読書録2023
さて、いよいよ2023年に読んだ本をまとめる時が来ました笑
一つずつ一つずつ記事にするというのはそういう仕事の人がやればいいと思うし、私のようなあまり時間と余裕のない人間にはなかなか難しい.…
今回ご紹介するのは2023年の後半頃からのものです。前半は辛うじて一生懸命更新してました.…
何冊読んだんでしょうか…れっつごー
鴨志田一『青春ブタ野郎はバニーガールの夢を見ない』KADOKAWA電撃文庫
2022年末に前の会社を退職し、2023年の頭からは以前アルバイトで入っていた餃子屋にまたバイトで出戻りしたのですが、そこでおにいちゃんと呼ぶくらい仲良くなった社員さんとの出会いがありました。
そのおにいちゃんは絵に描いたようなオタクなのですが、ハマっているコンテンツのうちの一つが「青春ブタ野郎シリーズ」でした。
おにいちゃんと話を合わせるべく、一番最初のこの巻を古本で購入し、Amazonプライムでアニメシリーズと映画を観たわけです。
ウン年ぶりにライトノベルを手にして読んだのですが本当にスルスル読めますね。おやつ感覚でした完全に。
ストーリーもなかなか面白くて、「思春期症候群」も言い得て妙です。思春期の人間が抱えやすい機微を超常現象に絡めることによってより表面化しやすく、ライトノベルらしいわかりやすさが出るな、と感じました。久しぶりに集めたいライトノベルシリーズです。
まだ続きを集めていませんが.…積み本が多くて.…
ちなみにアニメのEDや劇伴はfox capture planがやってて良かったです。
っていうか去年の10月に完結してた!死ぬまでには読み切りたいですね笑


でも結局映画は観に行けなかったんですよね.…反省
椎名美智『「させていただく」の使い方 日本語と敬語のゆくえ』角川新書
2023年当時は、餃子屋と並行して大学の時の教授のもとにアシスタントとして通っていたのですが、おそらくなにかのきっかけで図書館へ行き、フィーチャーされていたこの本に興味を持って読みました。
「させていただく」という文言はどの場面でも多用することが多いです。そして謙遜する日本人特有の言い回しでもあります。
ただ、使いすぎ!と思う場面も増えてきて、語法としてあっているのか?丁寧と思われたすぎないか?と読んでいて、書いていて思うこともしばしば。
そんな疑問に日本語の文法の歴史・用法から「させていただく」の使い方を紐解き、その変遷から今後の日本語の敬語は如何に変わっていくだろうかを説く本です。必読。

飯山陽『イスラム教再考 18億人が信仰する世界宗教の実相』『中東問題再考』扶桑社新書
同じ著者なのと、同時期に読んだので一緒に書きます。
最近の飯山先生といえば、ご自身のYouTubeチャンネルにて某保守党とバトルを繰り広げていらっしゃいましたがここしばらく落ち着いてこられて、フィールドである中東問題のことをお話になるようになりましたね、良かったです。
上記の2冊とも、イスラム中東問題に深く追及したもので、内容が被る部分もありますが、『中東問題再考
』のほうが最近の情勢により近いものです。
『イスラム教再考』の方は中東の問題というより、イスラム教という宗教そのものの特性、現代における問題について論じたものです。それが結局中東問題に通じるので内容が被るところもある、というわけです。
昨今、イスラエル・パレスチナの戦争が問題になっていますが、メディアやSNSの情報だけではなく、こちらの2冊でもってしても情報を精査していただければ、と思います。


中西佳世子『ホーソーンのプロヴィデンス 芸術思想と長編制作の技法』開文社出版
どうでしょう、読んでいるものの寒暖差が激しすぎて風邪ひきそうでしょう←?
こちらの本は教授にお借りしました。
アメリカの19世紀の作家、ナサニエル・ホーソーンに焦点を当てたもので、ホーソーンの作品といえば『緋文字』が有名ですね。
ところでホーソーンが妻と住んでいた家の窓には、妻と共に刻んだと言われる文言があります。
"Man's accidents are God's purposes"
人間世界の偶然の出来事は神の計画、という新約聖書に多く見られる摂理(プロヴィデンス)です。
このプロヴィデンスがホーソーンの作品に頻繁に用いられていることに着目し、短編『ラパチニの娘』『旧牧師館の苔』、長編『緋文字』『七破風の屋敷』『ブライスデイルロマンス』『大理石の牧神』、エッセイ(?)『フランクリン・ピアース伝』『主に戦争のことに関して』からそれぞれの作品において、プロヴィデンスが文学的装置としてどのように機能しているかを論じています。
ものすごく面白かったです。ホーソーン文学入門としてもおすすめ。

ラフカディオ・ハーン『怪談』光文社古典新訳文庫
お次はラフカディオ・ハーンこと小泉八雲の『怪談』です。小泉八雲といえば、彼の妻にスポットを当てたNHK朝の連ドラが近々放送されますね。
ちょっと楽しみです。
割とゾッとしながら読んだのを覚えています。
もうきっと叶わぬ夢ですが、夏に『怪談』朗読の会やりたい、と思った時もありました。
ゾッとしたいときはみなさまぜひ。

ナサニエル・ホーソーン『我が旧牧師館への小径』平凡社ライブラリー
先述のホーソーンに関する論書『ホーソーンのプロヴィデンス』を読むにあたり、いくつか本を借りたうちのひとつ。そして期限内で読み切れたうちの物の一つ・・・笑
ホーソーンが住んでいた旧牧師館の周りの風景について著述した、情景描写の極みともいえるエッセイ。
短めのこのエッセイ一篇と、訳者による解説付き。
このエッセイ自体が『旧牧師館の苔』の序章?前説?だったものです。

