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モーコンオタクが語る「ネクストラウンド」が"300点の映画だけど100点"という話

リンクェイの同志、ごきげんよう。
ワーナーによって魔界に下った男、えすけー弐来だ。(リスペクト)

試写会でIMAX版を体感し、本日は通常上映も観てきたので、モーコン新作に関する感想をつらつらと語ろうと思う。

結構強火でレビューしているので、好きな人はブラウザバック推奨だ。
ネタバレマックスなので、まだ見ていない人は注意してくれ。

はじめに

ついに公開された待望の続編『モータルコンバットII(邦題ネクストラウンド)』。

前作のヒットからはや5年、キャストも全員カムバックし堂々の公開となった。MKの2作目は呪われているという話があったりなかったりしているのでそれだけで嬉しい。

米ワーナーが買収騒動で危うい中、本作がどれほどの熱量を持って作られたか、興奮冷めやらぬファンも多いことだろう。

そんな厳しい時世の中で、日本で公開してくれたことは本当にありがたい。ワーナージャパンさんやTOHOシネマズさん、プレミアポートの皆さんには感謝しかない。

私も微力ながらコスプレイヤーとして協力させていただいたので、何度でも劇場に足を運んで欲しい。

結局面白いのか

本作はゲームファンにとって間違いなく「最高傑作」であり、エンタメとしても前作並みの水準を保った「名作映画」である。

しかし同時に「絶対に許せない致命的な1つの不満」を抱えた、個人的には非常に惜しい作品となった。

今回は、長年のMKファンとしての視点から、前作の不満点をどう乗り越えたのか、そして何が「ガチで許せなかった」のかを語っていきたい。

前作(2021)で不満だったこと

NRについて語る前に、まずは前作『モータルコンバット(2021)』が抱えていた負の遺産について触れておく必要がある。

はじめに言っておくと、自分はMK2021は好きだ。アンチではない(と思う)。

ヒロイックで大衆向けな95年版と比較しても、フェイタリティ含むキャラの再現度の高さには感動したし、ジョー・タスリム演じる悪の化身としての「サブ・ゼロ」は非常に魅力的なヴィラン像だった。

ちゃんとブルーレイも発売日に買ったくらいである。そのうえでいくつか言わせてもらう。

オリキャラ「コール・ヤング」

前作で最も物議を醸したのが、映画オリジナル主人公「コール・ヤング」の存在だ。

スコーピオンを主軸としたストーリー展開のために、その血を引いた子孫という設定で登場し、物語の中心人物となった。
魅力的な既存キャラが山ほどいるにもかかわらず、この設定変更はRedditやXで炎上することになる。

ぽっと出の彼が、シリーズ屈指の大ボス「ゴロー」を”能力覚醒イベント”のダシにして倒してしまったことはかなりの不満となっただろう。

加えてスコーピオンとサブ・ゼロの神聖な戦いにまでに挟まり始め、これが百合の同人誌だったらガン萎えして秒で破り捨ててしまうレベルだった。

家族愛のゴリ押し

これは好きな方もいるかもしれないが、基本血みどろの死闘(フェイタリティ)を求めて観に来ているファンが多いと考えると、「妻と娘を守るお父さん」という家族愛のドラマをゴリ押しされたこともノイズだった。

スコーピオンの対比や救済を際立たせたかったのだろうが、正直モータルコンバットのトーンに合っていないと感じる。

「クン・ラオ」の死

前作でシリーズ屈指の人気キャラ「クン・ラオ」の唐突な死についても、多くのファンがショックを受けたことだろう。(ライデン助けろよ……)

彼の本来の実力やバックボーンを考えれば、あまりにも呆気ない退場だったと言わざるを得ない。

先代(エルダー)クン・ラオの設定をスコーピオンに移植した弊害だと感じて非常に不快だった。

キャラ設定改変による歪み


黒龍会一のSEXY🔪GUYの風格

本来「観客目線の一般人(巻き込まれ枠)」であるはずのジョニー・ケイジが不在だったため、映画のユーモアやツッコミ役をすべてカノウが背負う羽目になった。

カノウ役のジョシュ・ローソンの熱演は光ったものの、本来の非道なカノウ像からはズレており、全体的なキャラクターの配置に大きな歪みが生じていた。

「ネクストラウンド」こそ「Flawless Victory」

そんな前作の不満点を見事に解消してくれたのが、本作ネクストラウンドだ。良かった点は手放しで絶賛したい。
個人的に良かった点を列挙していこうと思う。

Mr.Cageお前が必要だった

カール・アーバン演じるジョニー・ケージの参戦は、本作最大のハイライトだ。
前作のポストクレジットシーンから、5年越しにその勇姿を見ることができた。

落ち目のハリウッドスターとしての少しやつれたルックスは噛み合っており、ゲーム版の『初代MK』の設定である「前妻:シンディ・フォード」を感じる哀愁が出ていた。(別にそんな描写ないんだけど)

