やめない人と、やめてほしい人のあいだで
昨日、夫の通院に付き添った。アルコール依存の治療だ。
医師の前で、夫は淡々と話していた。
薬は飲む。でも、お酒はやめない。
まるで「今日は晴れです」とでも言うみたいに、あっさりと。
「どうせ飲んだら気持ち悪くなるし、薬を飲んでも同じだ」とも言った。
私は、その言葉を聞いた瞬間、何かが静かに沈んでいくのを感じた。
怒りでもなく、悲しみでもなく、もっと鈍くて重いもの。
帰り道、「やめないなら、別れたい」と言った。
でも夫は、それを本気にしなかった。
なぜ?とでも言いたげな顔をしていた。
私は、ああ、と思った。
この人には届いていないんだ、と。
やめてほしいと思う。
本気で思っている。
体のことも、生活のことも、これからのことも。
全部ひっくるめて、やめてほしい。
このままお酒を飲み続けられたら、壊れるのは夫じゃなくて、きっと私のほうだ。
だから私は、願うように、祈るように、「やめてほしい」と思っている。
越えられるのか、引き返すのか、
それとも、ここに立ち尽くすのか。
昨日から、ずっと考えている。
