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harumi_komai
愚か者
結果、自分は自分のことしか見えていなかったのだ、と彼女は思った。
山崎は何も言わずどこかへ去った。杉本も最後まで彼女のインタビューに応じず、次の世へ移っていってしまって、もう何一つ残っていないのである。
自分の感情は良いことだと思い、それを受け入れてもらえなくとも、相手に良き影響を与えることは当たり前のことで、なんの疑いの余地もなかった。
拒否をされているなどということはあり得るはずもなく、かつての恋人が巨悪の歯車の犠牲者であるならば、その悪を暴くのもまた、彼のためであると思っていたのだ。
しかし、現実は、彼女の世界の方が、彼にとっては異質であり、それは彼女が大切に育てられた証左でもあったのであるが、思いと行動の受け手側は、同じ場所には立っていなかったのだった。
良い悪いではなかったと、単純なことに彼女が気がついた時は、何もかもが終わった後であり、しかも終わってしまっただけではなかった。
時間という、圧倒的な壁がしっかりと形成されたと彼女が認識した時…終戦後という世間の荒んだ風に晒されてなおも気づけなかったという事実と共に突きつけられた時であった。
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