冒頭に自身の作中作が登場し、予告でもあった「やったろか(It's showtime!)」の覚醒後伏線となっている。
95年版の「これで終わり(This Is Where You Fall Down)」が大好きな自分としては、これが見たかったんだよとなった。

本作で復活したカノウとコメディリリーフの役割が被るかと思いきや、2人でFワードを連発しながら漫才のような掛け合いで共闘する姿は最高に面白かった。特にとある作品の登場人物を絡めた比喩は映画ファンなら抱腹絶倒だろう。

息もつかせぬファイトの連続

レベルの高いアクション、出し惜しみのないフェイタリティの数々。誰が死ぬか分からない緊張感。そして、差し込まれるテーマ曲「Technosyndrome」のアレンジ。

ドラマ性とキャラの成長を優先しすぎた前作のモッサリ感を払拭し、ひたすら血湧き肉躍るバトルが連続する構成は、まさに格闘ゲームのテンポそのものだった。

ゲームの映画ってこれでいいんだよ

ゲームのタイトルやフォント、ソニア&ジョニーやツン&チーの絡み、試合開始のドラの音、「The Pit」や「DEADPOOL」ステージの圧倒的再現度。
ファンがニヤリとする小ネタや、原作への深いリスペクトが画面の隅々から伝わってくる。

実際のゲーム画面を再現した演出は、IMAXで見るとより「ゲームを遊んでいる」気分にさせてくれる。

小難しい理屈は抜きにして、ただひたすらに「モータルコンバット」という"殺戮の宴"を映像化することに振り切った姿勢は高く評価できる。

カメオ出演でシリーズの生みの親であるエド・ブーンがしれっと現れたときは試写会会場は爆笑の渦に包まれた。

リュウ・カンの美しくも悲しい因縁

そして何より素晴らしかったのが、前作で不満だった「クン・ラオの死」を伏線へと昇華させたことだ。

クァンチーによってレヴェナントとして蘇ったクン・ラオを救うためという、リュウ・カンが戦う理由とバックボーンが説得力と美しさを持って描かれていた点はかなり評価したい。

この掛け合いで、多くのモータルファンを唸らせたのは間違いないだろう。
この味付けが次回作への期待も最高潮になっているので本作屈指の見所となっている。

ガチで許せないこと

…と、ここまで絶賛してきたが、だからこそ絶対に許せないことがある。前作の主人公、「コール・ヤング」の扱いだ。

本作で彼は死亡フラグを乱立させた挙句、頭を粉砕され「絶対に復活しない」ことまで丁寧に伏線張りされて無残に退場した。

これにはさすがに「お前が始めた物語だろ」と言わざるを得ない。

批判があったからといって、無かったことにして適当に殺すのは、キャラクターに対する最大の冒涜だ。コールを演じたルイス・タン自身は非常にかっこいいし、新主人公としてこれからの活躍を期待した人もいただろう。私もその一人だった。

前作ではコールがジョニー会いに行くところで終わったが、実際はほぼ関わりなし。
さらに許せないのが、コールの死に対するスコーピオンの「この戦いとは無関係」という台詞。

前作であれだけ血脈を強調しておきながら、一族を重んじるハンゾウが末裔の死に無関心など、完全なキャラクター崩壊である。

シャオ・カーンが奪ったライデンの力で治癒してカウンター負け、という強引な展開にするくらいなら、「ビ・ハンの乱入で惜敗→スコーピオンが末裔のために参戦」という流れにした方が、よほどバックボーンとして納得がいく。

なぜこれだけの良質な群像劇を描ける脚本家が、コールの処理だけこんなにも雑で投げやりなのか。これは製作陣の責任のなさが露呈している。

このように、当初私が予言した通りになったわけだが、前作からファンになった人のことを思うと、不憫で仕方ない。

総評


基板と筐体持ってるレベルの人間が言うんだ、信じてくれ

本作は、ゲームの映画化としては間違いなく「100点満点中300点」を叩き出すゲーム史に残る良作ビデオゲーム映画だ。

ジョニーやキタナの活躍も、リュウ・カンの因縁も、アクションの熱量も完璧だった。

しかし、自ら生み出したオリジナルキャラクターを雑に始末し、『無かったこと』にする姿勢に「マイナス200点」したくなる。
前作を見なくても大丈夫な構成に仕上げてきているあたり説得力が増している。(前作も面白いから視聴してほしいが、この記事で語った内容が気になること必須)


結果的には「100点満点」にはなっているものの、ファンとしてはこの「コールくんは何のために生まれたのか」という問いに対するモヤモヤを一生抱えていくことになるだろう。

最高のエンタメかつファンムービーでありながら、最悪の尻拭いを見せられた。
そんな、非常に複雑な愛憎を抱かせる一作だった。ムカつくので、もう一回見に行こうと思う。

それじゃあ諸君、さらばだ。

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