高橋哲雄『二つの大聖堂のある町 現代イギリスの社会と文化』ちくま学芸文庫
大学の先生に進めていただいて借りて読んだ本でした。
出版された当時から30年以上経っているので現代・・・?という感じですが、なかなかおもしろく、ウィットに富んだエッセイ。
高橋哲雄先生は、専攻は産業組織論・イギリス社会文化史で研究をしておられました。
なぜイギリス人はミステリーを好むのか、ミシュランが少ないのかなどなど、イギリスならではの「文化」をご本人のエピソードも交えユーモラスに描いています。文章量は多少多いですが、イギリスという国にざっくり興味がある人は読んでみても損はない一冊かな、と思います。

堀真理子『ベケット巡礼』三省堂
堀真理子先生は、英米文学で青山学院大学で教授職に就いておられます。
『ゴドーを待ちながら』を読み終わった時期に私の大学の教授に貸してもらいました。
この『ベケット巡礼』は堀先生がベケット生誕の地アイルランドからフランスなどベケットゆかりの地や開催された公演などを訪れた紀行文と、その地にまつわるベケットの作品や人生を探るものです。
巻末付録も充実していて、近年も飽きず読まれ、研究され、時に上演されるベケットを知るにふさわしい一冊です。
以前、私のnoteで、「地点」演出家・三浦基氏の稽古方法について書きましたが、あれはベケットの稽古方法だったことを知れたのもこの本でした。
もっとも三浦氏はベケット作品を多く演出する方なので、それにふさわしい稽古方法を取っていることがよくわかります。

北杜夫『さびしい姫君』新潮社
初!北杜夫!
いつかこれもまたnoteに書きますが、この年の秋は大分の祖母の家に帰っていました。母の実家で寝泊まりするのですが、母の部屋の本棚にあったのがこの本でした。
ちなみに祖母はこれは誰が買ったのか・・・と不思議がっていました。未だ謎のままです。
「大人と子供のための童話」シリーズ。三部作構成で、完結作とのこと。
そんなんで読めるんかいなと思ったら前作を知らなくてもすいすい読める。久しぶりに楽しく気楽に読める小説に出会った!と思いました。
楽しいけど大人が読むとビターさも感じる。たしかに大人のための物語でもあります。これぞ童話!
北杜夫、ほかにもいろいろ読みたいと思ったのに全然読めていません。
積み本を解消してから収集したいですが、いつになることやら・・・

遠藤周作『その前日』『童話』『私のもの』『札ノ辻』筑摩書房日本文学全集(1970年版)
これも大分の祖母の家にある母の部屋には、日本文学全集が置いてあります。1970年に出版されたものなので、その中には存命の作家たちも多くいました。三島由紀夫しかり、遠藤周作しかり。
その全集の遠藤周作集の中から4篇読みました。
遠藤周作は文章の読みやすさや秀逸さにおいて私の好きな作家ベスト3にはがっつり入るのですが、今回の4篇は、ほぼ酔っぱらいながら読んでいたのか、恥ずかしながら内容をあまり覚えておらず、すいすい読んでいたことは覚えている( ^ω^)・・・情けない。またトライしたいです。
どれか一つなんかぞっとした覚えがあるんだけどなあ。『札ノ辻』だったかしら。

藁谷郁美『ドイツにおける三島文学の需要と翻訳 表現手段としての宗教言語』 泉水浩隆編『翻訳と通訳の過去・現在・未来』より 三修社
こちらは一冊の本を丸ごと読んだわけではなく、この中で気になる章だけサラッと読んだ、という感じです。
藁谷郁美先生は、ドイツ文学で慶応義塾大学で教授職に就いておられます。
この本も私の大学の教授に貸していただきましたが、この章の内容が気になり、読ませていただきました。
三島由紀夫の『午後の曳航』を取り上げ、三島の原文とドイツ語翻訳を比較し、三島のテキストがドイツ語における宗教ないし聖書的な表現を用いて訳されていることに着目し、どのように作用しているのかを論じたものです。
私にとって『午後の曳航』といえば、ドイツ文学を知るきっかけをくれた大学の某御大が授業で取り上げていました。オイディプス・コンプレックスの例として出してきた作品でした。
そんなこともあり、またドイツ語とあり、興味深く読ませていただきました。
ドイツ語せっかく習ったのにほとんど覚えていません・・・かなしい。

大城立裕『カクテルパーティ』UNIVERSITY of HAWAII PRESS(戯曲版)、勉誠出版(小説版、大城立裕全集より)
この年最後に読んだ作品でもあります。
小説版の方は芥川賞も受賞していますね。
大学の教授に勧められて読みました。
米軍が駐屯している沖縄で、米軍兵士による性犯罪に焦点を当てた話です。
主人公が仲間の外国人たちとカクテル・パーティーをしているその日に、主人公の娘が米兵にレイプされるのですが、日本の法で裁くことが出来ず、「国際親善」の裏切りに合う、というのが小説版。
戯曲版では当時の回想(小説版時空)とツイストしながら、主人公とその娘のその後が描かれます。ここでは日本の戦争責任、アメリカ人の原爆認識にも焦点が当てられます。
日本の戦後レジーム脱却におけるハードルを描き出しています。
現在は日本で法を犯した米兵は、日本の法で裁くことができます。だからといって本土でも犯罪がなくならないように、むしろ米兵に限らず外国人の犯罪が増えてきているように、沖縄で米軍による犯罪がなくなるわけではありません。
この作品で私たちが見失ってはいけないのは、沖縄に米軍がいるべきかそうでないかではなく、外国人から自分の国を守るために、日本で起こった犯罪は、いかなる人でも日本で、日本の法で裁くべき、という姿勢を崩さないことだと私は信じてなりません。


