手だったわけではありません。

自分には見えていなかったものまで、写真には写っていただけです。

一枚の中で、いろんなものが喋っている

撮った一枚を、もう一度よく見てみてください。

一人で落ち着いて過ごせる席。

それを見せたくて撮ったはずです。

でも画面の中には、ほかのものも入っています。

右端に、メニュー立てが半分。

左に、調味料が三つ。

奥のほうにレジ。

手前には、椅子の脚が一本だけ。

テーブルの端から、ケーブルが伸びている。

どれも悪いものではありません。

営業に必要だから、そこにあります。

ただ、この一枚で伝えたかったこととは、あまり関係がありません。

写真を見る人の目は、画面の中を動きます。

グラスを見て、メニュー立てを見て、調味料を見て、奥のレジを見る。

一枚の中で、いろんなものが同時に喋っているような状態です。

そうなると、いちばん見てほしかったグラスと席も、その中の一つになってしまいます。

何かを足す前に、一つどける

写真を見て、「なんか違うな」と思う。

すると、何か足したくなります。

もう少し明るくしたほうがいいかな。

植物でも置いたほうがいいかな。

料理をもう一皿並べようかな。

少し加工したほうが、雰囲気が出るかもしれない。

でも、その前に一度だけ、逆のことをやってみてください。

何かを足す前に、伝えたいものと関係のないものを、一つだけ減らしてみます。

ティッシュ箱を、画面の外へ出す。

ケーブルを、テーブルの向こう側に落とす。

中途半端に写り込んでいる椅子を、少しずらす。

空のグラスを一つ、下げる。

それだけです。

そして、もう一度撮ります。

見比べてみると、さっきよりグラスと席が目に入るようになっているかもしれません。

何かを足したわけではありません。

見てほしかったもの以外が、一つ減っただけです。

全部きれいにしなくていい

ここで、「じゃあ全部片付けよう」とは思わなくて大丈夫です。

お店は、スタジオではありません。

営業中なら布巾もあるし、伝票も置いてあります。調味料も出ています。

それを全部消してしまうと、普段のお店とは違う景色になってしまいます。

見たことのないくらい整った写真は、実際に来た人が「思っていたのと違う」と感じる原因にもなります。

それに、全部片付けてから撮ろうとすると、また撮影日が必要になります。

前回、それはやめようと話したところです。

だから、店全体を見る必要はありません。

スマホの画面に映っている、その四角の中だけを見ます。

四角の外は、そのままで構いません。

画面の中に、今回伝えたいものとは関係のないものが一つある。

それを、一メートル横へどけてみる。

写真の外へ出れば、それで十分です。

今日のワーク

五分で終わります。

1. 前回決めた景色を、一枚撮る

まずは、そのまま撮ってください。

2. 撮った写真を、その場で見る

撮り直す前に、一度だけ画面を見ます。

3. この写真で、いちばん見てほしいものを一つ決める

グラスなのか。

席なのか。

料理なのか。

一つだけ選びます。

4. それ以外で、いちばん目に入るものを一つ探す

画面の端まで、ゆっくり見てみてください。

たぶん、一つくらい見つかります。

5. それをどけて、もう一枚撮る

一気に五個どけないでください。

一個だけです。

そのほうが、何が写真の邪魔をしていたのか、自分で分かります。

撮れたら、最初の一枚と並べてみてください。


たぶん、少し変わったと思います。

それでも、まだ実際のお店と見比べると、

「もう少し、こっちのほうがいいんだけどな」

と思うかもしれません。

物を一つ減らしても、まだ残る違いがあります。

次回は、そこをもう少し見てみます。

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