【architecture】こんな建築をつくるのが私の夢 子ども図書館 『ほたる』
岡山駅から車で30分ほどのところに、可愛らしい私設図書館がある。
『子ども図書館 ほたる』
である。
『子ども図書館ほたる』の建物は、100年以上前に建てられた、旧誕生寺小学校の校舎である。この校舎は、岡山県の学校建設を多く手がけた江川三郎八が設計し、明治43年(1910年)に現在の久米南町に赤坂高等尋常小学校の校舎として建てられた。久米南町は岡山県の中部から東に位置し岡山市内から40kmほどのところに位置する山間の町である。木造2階建ての寄棟造で、平屋棟が左手に付属している。
昭和48年に校舎の建て替えに伴い、現在の岡山県赤磐市馬屋に移築された。場所は岡山市と赤磐市のちょうど市境付近で岡山市内からもアクセスは悪くない。と言っても電車でどこでも簡単に行ける都心に比べるとバスか車しかアクセス方法はない。
2018年に国登録有形文化財として登録されている。この歴史的な建物を残し、未来を作っていく子どもたちに使ってもらいたいという想いから、岡山の家具メーカー株式会社アクシスの社長『大槻順一郎氏』が私設図書館として活用することになった。
大槻氏は今まで世界中を旅してきた経験を元にネパールなどに10館の私設図書館を知人などから寄附を募り完成させてきた。
そして日本でも子ども達のためにつくりたいと思い、ここ岡山に私設図書館を完成させた。
内部は古い小学校のつくりがほぼ残されており、木をふんだんに使ったその建築はジブリの世界のような古い木造校舎に洗練された木製家具や子どものためにハンモックや秘密基地のようなスペースが用意されている。そこで子ども達が好きな場所で好きな本を選んで読むことができる。床は杉が張られていて素足で歩くと気持ちがいい。なにより杉は他の木と比べて柔らかく足触りが良い。







昔のままの窓は現代風の窓とは異なり木製の窓だ。気密性も断熱性も今の性能からしたら微塵もないが手作りで作られた窓には温かみや安心感すら感じられる。








窓から見える田園風景や山々がとても気持ち良い。格子状の窓は当時世界的なデザインの主流であったモダニストを感じられる。

天井に張られた木も懐かしさを感じさせるもので可愛らしい。
図書館の選書もセンスがあって面白い。




子どもの頃よく読んでいた本に大人もついつい読み耽ってしまう。
また私好みの建築やデザインの書籍もそこら辺の本屋には既に置いていないような代物揃いでオジサンである私も一人でゆっくり訪れたい場所である。







子ども達は心地よい場所への感度がわかりやすく高い。ここで過ごす子ども達は皆楽しそうで生き生きしている。本能的に居心地の良い場所に反応するセンサーがついているのだろう。居心地の良い建築か否かを判定するリトマス試験紙があるとすれば子ども達の笑顔が証明してくれる。
建築家の安藤忠雄氏は全国に図書館を寄付する活動をしている。『こども本の森』を全国に展開しているが建設費、設計費は安藤忠雄氏の負担である。運営費は安藤氏が企業を一件一件まわり寄付を集めた。これにより約10億円近い寄付金を募ることができた。年間5000万円の維持費がかかるとして少なくとも20年は運営費に困ることはない。そこまで考えて建築を作れる建築家であることが安藤忠雄が世界のANDOと呼ばれる所以だと私は思っている。
この活動の背景にはアメリカの実業家『アンドリュー・カーネギー』の影響がある。あの鉄鋼王で有名なアンドリュー・カーネギーである。カーネギーは63歳で会社を売却した資金で亡くなるまでにアメリカ中に2500近い数の図書館をつくった。カーネギーが図書館をつくったのには中学生の頃電報配達のアルバイトをしながら本を読んでいたことが自分の人生に大きな影響を与えたと言っている。
安藤忠雄氏も独学の建築家である。本から得たものは計り知れない。
安藤氏曰く、カーネギーに習って自分も何かできるならひとつでも多く図書館をつくりたいと言っている。
『子ども図書館 ほたる』にもカーネギーや安藤忠雄氏と同じ志を感じることができた。そんな未来を背負う子ども達のことを思う大人になれたらいいなと思わさる建築でした。
PS
近くには安藤忠雄の建築の数々で構成された『IPU環太平洋大学』もある。是非とも足を運んでいただきたい。まさに『ANDO LAND』と言っても過言ではない建築群は圧巻である。
過去記事はこちら↓
ではまた。
