スーパーに並ぶ野菜はなぜ綺麗なのか
スーパーの陳列棚には、形が揃ってピカピカの野菜達がならんでいる。
それに対し、時々こんな主張を目にする。
スーパーの野菜は虫や病気を寄せ付けないほど農薬まみれで、大量の化学肥料で無理矢理太らせ、同じ形のものを大量生産している。よってスーパーの野菜は危険である。
本当の所はどうなのだろうか。
私はいわゆる「慣行栽培」のカテゴリーに入る葱を生産する農家で、全量を農協に出荷し、市場を通して都市部へ送られる。
しかし、スーパーの棚に並ぶのは一部にすぎない。
必要に応じて農薬や化学肥料を使っても完璧なものはつくれず、収穫された葱の形や質はバラバラ。選別作業の中で細いものは「B」や「M」、太すぎるものや寸足らずのもの、虫食いの目立つものは「太」、曲がっているものは「曲」などの等級に振分けられ、真っすぐで白身の長さがたっぷりあって、葉がきれいなものだけが「L」や「2L」となってスーパーに並ぶのである。
形がよくても、ポチッとでも虫食い跡があれば、「第2」と呼ばれる格落ち品となり、特売品や激安店送りとなる。
つまり、スーパーの棚に並ぶ野菜は、大量に収穫された中から厳選されたものなので、色や形が揃っていて綺麗なのだ。
農薬を大量に使えば確かに虫も病気もつかない。しかし、農薬には成分ごとの使用回数や、収穫までの安全な日数などか細かく決められていて、決して使い放題ではない。また、農薬は高価で散布にも労力を要するので、必要に迫られた時以外は、なるべく使いたくない。
化学肥料も、輸入に頼る原材料が高騰している為、国産の堆肥を配合しコストを下げた有機と化成のハイブリッドのものが増えているし、オフシーズンには豚ぷんなどの堆肥を畑に撒いて、土作りにも気を使っている。
各農家は、さまざまな制約のなかで、もっとも高く売れる「L」や「2L」をより多く作るために炎天下のなかで創意工夫をしなかがら日々努力している。
また、每日欠かさず大量の野菜が安定的に棚に並ぶのには、農薬や化学肥料の恩恵も忘れてはならない。
その農薬や化学肥料も、環境や安全性について日々進化している。
ネットの中には、農薬や化学肥料を危険とみなし全否定するものや、自分たちの作ったものの付加価値を高める為に慣行栽培を下に見る記事が溢れている。
でも慣行栽培農家には、安定的に安価で安全な食料を供給している自負がある。慣行栽培農家は、思考停止でもなく、利己的でもなく、金の亡者でもない。
農家や農法には、それぞれの役割がある。みんなちがってみんないい。
さまざまな情報が溢れているなかで本当の事を知るのは難しい。
この投稿が、少しでもお役に立てれば幸いである。
安心して日本の野菜を食べてください。
