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ブラック企業の深夜に起きた〜“水鉄砲乱射事件”の全貌〜

33年という長い会社勤めの中で、いろんな出来事がありました。
その中で、いまだに忘れられない"あの夜"の出来事が。

それは、私がまだ20代。
工場の夜勤を無理やり手伝わされていた頃の、ちょっと信じがたいエピソードです…

◇静かな夜に

当時、私は転職してまだ2年目くらいの若造で、夜勤にかり出されることが時々ありました。

もともとは日勤担当ですが、「夜勤の人数が足りない!」そう言われると「はい」と答えるしかない職場の空気。

“ブラック企業”な特徴の一つが、慢性的な人員不足。

せっかく新人が入ってきても放置する。そして、すぐ辞める。
また新人が入る。すぐ辞める。
残った人員が気合いと根性でなんとか回す!

この負のループから、いつまでたっても抜け出せない。
まさにそんな会社でした。

そしてその日も、半ば強制的に夜勤に組み込まれ、薄暗い工場の事務所で一人、デスクに向かっていました。

シ〜ン…とした夜の事務所。
パソコンの画面の明かりだけが、ぽつんと浮かんでいる。

23時を回ったころでしょうか、突然――

「おい!やってるかー!!」

背後から、男の人の大声が響く。

「ビクッ!」

椅子から跳びはねるくらい驚いたの覚えている。

「な、なんだ!?」
とっさに振り返ると、そこに立っていたのは……

水鉄砲を両手に構えた、”Z先輩”だった。

◇乱入者

Z先輩は、私よりひとつ年上の男性。

体育会系で、180cmはあろうかという大柄な体格。
いつも無表情で、あまり人と関わらない印象でした。

そんな人が――なぜこんな時間に! 
しかも私服で登場!? 
そして、両手には水鉄砲を持っている。

ニヤけているが、目がすわっていて完全に酔っ払っている。
そのいでたちに驚きました。

あ然とする私を横目に、水を乱射しまくるZ先輩。
あっという間に、あちこちが水浸しに!

「やめてください!」

私は慌てて声を上げると、いっしゅん動きがとまるものの、『ニヤッ』と笑ってまた水を乱射する。

机、イス、壁、書類……あらゆるところが水浸しになっていく。

「ちょっと!マジでやめてくださいっ!」

また一瞬、動きが止まったかと思えば、『ニヤッ』そして再び連射。
この繰りかえしがしばらく続いて、もう意味がわからない状態に。

「とにかく、早く帰ってくれ!」そう何度も心の中で叫び続けていた……

◇正体

しばらくして、ようやくZ先輩はイスにどっかと座った。

「お前さぁ、真面目に仕事すんじゃねーよ!」

そう言って、絡んできた。

これは、酔った勢いで説教するパターンだ。
わざわざ夜中に乱入してくるくらいだから、よっぽど私にナニか言いたいのか?

でも、Z先輩とは、これまであまり話したことがない関係。

私がこの部署が配属されてからも、冷たくあしらうわ、あからさまに無視するわ…。
「なんなんだこの人?」と思いながらも、深入りしないできた。

そして、この日の夜。
絡んできたことで、そのモヤモヤの正体が、ようやくわかった気がしました。

◇壊れた?

Z先輩は、図体はデカいが、とっても気の小さい人でした。

上司の前では、ペコペコしていて弱腰。

本当は自分の意見を言いたい。でも言えない。
話しを誰かに聞いてほしいことが山ほどあったんじゃないかな?

けど、言葉にできない。うまく吐き出せない。

そしてこの日の夜、酔っ払った勢いで、まだ転職してきて日の浅い、
私が夜勤していることを知って”水鉄砲を乱射”しにきた。

きっと、そうなんだろうなあと思うと、すこし可愛そうにも見えてきた。

でも、泥酔して目がすわってるZ先輩。
そんな私の思いなど関係なく、説教中にも水鉄砲を乱射しまくる。

「もう、いい加減やめてください!」

そう私が叫ぶと、ようやく落ち着きだし、さんざん絡んだ末に、フラフラと車に乗って帰っていった。(まだ飲酒運転が甘かった時代)

◇教訓

「なんだったんだ、あれ……」

嵐が去ったあとのように、うす暗い事務所でポツンと一人。
呆然としながらも、Z先輩のことを考えている。

恐らく、相当ストレスを溜めこんでいたんだな。
そのはけ口が、“私”だったんだなと。

もちろん、八つ当たりは許せないです。

でも、あのZ先輩の姿は、もしかしたら自分もそうなる可能性があると教えてくれたのかもしれない。

「ストレスは溜めないで、心の健康を優先する」
「どんなにツラくても、人に八つ当たりはしない」

これは、Z先輩が水鉄砲で教えてくれた、ちょっと強引だけど大事な教訓。

ちなみに、水浸しになった事務所は、朝日が昇る頃には、何事もなかったかのようにピカピカにしました。

◇最後に

ちょっと笑えるけど、ちょっと怖い。
そして、どこか切ない――そんな思い出話でした。

いま振り返ると、Z先輩は、心が限界ギリギリだったんだと思います。

ストレスを抱え続けると、人はおかしくなってしまう。
ちゃんと話せて、ちゃんと吐き出せる場がなかったのかもしれない。

でも、それは決して“人にぶつけていい理由”にはならない。
あの”水鉄砲事件”は、そうやって「自分を壊さない方法」を考えるきっかけになりました。

もしこれを読んでいる、あなたの心が疲れていたら、どうかムリをしないで。
ちゃんと眠って、誰かと話したりして、自分を追い込んだり責めないでください。

Z先輩のように、自分を見失ってしまわないよう、どうか自分を大切に。

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