自由でいたい、けれど
もう15年くらい前のことだ。
私がまだ普通に働いていた頃、今から思えば、その時から彼はずいぶんお酒を飲んでいた。
あるとき夫に、怒鳴るように言われたことがある。
「どうして、『働け』って言わないんだ」
そのときの私は、ただこう思っていた。
——好きにすればいい。
どうして、堂々と主夫だと言えないんだろう、とも思っていた。
彼は、あの時よりもっと前から、苦しかったのだと思う。
しみじみ、私は冷たい。
人は人だし、私が何かを強制するものでもない。
自分の自由も、他人の自由も、守りたいと思っていた。
岩谷時子さんが訳した「マイ・ウェイ」に、こんな一節がある。
——人はみな、いつかはこの世を去るだろう。誰でも自由な心で暮らそう。
私は、この言葉が好きだ。
人は本来、自由であるべきだと思っている。
誰かを縛ることも、制限することも、本当はしたくない。
私はタバコも吸わない。けれど、いわゆる「禁煙派」でもない。
分煙でいいと思っているし、極端な話、昭和のようにどこでも吸えていた時代でも構わない、とさえ思う。
副流煙がどうこうと言われても、どこかで「そこまで気にするものだろうか」と感じてしまう自分がいる。
だから——
お酒をやめてほしい、と言うことが、
私にとっては、とてもつらい。
昼と夜の区別がつかなくなった夫を前にして、
夫も、私も、
壊れかけている。
助けてほしい。
