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三菱食品・京谷裕社長「三菱商事の資源最大限活用」

三菱食品は昨年、三菱商事の完全子会社となったが、パーパスや目指すべき在り姿は変わらない。三菱商事の経営資源を最大限活用して成長を加速、経営計画「MS Vision 2030」の定量目標を早期に達成させる。

強みのDD(データ×デジタル)マーケティングを推進、物流事業は子会社ベスト・ロジスティクス・パートナーズを設立し非食品領域との協業もスタートさせる。

海外事業は「日本食文化の輸出」として欧州、アジアでの流通基盤構築を進め、米国には合弁で外食店を開店する予定。昨年は創立100周年、次の100年に向けて「食が創造する未来へ、たすきをつなぐ」を掲げた。
京谷裕社長に2026年の課題と展望を聞いた。

「MS Vision 2030」早期達成へ

 ――貴社にとっての昨年を振り返って。
3月に母体となる菱食の前身企業、北洋商会の設立から100周年でした。12月、100周年記念プロジェクトの振り返りを兼ねた動画を公開。全国7カ所で開催した「ポップアップストア」では、各エリアとも多くのお客さまが来場され盛況でした。地域への感謝の気持ちを込めて実施した「定期清掃活動」も、単発で終わらせることなく今年も継続して実施していく予定です。

加えて、当社初の試みとなる「三菱食品 これからの100年基金」を昨年9月末に設立。食はただの栄養ではなく人と人をつなぎ社会を育てる力がある。同基金を通じて、次の100年に向けて持続可能な社会の実現に貢献すべく、さまざまな取り組みを支援していきます。

 ――100周年を経て、新たな抱負は。
100周年という大きな節目に「つぎの100年へ、食が創造する未来へ、たすきをつなぐ」という想いを掲げました。

これからの100年がどのような時代になっていくのか正確に予測できませんが、将来の「ありたい姿」から逆算し、今なすべきことを明確にし、行動することが重要です。目指す未来の「ありたい姿」とは、「食のビジネスを通じて持続可能な社会の実現に貢献する」というパーパスの実現です。食に携わる皆さまと共に、積極的に役割を果たしていく。

また、デジタル技術(AI・データ活用)の進化が著しく、業務効率化や需要予測の精度向上が期待される一方、サイバーリスクへの対応も重要課題です。社会の格差拡大や不安が高まる中、食品流通の責任が重くなっています。これらの課題にも的確に対応し、日本の食品流通業界の発展に寄与していきたい。

 ――三菱商事の完全子会社になりました。
昨年10月に三菱商事の完全子会社となりましたが、パーパスや目指すべき在り姿に何ら変わりはありません。経営計画「MS Vision 2030」に掲げた定量目標を早期に達成すべく、成長を加速させる推進力として三菱商事の経営資源を最大限活用していきます。

特に海外事業においては、三菱商事の持つ豊富な海外ネットワークや既存の事業基盤と、当社の持つ食に関わる知見等の強みを掛け合わせることで、将来的には「日本食文化の輸出」を卸売事業に次ぐ収益基盤に育てていく方針です。

また、物流やDD(データ×デジタル)マーケティングといった領域も、三菱商事の資金力や経営資源を活用できる重点分野と位置付けているほか、両社の人財交流もこれまで以上に促進し、事業の成長を加速させていく考えです。

DD(データ×デジタル)マーケティング推進、物流は非食品領域とも協業

 ――「MS Vision 2030」の進捗状況は。
DDマーケティング事業は、広告設計から効果検証までを購買起点で一気通貫に支援するサービスが高く評価されており、既に100社を超えるメーカーとデジタル広告・販促施策を展開。

具体的には、食品卸として培った売り場に関する知見の下、①年間12億件の出荷データを用いた市場分析・需要予測②全国の小売業から入手する2700万人規模の生活者購買データを軸に約7500万IDのリアル行動情報等も掛け合わせたデジタル広告配信③全国4500店舗に1万2000台設置した店頭サイネージを活用した販促提案、といったサービスを組み合わせることにより、1社特化で運用されるケースが多いリテールメディア市場において、複数小売横断のマーケティング施策を実現しています。

今後も商品流と情報流を同期させることで小売業・メーカーの課題を解決すると同時に、生活者に食の豊かさを届けていきます。

物流事業は、25年度上期は、物流代行事業が牽引し順調に推移。一部でメーカー物流代行業務を新規に受託しました。25年度下期は、更なる物流代行事業及びコンサル事業の新規受託により、通期計画を達成できる見込みです。

また、PALTAC社との協働の取り組みについては協議を重ねており、今年は具体的な物流協業施策を開始する予定です。

海外事業は、輸出と現地販売基盤の確保(事業投資)の二軸を両輪として、ターゲット国・地域を欧州/米国/アジアに定め、「日本食文化の輸出」の具現化を進めています。欧州では、出資を実行したJFE社に経営人財を派遣し、海外流通プラットフォームの構築に努めています。また、アジアではNB商品・OEM商品の供給や、本邦メーカー商品の輸出・現地輸入に関する協業体制を構築するなど、本邦パートナー企業の海外進出支援を行っています。

その他、近年拡大を続けるインバウンド需要に対する取り組みの一環として、福岡空港国際線旅客ターミナルビル3階搭乗待合室内に初めての物販店舗を出店しました。

当社のネットワークを活用し、全国から厳選した食品を販売しています。インバウンド客に多様で奥深い日本の食文化を楽しんで頂くと共に、地域商品の需要創造に挑戦し、地域事業者の応援と地域活性化にも貢献していく。

 ――26年の課題や取り組みについて。
毎年開催している展示会「ダイヤモンドフェア」は6月30日から7月2日までグループ会社を含む総合展示会として進化させ、幕張メッセで開催します。会場面積も広く、充実した内容となる予定です。

また、24年に公表したイートアンドホールディングス社との米国合弁会社では、今春に大阪王将のコンセプトを生かした飲食店の第1号店をオープンする予定です。日本食文化の持つ魅力を世界に広げ、そこから得られるデータや情報を活用し、新たなビジネスモデルの構築を目指したい。

三菱商事の完全子会社となりましたが、両社が持つ全ての経営資源を一切のタイムラグなく相互活用することが可能となり、戦略実行の大きな推進力となり、意思決定をより迅速かつ大胆に行える。26年度以降も、当社の自主性・独立性を維持しつつ、より強力なエンジンを搭載し、「MS Vision 2030」の定量目標を前倒しで達成すべく、取り組みを加速させます。

当社は「人がすべて」の会社であり、社員の努力と創意を競争力の源泉、未来を切り拓く原動力。26年度は経営戦略と人事戦略の連動をさらに強め、社員の成長を会社の成長につなげるための人事施策を推進します。

1月には人的資本強化の取り組みを分かりやすく示した「Human Capital Report」を発刊。同レポートを通じ、当社の人財への想いを全てのステークホルダーに知っていただくと同時に、人的資本強化にも活用していく考えです。


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