小さな布の先にあったもの
それは、「ノ縞屋」と書かれた小さな布から始まりました。
看板というにはあまりにも控えめ。
地面から40センチほどの高さしかない布が
そっと置かれていたのです。

「なんだろう?」
この布の右奥を覗き込んでみた。

店があるような雰囲気もない。
古い長屋の入り口のよう・・・
気になったので、様子を見に行ってみることにした。
すると・・・
話し声が聞こえ、「こんにちは」と声をかけられた。
びっくりして左手を見ると、お店?
声をかけてくれたのは、若い女性。
「どうぞ、どうぞ。って言っても私も客なんですけどね(笑)」と。
そこにいたのは、若い女性と店主らしき男性。
な、な、なんなんだ・・・

ビンテージの食器が静かに並んでいます
どうやら、雑貨店・・・なのかな?
そう思う間もなく、
「まあ、こちらへどうぞ。」
促されるがまま上がり込み、気づけばお茶をごちそうになっていました。
その女子は、20代前半か半ばくらいだろうか・・・
ひとり旅の途中とのこと。
若いゆえの悩みもありつつ、ひとり旅をして視野を広げている姿がとても素敵だなと思いました。
私も若い頃もっとたくさん冒険すればよかったな・・なんてちょっと自分のことを省みたりもしつつ。
店主の野島さんは、とにかく穏やか。
まあ、上がってお茶でも飲んで行きなよ・・的な雰囲気(笑)
店内には、北欧のビンテージ雑貨や、日本の作家さんの作品が並んでいました。
築80年以上という古民家の雰囲気が作品たちと調和しているのが素敵です。

三人で、話をしていると、旅好きという共通項があるとはいえ、なんだか前から知り合いのような気さえする不思議な感覚。
お店だけど、お店じゃないみたいな空気感。
友達の家にでも遊びに行ったような感じとでも言いますか・・・
不思議と落ち着く場所。

この日、私は、白山神社へ向かっていて、
そのあとは、「沼垂(ぬったり)テラス商店街」へ行ってみようか・・
それとも、「今代司酒造」へ行ってみようか・・・
なんて考えていたけれど、どちらも行かなかった。
むしろ、素敵な場所と素敵な人たちと出会えた。
もし急いでいたら、きっと気づかなかった。
もし予定を詰め込んでいたら、あの路地へ入ることもなかった。
たまたま、あの道を通らなければ、この"布"と出会うこともなかった。
日本酒を飲みたいと向かった新潟で一番心に残ったのは
「この先に何があるんだろう・・・」
そんな小さな好奇心に素直に従って入って行った、ほんの数十メートルの路地でした。
あの日、私が見つけたのは、一枚の小さな布でした。
でも、その先にあったのは、お店だけではなく、人との出会いであり、自分の知らなかった世界でした。
旅では、気になったものに、ほんの少し素直になってみる。
そこには、自分の知らなかった世界が、小さな扉を開けて待っているのかもしれません。
もう一度、あの布を見てみると、小さくこんな言葉が書かれていました。
「モノを見つけ、人と出会う」
あの日の新潟は、最初からそう教えてくれていたのかもしれません。

いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援よろしくお願いします!いただいたチップは旅の資金の一部とさせていただき、旅記事として皆様に還元させていただきます。