【architect】子ども達のために建築家ができること
建築家の安藤忠雄氏は『こども本の森』という図書館をつくっている。
大阪の中之島の第1号にはじまり、神戸、遠野、松山、熊本と全国に展開している。遂には既存の船を改造して『こども図書館船 ほんのもり号』なるものまでつくってしまった。これは船を図書館にして瀬戸内海を巡りながら本と触れ合うというものである。
安藤忠雄氏は、『こども本の森』をつくるに当たって基本的には設計および建築費を寄付で行っている。ゆえに自費で図書館を全国につくっているのだ。
これにはお手本がいて、アメリカの実業家のアンドリュー・カーネギーである。鉄鋼王として称されたカーネギーは自らの資金を元に世界中に2500以上のカーネギー図書館をつくった。彼は成功する前に電報配達の仕事をしながら本を読んで様々なことを学んだと言われている。そのことを子ども達に伝える為に図書館を世界中につくったのだそうだ。
カーネギーをお手本にして安藤忠雄氏も、自分でも何かできることをしたいと考え全国に『こども本の森』をつくっている。令和8年には札幌にも完成予定だ。
『こども本の森』は安藤氏自身の寄付金以外にも地元の企業からの寄付であったり、本の寄贈を元に成り立っている。図書館を運営するには当然運営費がかかる。これを安藤氏自ら企業に出向いて寄付を依頼して運営費を捻出しているのだ。安藤氏が建築家として優れているのは建築を維持していくことにまで思考が及んでいるところだ。運営も他人任せにせず自ら調達する。今でこそクラウドファンディングというサービスがあるが、クラファンを先駆けするかの如く寄付をもとに、まずは10年くらいは維持できる資金を集めた上で企画をスタートさせるという発想が他の建築家と一線を画す点であると私は思う。多くの人を巻き込みながら自らの想いを実現する建築家だ。大阪人らしい商売気質がそうさせているのか分からないが、建築は完成して終わりではない。完成して維持していくことに意味があるのである。このことを意識して建築をつくる建築家は安藤氏が先陣を切っているように思う。
わたし自身も、安藤氏にならって、子どものための建築をつくりたいとずっと願ってきた。子を持つ親として、将来を担う子ども達の為になにかできることはないかと考えてきた。
知り合いのNPO法人が運営している、児童福祉施設の広場になにか子ども達が遊べる遊具をつくって欲しいと相談されたことがある。ありがたい相談にいつも以上に気持ちを込めて設計をした。
わたしは木を使って小屋をつくりそこにキッチンをつくった。フライパンや鍋をしまうスペースや、食器を置く棚を設けて自由にレイアウトが出来る工夫をした。花壇にもなる棚に季節ごとの花を添えるとまた楽しい空間になるように設計をした。
他にも民家を改装して児童福祉施設にする際に、子ども達の遊べるスペースから道路へ子ども達が出てしまわないように柵をつくった。普通のフェンスでは面白くないので、木をランダムに並べたお手製の柵をつくった。隠れ〇ッキーなんかもつくって遊び心のある空間を目指した。
ここで遊ぶこども達の笑顔を見て、自らの仕事に少しだけ自信を持つことが出来た。
今後はこれらの施設を通して木が傷んでくれば木材をヤスリで削って、新たに塗装をしてあげるワークショップなどを子ども達としていきたいと考えている。遊びを通して木と触れ合って欲しいと思うし、ちゃんとお手入れをしてあげれば長持ちすることも伝えたいと思っている。またモノづくりの楽しさも体感してもらえれば私としては嬉しい限りである。
まだまだ私の活動は始まったばかりであるが、少しでもこども達にできることを実行していければと思っている。安藤氏のような大きなプロジェクトではないかもしれないが今の自分に出来ることを実践して継続していくことが今できることだ。それを地道に続けていきたいと思う。
ではまた。
