【推し活】オタク、リアルイベントに申し込む
それは2023年の11月も終わりの頃だった。普段使っているメールアドレスから1通のメールが届いた。
「オフ会やりませんか?」
主催者は推しの関連事務所だった。そこには「本人も参加します」とあった。
この関連事務所とつながったのは、遡ることひと月前。知り合いからオンラインファンクラブの存在を教えてもらったからだ。
衝動性の強い私にとって、これは予想外だった。後援会というと、川崎フロンターレのファンクラブ団体が名乗るものか、プロ野球選手の個人応援団みたいな団体が名乗るイメージしかなかったからだ。ファンクラブというと前者のタイプなのかもしれない。
早速申し込んだ。ほぼ日手帳1冊分の月会費だ。これぐらいならどうにかなる……
手続きはあっさり済み、トントンとSNSとつながった。基本はInstagramだったし、インスタライブもやってくれるそうな。
自分のSNSが推しと関連したところにつながる。それだけでも緊張するし、震えが止まらなかった。それは仕方がないことで、基本はオタクのコミュ障だ。自分が推している人と関わるというのが怖いし、生来のビビリも発動しやすくなっていたからだ。
そんな中でのオフ会開催の案内だった。コロナ禍を経て、リアルイベントが増えてきた中でのことだった。
何かを始める時、『怖い』という感情が先に走るというのは最もなことで、「えいやっ!」と飛び込めば怖くないという……そういう話をよく聞くので、思い切って申し込んだ。
申込もあっさり済んだ。飛び込めば怖くなかったが、開催当日までずっと「震えて待て!」という状態が同時進行で続いていた。
時間が経つにつれて、案内メールなど届いていた。当たり前の内容ばかりだったが、申し込んでからずっと「震えて待て」のオタクには恐ろしい内容だった。
……そこには「ツーショット写真が撮れます」「1対1の会話が出来ます」とあったからだ。
これを最初に見た瞬間、「……死亡するわ」と思った。普段、練習グラウンドでファンサービス受けるのとは違う。ハードルが高すぎた。
そもそも『私は推しの瞳に映り込んではいけない存在』と思い込んでる人がオタクの何割かいると聞く。あまりにも尊すぎて、自分を低く見積もってしまうのだ。私もその一部だった。子どもの頃から身内以外には「ブサイク」「美少女タレントと同じ名前なんてふざけるな!」などの呪いをかけられた経験があり、自分の大きなコアの部分にまでかかっていたからだ。そのせいか、自己肯定感はめっちゃ低いし、ましてや「自分を可愛く認める」なんて恐ろしくてできなかった……この辺のはなしは、後日ということで。
――とにかく、イベントには申し込んだからには楽しく過ごすという目標しか持てなかった。
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